【連載/4コマ漫画コラム(40)】 年末年始に読んでおきたいオープンイノベーター課題図書5選(+2)(2018年版)
本を読む
本を読むことは大事。
近年、スマホなどで見る短い文章やまとめニュースみたいなものばかりが溢れているけれど、分量があるしっかりとした考えやストーリーに触れるのは人間としてとても大事です。
もちろん、Howを知ることで、やらなければならないことを効率的にまた成功確率を上げるのにも役立ちます。
ただ、このコラムでいつも取り上げている「オープンイノベーション」のためには、「頭でっかち」になってはいけません。「自分で考え、すぐに動く」がオープンイノベーターの基本です。本を読んで知識ばかりため込んで、走り回っているオープンイノベーターにあれこれ口だけで批判をするようになったらおしまいです。もしくは、大量の知識を本から仕入れて、頭には溜まっているのに、全くそれが行動や対話に活かせないような人も最悪です(こういう人を私は「(吸い込むだけの)ブラックホール人間」と呼んでいます)。
2018年もあっという間に12月。
オープンイノベーターの方(もしくは目指している方)にとっては恐らく「動き回ったなあ」「色んな人に会ったなあ」という1年だったと思います。
正月くらいはちょっと立ち止まってじっくり本を読んでみたらいかがでしょうか?(今回はいつものコラムとは少し違う趣向です)。
1. ザ・ファースト・ペンギンス
『ザ・ファースト・ペンギンス 新しい価値を生む方法論』松波 晴人, 平田 智彦
●新規事業を始めようとして様々な課題を乗り越えていく登場人物たちの物語。
●これからイノベーションを起こしたいと思っている方にとっても、先にこの物語で「疑似体験」できる。
●とても面白く読みやすい内容だが、実はとても深い。
●イノベーションを起こすための視点や考え方、また、社内での壁をどのように乗り越えていくかについて多くの気づきを与えてくれる。
●物語の形式をとっているが、松波さんの多くの経験と深い洞察に裏打ちされていて、理論も整理されていてとても勉強になる。
2. シリコンバレー流起業入門
『新版シリコンバレー流起業入門―投資を引き出すためのビジネスプラン作成ガイド』曽我 弘, 能登 左知
●新規事業を推進していくために必須の「ビジネスプラン」の書き方を詳細にかつリアルに教えてくれる。
●VC(ベンチャーキャピタル)などからの質問の裏に隠された「投資家たちが知りたいこと」が分かる(これはすごい!)
●曽我さんは自分の会社をスティーブ・ジョブスに直談判で売った人。説得力がある。
●シリコンバレーの匂いに溢れている。
3. 「ジョブ理論」完全理解読本
『「ジョブ理論」完全理解読本―ビジネスに活かすクリステンセン最新理論』津田 真吾
●あの伝説の名著「イノベーションのジレンマ」のクレイトン・クリステンセン教授が提唱する「ジョブ理論」。元の本(
『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』クレイトン M クリステンセン)もいい本だが、それを分かりやすくしてくれたのがこの本。
●ジョブとは「Job to be done」のこと。人がモノやサービスを買う本当に深い動機はここにある。「なぜ人は買うのか?」もしくは「買わないのか」が、分かるようになる。
●この考えを理解し実践している人と、そうでない人では新規事業開発において雲泥の差が生まれる。
4. 対話のことば
『対話のことば オープンダイアローグに学ぶ問題解消のための対話の心得』井庭 崇
●オープンイノベーションで最も大切なのは他社・他者との対話。
●普段の対話の仕方がこの本を読むと大きく変わること間違いなし。
●井庭先生はパターンランゲージの専門家。言語化されていなかった様々なコツや方法が明確に表現されている。
5. 組織に埋れず
『組織に埋れず』高杉 良
●JTBで様々な壁をぶち破りながら次から次へと新規事業を生み出していった大東さんが主人公のドキュメンタリー小説。(作家はビジネスマン小説の巨匠 高杉 良氏)
●読むとむちゃ元気になります。
さらに、+2冊をご紹介
以上が課題図書(課題ではないけれど(^o^;))5冊。どれも超お勧めです。
そして、オープンイノベータにお勧めの追加を2つ。
6. 竜馬がゆく
『竜馬がゆく 全8巻』司馬 遼太郎
●まだ読んでいない人は是非。
●竜馬は、「壁(身分、藩、旧体制……)を乗り越え」「様々な人に思い立ったら直ぐに会いに行き」「人を巻き込み」「志に向かって走る」……といった、オープンイノベーターが目指すべき姿ですね。(皆さんは暗殺だけはされないように)
7. サラリーマンに効くクスリ!
『4コマ戯画 サラリーマンに効くクスリ! 会社に“ダメ人間”にされないための77話』勢川びき
●おまけのおまけ。
●私が現役のサラリーマン部長をやっていた時に出した本。4コマ漫画とコラムという形式はこの連載と同じです。現役だったからこそ生々しい毎日に浸かってネタ化していました。考えてみると自分自身を元気つけるために描いていたのかもしれませんが、今改めて読むとオープンイノベーターへのエール満載のいい本です!(と言い切るのだ)
種明かし?
オープンイノベータをやっていると本当に様々な素晴らしい人たちと出会い、知り合いになれます。
実は「竜馬がゆく」以外はすべて、著者や登場人物(大東さん)が直接の知り合いです。こんなすごい方々と知り合いになれたのは誇りです。オープンイノベーションは(来年も)やめられませんね。
*もちろん、今回ご紹介した本は知り合いだからという訳ではなく、掛け値なしにオープンイノベータにとっての必読書です!(念のため)
ちょっと早いですが、よいお年を!
*4コマ漫画のタイトルの「の・ようなもの」は森田芳光氏の劇場用映画監督としてのデビュー作。松田優作主演の『家族ゲーム』は私の中で未だに不思議な匂いを残しています。
■漫画・コラム/瀬川 秀樹
32年半リコーで勤めた後、新規事業のコンサルティングや若手育成などを行うCreable(クリエイブル)を設立。新エネルギーや技術開発を推進する国立研究開発法人「NEDO」などでメンターやゲストスピーカーを務めるなど、オープンイノベーションの先駆的存在として知られる。