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名古屋鉄道、名古屋市港区・西福田学区でAIオンデマンド交通「Dバス」実証運行を開始 公共交通空白地の解消と地域活性化を目指す産官学連携プロジェクト

名古屋鉄道、名古屋市港区・西福田学区でAIオンデマンド交通「Dバス」実証運行を開始 公共交通空白地の解消と地域活性化を目指す産官学連携プロジェクト

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名古屋鉄道株式会社は、国土交通省の「令和7年度『交通空白』解消緊急対策事業」において、「西福田学区交通空白解消プロジェクト協議会」の一員として選定された。(*1) これを受け、同社は昨年度に続き、名古屋市港区の西福田学区を中心としたエリアにおいて、AIオンデマンド交通「Dバス」の実証運行に参画する。

本取り組みは、名鉄グループの中期経営計画(2024~2026年度)に掲げる「公共交通を中心とするモビリティネットワークの実現」を推進するもので、公共交通の空白地域における移動課題の解決と、地域活性化を両立させることを目的としている。

産官学連携による取り組み体制

「交通空白」とは、鉄道やバスなどの公共交通機関がほとんど存在しない、あるいは十分に機能していない地域のことだ。高齢者や車を持たない人にとっては、病院・買い物・通学など日常生活の移動が難しくなるため、深刻な課題とされている。西福田学区は公共交通のアクセスが限定的で、特に高齢者や学生の移動に課題がある。今回の実証実験には、名古屋鉄道、名鉄タクシーホールディングス、名古屋市に加え、東海国立大学機構名古屋大学、中央復建コンサルタンツなどが参画。地域住民による「西福田さいこうプロジェクト推進協議会」と連携し、運行計画検討からデータ分析、需要予測までを幅広くカバーする体制を整えた。

  • 名古屋市は公共交通空白地における課題解決の支援を担当。

  • 名古屋大学は需要予測やシミュレーション評価を実施。

  • 中央復建コンサルタンツはプロジェクト管理とデータ分析を担う。

  • 名鉄タクシーホールディングスは、電話予約受付と名鉄交通第三による車両運行を担当し、運行の実務を担う。

これにより、地域住民の生活利便性を高めると同時に、今後の持続可能な交通モデルの構築を目指す。

AIオンデマンド交通「Dバス」の運行概要

「Dバス」は、名古屋鉄道などが実証運行しているAIによるオンデマンド交通サービス。従来のように決まった時刻やルートで走るバスとは異なり、利用者の予約に応じて運行するのが特徴だ。スマホアプリや電話で乗車を予約すると、AIが複数の利用者の希望を組み合わせ、最適なルートを計算して車両を手配する仕組み。たとえば午前中は病院やスーパーへの移動が中心、午後は学校や福祉施設への移動が多いなど、時間帯ごとの需要に合わせて効率的な運行を実現でき、その形態はタクシーとバスの中間に位置づけられる。

実証運行は2025年8月18日から2026年2月17日までの半年間、毎日8時30分から18時30分に実施される。形態は道路運送法第21条に基づく区域運行型の乗合タクシー方式。利用対象者に制限はなく、住民だけでなく来訪者も利用可能だ。

運賃は、65歳未満が300円、65歳以上は100円。6歳未満や福祉特別乗車券利用者は介護者を含め無料とし、交通弱者への配慮も行き届いている。支払いは現金のほか、交通系ICカードや回数券に対応する。

利用者は電話またはWeb予約サイト「デライド」から、乗降場所や希望時刻を指定して車両を予約。乗降のいずれかが西福田学区内の所定の「Dバス停」であれば、誰でも利用できる仕組みだ。

▲Dバス車両イメージ

MaaSサイト「デライド」とアプリ「CentX」の活用

名古屋鉄道は、名古屋市が運営するマイクロMaaSサイト「デライド」でDバス予約機能を再開。また、自社のエリア版MaaSアプリ「CentX」と連携し、地域住民や観光客に移動手段を提供するだけでなく、観光地や商業施設の情報も発信する。これにより、利便性向上と周遊促進を通じて地域経済の活性化を目指す。

「デライド」には以下の機能が搭載される。

  • Dバス予約機能:初回利用時の登録後、Web上で予約可能。

  • おトクなクーポン配信:CentXwebチケットの加盟店舗で利用可能。

  • 経路・周辺検索:地図上で出発地・目的地を指定し、周辺スポット検索も可能。

  • タクシー予約:名古屋市内のタクシーをWebまたは電話で手配可能。

利用者はアプリをダウンロードする必要がなく、Webブラウザから直接アクセスできる点も手軽さの特徴となっている。

持続可能な地域交通モデルへの挑戦

高齢化や人口減少に伴い、公共交通の維持が困難な地域は増えている。名古屋市西福田学区での取り組みは、地域住民の足を守ると同時に、観光や商業との連携による新たな価値創出を狙うものだ。公共交通の空白を埋めるだけでなく、地域をつなぎ、賑わいを生む。AIオンデマンド交通「Dバス」の実証は、その第一歩となりそうだ。

(*1)「交通空白」解消等リ・デザイン全面展開 プロジェクトの採択状況|国土交通省

https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/content/001892632.pdf

関連リンク:プレスリリース

(TOMORUBA編集部) 

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