
Luup、三輪ユニバーサルカー「Unimo」発表 アイシン、GKダイナミックスとの開発で交通空白地の課題解決へ
株式会社Luupは2025年8月5日、三輪・小型のユニバーサルカー「Unimo(ユニモ)」のコンセプトモデルを発表した。年齢や性別を問わず幅広い世代が利用できる車両として設計されており、2026年度中に複数地域で実証実験を予定している。開発には株式会社アイシン、株式会社GKダイナミックスが協力している。
全国2,000超の「交通空白」地区
国土交通省の調査によると、バスやタクシーなどの公共交通が機能しない「交通空白」地区は全国で2,057地区にのぼる。そのうち7割以上では有効な解決策が未導入のままであり、特に高齢者や免許返納者にとって深刻な移動課題となっている。
Luupはこれまで電動アシスト自転車や電動キックボードを展開し、通勤・通学・買い物など日常の短距離移動を支援してきた。利用者の約8割が日常用途で利用し、訪問介護の現場でも活用されている。今回の「Unimo」は、さらに利用層を拡大し、誰もが使える公共交通の補完を目指す取り組みとなる。
「Unimo」はLUUPの既存ポートに駐車できるサイズに設計され、IoTモジュールを搭載。スマートフォンアプリを通じて操作や制御が可能となる。これにより、すでに全国62市区町村で展開するシェアリングインフラを活用し、シームレスな移動体験を提供できる。
開発にあたり、アイシンは自社技術を小型車両向けに最適化し、GKダイナミックスは世代を超えて受け入れられるデザインを担当した。東京大学名誉教授の須田義大氏も「移動の自由を実現する技術」と評価している。
「Unimo」の特長:安定性とユニバーサルデザイン

「Unimo」の最大の特長は、幅広い世代が安心して使える安定性と操作性だ。三輪構造を採用しつつ、アイシンの「リーンアシスト制御」技術を搭載。車速やハンドル角に応じて車体の傾斜を制御することで、二輪車の機動性と三輪車の安定性を両立させた。
LUUPの既存ポートに駐車できるサイズに設計され、IoTモジュールを搭載。スマートフォンアプリを通じて操作や制御が可能。これにより、すでに全国62市区町村で展開しているシェアリングインフラを活用し、シームレスな移動体験を提供する。
さらに以下のようなユニバーサル設計が施されている。
走行・静止時ともに安定した車体
身体的負担を抑える操作性
世代を超えて親しみやすいデザイン
利用者に合わせた速度や補助機能のパーソナライズ
外形寸法は長さ130cm、幅59.5cm、高さ120cm、重量約60kgと自転車や電動キックボードに近いサイズ感。最高速度は20km/hモードと6km/hモードを切り替え可能で、日常利用に適した仕様。車両区分は「特定小型原動機付自転車」で、16歳以上なら免許不要。車道では最高20km/h、歩道の一部では6km/hで走行でき、都市部でも高齢者の足としての利用が期待される。
万博でお披露目、2026年度に実証実験へ
「Unimo」は2025年8月25日から開催される大阪・関西万博の「スマートモビリティ万博」で初公開される。Luupは今後、試乗会などを通じて幅広い意見を収集し、2026年度中に複数地域で実証実験を実施。その成果を踏まえ、本格的なシェアサービス導入を目指す。
代表取締役CEOの岡井氏は「Unimoを通じて街じゅうを“駅前化”するインフラを実現し、地域交通の課題解決に貢献していきたい」とコメントしている。
今後の展望
Luupは「Unimo」の普及を通じて、公共交通を補完する新しい短距離移動インフラを整備する考えだ。安全性向上や自動運転技術の導入、量産化など課題は多いが、社会実装に向けた一歩を踏み出した。実証実験に参加を希望する自治体や企業は特設サイトから申し込みが可能。Luupは、ユニバーサルなマイクロモビリティの提供者として、地域交通の未来を切り拓こうとしている。
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(TOMORUBA編集部)