
博報堂と宇部市、マイカー乗り合い公共交通サービス「ノッカルおの」実証運行を開始
株式会社博報堂は山口県宇部市と連携し、同市小野地区においてマイカー乗り合い公共交通サービス「ノッカルおの」の実証運行を2025年8月25日から2026年3月31日まで実施する。
人口減少・高齢化で深刻化する移動課題
宇部市では人口減少や高齢化に伴い、公共交通を担う人材不足や利用者ニーズの多様化が進んでいる。免許返納などにより自家用車を持たない住民は増加傾向にあり、日常生活における移動手段の確保が大きな課題だ。小野地区では路線バスの本数が限られ、タクシー営業所も遠方にあることから、買い物や通院、通学などの移動に困難を抱える住民が少なくない。こうした状況を受け、スクールバスがない高校生や高齢者を中心に、移動手段を持たない住民を対象とした公共ライドシェアの実証が決まった。
「ノッカルおの」とは マイカーを活用した共助型MaaS
「ノッカルおの」は、住民のマイカーを地域の移動資源として活用する公共ライドシェアサービスだ。宇部市が事業主体となり、小野地区自治会連合会など地元団体が協力。博報堂DYグループが開発したシステムを用い、登録されたドライバーと利用者をマッチングする仕組みを整えた。
利用者はLINEや電話で簡単に予約でき、停留所には既存のバス停を活用。高齢者から学生まで幅広い層が利用しやすい設計となっている。ドライバーは助け合いの精神に基づき、利用者を自家用車で目的地まで送迎する。

【サービス概要】
実証期間:2025年8月25日~2026年3月31日
運行エリア:小野地区内、および小野地区⇔厚東駅・木田バス停・嘉川駅周辺
運行日:月~土曜日
予約方法:前日17時までに電話またはLINEで予約
利用料金:高校生以上200円/回、中学生以下は無料(チケット制)
※バス・JR定期券保有者は無料、障がい者手帳提示で半額
公共交通の空白地帯を補完する形で、通勤・通学・買い物・通院など日常的な移動を支える役割を担う。
【参画主体の役割】
宇部市:事業主体として全体を統括
小野地区自治会連合会など:地域とのコミュニケーションや利用促進を支援
宇部市交通局:運行・予約管理、ドライバー・利用者の管理を担当
博報堂:サービス設計やコミュニケーションデザインを担う
博報堂テクノロジーズ:システムの開発・設計・運用を担当
住民の暮らしを支える新たな交通モデルへ
「ノッカルおの」は単なる移動サービスにとどまらず、地域の持続可能な交通インフラを構築する実証の場となる。住民参加型のライドシェアは、高齢化社会における交通弱者の救済策としても期待されており、宇部市小野地区での成果は他地域への展開にもつながる可能性がある。博報堂と宇部市は、今回の実証を通じて「共助による新たな移動のかたち」を検証し、持続的な地域公共交通の実現を目指す。
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(TOMORUBA編集部)