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相模原市を舞台にしたオープンイノベーションプログラム、3期目が始動!――市内ホスト企業(大和製罐・アマノ・カヤバ・東急建設)に実現したい未来像を聞く【前編】

相模原市を舞台にしたオープンイノベーションプログラム、3期目が始動!――市内ホスト企業(大和製罐・アマノ・カヤバ・東急建設)に実現したい未来像を聞く【前編】

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神奈川県相模原市は、新たなビジネス展開に向けた実証事業に挑戦する市内企業と、必要な技術・ノウハウを持つパートナー企業をマッチングし、オープンイノベーションによる新規事業開発の伴走支援を行う『Sagamihara Innovation Gate(SIG)』を、令和5年度(2023年度)より実施している。

今年度で3期目を迎える本プログラムは、市内企業がホスト企業となり、自社の課題や取り組みたいテーマを提示して全国から共創パートナーを募集。マッチングした企業と共に、新規事業開発や課題解決に挑む取り組みである。

これまで計7社が参画してきたが、今年度は次の4社が参画することとなった。

<共創テーマを提示する相模原市内企業(4社)>

●大和製罐株式会社(金属製品製造業)

●アマノ株式会社(機械製造業)

●東急建設株式会社(総合建設業)

●カヤバ株式会社(輸送用機器製造業)

そこでTOMORUBAでは、プログラム主催者である相模原市と、共創テーマを掲げてパートナーを募る市内企業4社に取材を実施。プログラムを通じて目指す未来像について話を聞き、その内容を前編・後編の2回に分けてお届けする。

――前編となる本記事では、相模原市のプログラム担当者に加え、ホスト企業である大和製罐とアマノの2社へのインタビューの模様を紹介していく。

【相模原市役所】 神奈川県庁との連携事業も開始、相模原市のスタートアップ・イノベーションエコシステム形成は次のステージへ

――最初に、相模原市の産業面での特徴と、『Sagamihara Innovation Gate』を牽引する創業支援・企業誘致推進課の近年の活動内容についてお聞かせください。

相模原市・渡邉氏: 相模原市は神奈川県北部に位置し、都心からのアクセスも良好で、圏央道の開通により、広域的な交流拠点として高いポテンシャルを持つ地域となっています。これまで長らく製造業の誘致に注力してきた背景から、現在では神奈川県内で4番目の製造品出荷額を誇ります。また、リニア中央新幹線の新駅が開業予定の橋本駅周辺では、先端技術の拠点形成とイノベーションが生まれるまちづくりを進めています。

こうした背景のもと、令和5年度(2023年度)から市内企業の事業や研究開発を支援するために、オープンイノベーションプログラム『Sagamihara Innovation Gate』をスタートさせました。多様な企業にご参加いただいており、プログラム終了後も継続する共創プロジェクトが生まれるなど、手応えを感じています。

さらに、橋本駅南口側には、本市と連携しJR東海様が新たなイノベーション創出促進の拠点となる『FUN+TECH LABO』を2024年3月に開設しました。この拠点では、市内外の企業や研究機関等、様々な主体の交流を図り、企業誘致や起業支援、スタートアップ企業の創出・育成を推進することを目的としています。

ほかにも、令和4年度(2022年度)よりスタートアップ支援として『相模原アクセラレーションプログラム』を開始。全国のスタートアップが市内のさまざまなフィールドを活用し、ビジネスアイデアを実証できる仕組みです。

私たち創業支援・企業誘致推進課では、これら3つの事業を主軸に、それぞれの関係者が自然に交流し、そこから新たな共創の企画が生まれることを期待しながら、取り組みを進めているところです。

▲相模原市 環境経済局 経済部 創業支援・企業誘致推進課 主任 渡邉 芳樹氏

――今年度からは、神奈川県と連携した「広域スタートアップ支援ネットワーク形成事業」も始まっているそうですね。

相模原市・渡邉氏: はい。これまでの取り組みで一定の成果が得られたことを受け、今年度はさらにスケールを広げ、相模原市にとどまらず、神奈川県の県央地域や多摩地域の企業や大学も巻き込みながら、橋本駅を中心としたスタートアップ支援ネットワークの構築を進めています。神奈川県との共同実施により、これまで以上に広域な共創の機会が提供できると考えています。

――今年で3期目を迎えるオープンイノベーションプログラム『Sagamihara Innovation Gate』について詳しくお聞きしたいのですが、特徴や印象に残っている成果があれば教えてください。

相模原市・渡邉氏: 『Sagamihara Innovation Gate』には研究開発部門の研究者が多く参加しており、プログラム期間中のメンタリングの場では専門的かつ深い議論が数多く交わされていました。プロダクトアウトの視点だけでなく、市場投入や事業化に向けた議論も活発で、非常に質の高い意見交換がなされていると感じています。

特に印象的なのは、市内企業の大和製罐さんとパートナー企業のアプデエナジーさんによる共創です(※)。リユースバッテリーを活用したエネルギー供給のサブスクリプションモデルの開発が進んでおり、今後の展開が非常に楽しみな、期待感の高まるプロジェクトとなっています。

※参考記事:【大和製罐×アプデエナジー】蓄電池劣化診断技術を核とした「BaaS」で新市場を切り拓く――その技術的優位性を深掘りする

相模原市・多良氏: 『Sagamihara Innovation Gate』は3年目になりますが、採択企業同士の交流が自発的に生まれているのは、当初の想定を超えた嬉しい変化でした。しかもその交流は、このオープンイノベーションプログラム内にとどまらず、アクセラレーションプログラムや『FUN+TECH LABO』など、他の事業の採択者や関係者にも広がっています。各事業内の縦のつながりに加えて、事業を越えた横のつながりも生まれていることは非常に意義深く、こうした動きこそ私たちが目指すエコシステム形成における重要な要素だと感じています。

▲相模原市 環境経済局 経済部 創業支援・企業誘致推進課 主査 多良幸人 氏

――『Sagamihara Innovation Gate』において、相模原市はどのような支援を行っていく予定ですか。

相模原市・渡邉氏: 私たち市職員も参加企業の挑戦に並走しながら、実証環境の提供や協力パートナーの探索支援、実証費用の補助を行う方針です。多様なプレイヤーに対するサポート体制を整え、社会実装に向けて全力で支援していきたいと考えています。

――最後に、今年度の『Sagamihara Innovation Gate』に期待することをお聞かせください。

相模原市・多良氏: 今年度は、本プログラムへの参加経験があるホスト企業と、初めて参加する企業が混ざり合い、新たな雰囲気が生まれそうです。初参加の企業の皆さんには、この特徴的なプログラムを通じて、これまでとは異なる価値観や発想に触れてほしいと思っています。また、今年は女性の担当者が多く参加していることもあり、より多様な視点から新たなアイデアが生まれるのを楽しみにしています。

相模原市・渡邉氏: 今年度のホスト企業4社はいずれも、高い技術力と新たな事業創出に向けた強い熱意をお持ちです。社会課題の解決を目指す挑戦的なテーマもあり、このプログラムから「相模原発の世界に発信できる新規事業」が生まれることを期待しています。

加えて、神奈川県との連携事業もスタートしました。スタートアップやイノベーション創出に取り組む方々が、より挑戦しやすい環境づくりを進めています。今後も地域全体でエコシステムの形成を加速させていく考えです。ぜひこの機会に、相模原での挑戦に踏み出していただければと思います。

【大和製罐】 「“子どもも大人も、高齢者も”すべての人にやさしい食卓の実現へ」

――御社の事業内容と、現在抱えている課題についてお聞かせいただけますか。

大和製罐・大原氏: 弊社は金属缶の製造を主力としつつ、化粧品用チューブやポンプフォーマー容器なども手がける総合容器メーカーです。近年は、容器事業で培った技術力や知見を活かし、今後の社会での課題解決に貢献することに着目し、エネルギー事業や介護食などの新規事業に力を入れています。

▲大和製罐株式会社 製品開発センター デザイン開発室 担当リーダー デザイナー 大原菜桜子 氏

――そうした中、約10年前に介護食事業に進出されました。なぜ「介護食」という分野を選ばれたのですか。

大和製罐・大原氏: 弊社は飲料や食品パッケージを提供するにあたり、安全に美味しく長期保存する技術を研究、開発してきました。そこから、食べ物自体の製造ノウハウも蓄積され、容器だけでなく食品製造にも取り組むようになったのです。中でも介護食に注目したのは、少子高齢化で高齢者人口が増えることから、今後さらに需要が高まる重要な分野だと考えたからです。

――御社の介護食の特徴についてもお聞かせください。

大和製罐・石澤氏: 『エバースマイル』というブランドで、ムース食ととろみ飲料を提供しています。今回の募集テーマと関わるムース食は、ムースにお惣菜の調味料をかけたカップ入りの商品で、最大の特徴は常温で1年間保存できること。ムース食といえば冷凍食品が主流ですが、弊社の商品は常温保存できることから、保管場所を選ばず、非常時の対応にも適しています。また、常温や湯せんでの喫食も可能と電子レンジの扱いが難しい高齢者にも便利なものとなっています。

また、多くのムース食の見た目が、短冊状であるのに対し、弊社では素材の形状をできるだけ再現しています。例えば、ビーフステーキには焼き目の模様をつけるなど、昔食べていた食品に近い形に仕上げており、この点でもご好評をいただいています。さらに、メニュー数は35種類と豊富で、約1カ月間、毎日違うメニューを楽しめることも特徴です。

▲大和製罐株式会社 事業開発部 エバースマイル開発室 石澤薫 氏

大和製罐・大原氏: 一般的なムース食では、例えばすき焼きのようなメニューでも、具材をすべて混ぜて単一のペーストにしたものを固めた形で提供されることが多いのですが、弊社のムース食は人参やお肉など具材ごとに分けて成形しています。人参は人参の味、お肉はお肉の味になっているため、「素材そのものの味が楽しめる」と大変喜ばれていますね。

――続いて、『Sagamihara Innovation Gate』に参加した理由と、取り組みたい内容を教えてください。

大和製罐・大原氏: 今回のプログラムで挑戦したいのは、弊社のムース食の一つである白玉風ムースの新しい食べ方の開拓です。もともとは介護食として開発した商品ですが、私自身が食べても「美味しい」と感じるもので、これを高齢者だけでなく、より多くの人に届けたいと考えています。その方法を探るために、今回のプログラムに参加しました。

▲もともと介護食として開発された「白玉風ムース」。4種類の味がラインナップされている。

実は今年3月、『FUN+TECH LABO』で市民向けにこの白玉風ムースの試食イベントを開催したところ、当初50人程度を想定していたにもかかわらず、約500人もの方々にご来場いただき、大盛況となりました。アンケートでも「美味しい」という声を多数いただき、一般向け展開の可能性を強く感じています。ただ、弊社にはまだ一般向けの流通ルートがないため、新たな販路を開拓したいと思っています。

▲イベントでは、白玉風ムースを4種類の味で提供。『笑顔堂』というブランド名を考案し、ギフト用として3種類のパッケージを用意し、試食後にはアンケートを実施。

――実現したい共創のイメージを3つ挙げていただきましたが、それぞれについて詳しく教えていただけますか。

大和製罐・大原氏: まず1つ目の「誰もが美味しく・健康に食べられる食品ブランドの創出」についてです。弊社は容器メーカーとしての知名度はありますが、食品メーカーとしてはまだまだです。そこで、食品分野に強みを持つ企業と協力し、白玉風ムースを一般消費者向けに展開していきたいと考えています。私たちは柔らかくて安全な食べ物を作る技術を持っているので、例えば、和菓子ブランドを持つ企業などと組んで、ブランド力や発信力を補完できたらと思います。

2つ目の「“一緒に食べる喜びを”家族の絆を深める新しい食体験の創出」は、ギフトとしての活用を想定しています。白玉風ムースはユニバーサルデザインフードの規格を満たし、餅特有の付着感を抑えた「飲み込みやすい」という特徴を持つ商品です。これをただ贈るだけでなく、例えば「孫から祖父母へ」といった世代を超えた贈り物の体験を設計できれば、より心に残る贈り物になるのではと思います。私たちは「モノ」は作れますが、「体験」の設計には知見がないため、アプリや仕組みづくりに強い企業と共創できたらと考えています。

3つ目の「家族三世代で囲む、食卓から生まれる 新たな食文化の提案」に関してですが、嚥下の状態に差があっても、同じ食事を一緒に楽しみたいという思いは、多くの人にあると感じています。3世代で食卓を囲むような場面で、祖父母だけ食事が違うと気を遣いますし、小さな子どもが別のものを食べて不満を言うこともあります。「みんなで同じものを食べられる」ことには、大きな価値があるはずです。弊社は柔らかく、安全で、美味しい食品を作る技術があるので、この強みを活かしホテルやイベントなどで、世代を問わず楽しめる新しい食体験として展開していきたいと思います。

――御社と協業するメリットについてもお伺いしたいです。

大和製罐・大原氏: これまでに挙げた飲み込みに配慮した安全な食品づくりの技術や常温保存の技術に加えて、パッケージデザインの企画や容器そのものの形状変更にも対応可能です。また、プロトタイプの制作も社内で対応できます。このように「モノづくり」に関しては、ほぼすべて自社内で完結できる体制が整っており、これらの強みを共創にも活かすことができます。

――最後に、応募を検討しているパートナー企業に向けてメッセージをお願いします。

大和製罐・石澤氏: 弊社の『エバースマイル』というブランドには、介護する方・される方に笑顔を届けたいという想いが込められています。介護される人は口からものを食べる喜びを感じ、介護する人はそれを見て幸せを共有するという考えを大切にしてきました。今回の取り組みでは「される人・する人」という分け隔てのない、さらに一歩進んだ景色を作りたいと思います。その想いに共感してくださる方と、一緒に新しい挑戦を進めていけたら嬉しいです。

大和製罐・大原氏: 今まで介護食やベビーフード、一般食など、世代ごとに食べ物の分け隔てがありました。しかし、色々な世代が一緒に楽しめる食べ物には新しい価値があると思いますし、それが多くの人を幸せにできる可能性があると感じています。こうした新しい食のジャンルを一緒に作り、広げていきませんか。そして将来的には、相模原市の新たなお土産ブランドとして育てていけたらと考えています。

【アマノ】 「“安心・快適”と“見える安全”を実現する次世代ロボットの共同開発」

――まず、御社の事業概要をご紹介ください。

アマノ・星野氏: 弊社は1931年創業で、90年以上の歴史を持つ企業です。現在展開している主な事業は、時間情報事業、パーキング事業、環境事業、クリーン・ロボットソリューション事業の4つです。最も売上が大きいのはパーキング事業ですが、弊社の祖業は時間情報事業で、出退勤を管理するタイムレコーダーの製造からスタートしました。これらのうち募集テーマを設定したのは、クリーン・ロボットソリューション事業となっています。

▲アマノ株式会社 総合戦略企画本部 新規事業開発部 新規事業開発課 主任 星野航 氏

――クリーン・ロボットソリューション事業の現状と、御社のロボットの特徴も教えていただけますか。

アマノ・鈴木氏: クリーン・ロボットソリューション事業部という名前に変わったのはここ数年で、以前はクリーン事業部として業務用床洗浄機の開発・製造・販売を行っていました。人手不足による自動化ニーズの高まりを受け、ロボティクス事業へ舵を切り、現在はロボットの開発も進めています。

クリーン事業は約50年の歴史がある一方で、ロボット事業は2014年に初号機を発売し、今年で11年目。現在は3世代目のロボットを製造・販売しています。私たちのロボットの強みは、清掃事業からロボット事業へと派生したため、清掃技術に他社に負けない自信があること。また、AIを活用した自律走行技術で業界をリードしています。

▲アマノ株式会社 クリーン・ロボットソリューション事業本部 事業企画推進部 商品企画課 主任 鈴木啓介 氏

アマノ・星野氏: 現在、この事業は売上が大きく伸びており、会社としても重点的に取り組んでいます。パーキング事業に次ぐ、新たな成長の柱として育てていきたいと考えており、事業部と私たち新規事業開発部が一体となって事業拡大を進めているところです。

――国内の清掃ロボット市場における御社の立ち位置は?

アマノ・鈴木氏: 弊社は、国産の業務用清掃ロボットメーカーとしては数少ない存在です。現在、市場の多くを中国製ロボットが占めていますが、弊社は国内で開発・製造を行い、販売からサポートまで自社で一貫して対応しています。導入先として最も多いのは商業施設で、次いで工場となっており、ほかにも駅や空港、病院、学校など幅広い分野でご活用いただいています。

▲小型床洗浄ロボット『HAPiiBOT(ハピボット)』(写真中央)、ロボット洗浄機『EGrobo(イージーロボ)』(写真左)、ロボット掃除機『RSrobo(アールエスロボ)』(写真右)の3ラインナップで展開中。特に『HAPiiBOT』は、高度なAI技術を持つPreferred Robotics社と共同開発した。

――『Sagamihara Innovation Gate』に参加を決めた理由もお伺いしたいです。

アマノ・星野氏: もともと自動清掃ロボットを提供する中で、現場の方から「人手不足が深刻なので、もっと自動化できないか」という声をよくいただいていました。ただ、自社の開発力だけでは限界があるので、今回はパートナー企業の力を借りてシナジーを生み出し、社会実装につなげたいと考え参加しました。

アマノ・高橋氏: また、相模原市がロボット産業に注力していることから、地域とのシナジーが期待できると考えたことも、参加を決めた理由のひとつです。

▲アマノ株式会社 総合戦略企画本部 新規事業開発部 新規事業開発課 課長 高橋正 氏

――次に、実現したい共創のイメージについてお聞かせください。挙げていただいた3つのアイデアについて、それぞれ教えてもらえますか。

アマノ・星野氏: 1つ目の「安心・快適・環境配慮を叶える清掃ロボットの共同開発」に関してですが、主にオフィスビルをターゲットに、警備と清掃を同時に行えるロボットの開発を目指しています。以前から「警備機能を搭載してほしい」という要望はありましたが、警備には高性能なカメラなどが必要で、巡回警備のような異変検知を清掃と同時に行うことは技術的に難しい面がありました。今回の取り組みを通じて、この課題に挑戦したいと考えています。

2つ目の「清掃ロボット × センシングで“見える安全”の実現」ですが、現在、工場への導入も進んでおり、油汚れによる転倒リスクなどを軽減するために高頻度でロボットを稼働していただいています。そこで、単なる走行・清掃にとどまらず、何か新たな付加価値を提供できないかと考えたのがこのテーマです。

例えば、センサーを搭載してガス漏れや設備異常、火災などを検知したり、AIカメラで従業員の様子や放置禁止エリアへの物品の置き忘れを確認する機能を持たせたり。そうすることで、安心・安全な職場環境につなげたいと思っています。

アマノ・松坂氏: 私は工場にもよく伺いますが、最新のフォークリフトでは光や音で進行方向を示すなどの安全対策が進んでいます。アマノのロボットも警報音やウィンカーを備えていますが、「フォークリフトが通る道では一時停止してほしい」といった要望もあり、制御面の改善も検討したいです。また、音や光を使った新しい伝え方など、私たちだけでは気づけない部分もあるため、新しいアイデアをいただければと思います。

▲アマノ株式会社 クリーン・ロボットソリューション事業本部 営業支援部ロボット推進課 松坂玲 氏

アマノ・星野氏: 最後に3つ目の「ロボットを通じた人と人との繋がりの創出」についてです。清掃では決められたルートを正確になぞらないと清掃残しが出てしまうため、弊社のロボットは、非常に高い走行性能を備えています。この強みを活かしつつ、清掃以外の用途にも挑戦したいと考えています。

例えば、ロボットに人とコミュニケーションを取る機能を組み込み、移動しながら人と会話を行って、人と人をつなげるようなイメージを描いています。このテーマはまだ構想段階ですから、皆さんの自由な発想も取り入れながら、一緒に形にしていければと思っています。

――御社と協業することで、どのようなメリットがありますか。

アマノ・星野氏: すでに市場に提供している弊社のロボットを、共創において貸し出すことが可能です。社会実装がここまで広く進んでいるロボットは珍しいのではないかと考えており、それを実際に使って検証できることが、弊社と共創する大きなメリットの一つです。さらに、今回の取材場所である 横浜の『Robot Lab』に加え、相模原にある自社工場も、実証実験のフィールドとして活用可能です。

▲アマノがラインナップするロボット清掃機を実際に体感できる『Robot Lab』。

アマノ・鈴木氏: 弊社のロボットは、自社で開発・製造をしています。そのため、ロボットの改造とまではいかないですが、「こんな機能を追加したい」といったご要望にも柔軟に対応できると思います。

――最後に、応募を検討しているパートナー企業に向けてメッセージをお願いします。

アマノ・鈴木氏: 弊社のロボット事業は今後大きく成長し広がっていく可能性が高い分野です。ただ、自社だけでは広がりも限られてしまうので、皆さまの力をお借りして事業を拡大させていきたいです。

アマノ・竹井氏: 営業として病院を訪問する機会が多いのですが、そうした現場でも新たなロボット活用を提案したいです。現場での活用を一緒に進められればと期待しています。

▲アマノ株式会社 神奈川・静岡営業本部 神奈川環境支店 竹井美生 氏

アマノ・松坂氏: お客様から弊社のロボットへのフィードバックが増え、関心の高さを実感しています。お客様のご協力も得ながら、市場実験を通じて新たな価値を創出していきたいと考えています。

アマノ・星野氏: Preferred Robotics社との共創実績もありますし、オープンイノベーションの推進体制も整えています。間口を広げてパートナーを募っているので、たくさんの応募をお待ちしています。

アマノ・高橋氏: アマノだけでは思いつかない新しい挑戦に取り組みたいと考えています。困難な場面もあるかもしれませんが、負けずに強い気持ちで取り組める方と共創したいです。ぜひご応募ください。

※ ※ ※ ※

――続く後編では、ホスト企業であるカヤバ、東急建設の2社へのインタビュー内容を紹介する。

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  • 今井健太郎

    今井健太郎

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  • 眞田幸剛

    眞田幸剛

    • 株式会社eiicon
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