
遠隔就労を“ジザイ”に実現するジザイエ、シリーズAで6億円を調達
リアルタイム遠隔就労支援プラットフォーム「JIZAIPAD」を提供するスタートアップ、株式会社ジザイエがシリーズAラウンドで総額約6億円の資金調達を実施した。東大発の技術をベースに、通信インフラに依存せず遠隔から現場作業を完結させる同社のソリューションは、2023年の正式リリース以来、建設・製造・エネルギー・災害対応といった多様な領域に導入され、現場のDXを力強く牽引してきた。
今回の資金調達には、既存投資家である15th Rockやサムライインキュベートに加え、レオス・キャピタルパートナーズ、SMBCベンチャーキャピタル、静岡キャピタル、みずほキャピタル、MIRAISEといった新たな投資家が名を連ねた。さらに、山梨県からのJ-KISS型新株予約権、みずほ銀行・山梨中央銀行からのデット調達も含まれており、その成長性と社会的意義に対する高い期待が伺える。
現場課題と社会課題に応える「JIZAIPAD」
ジザイエの開発する「JIZAIPAD」は、独自のAI圧縮伝送技術によって、通信帯域が限定された環境下でも高精細・低遅延な映像を送受信可能にする。その技術は、建設機械の遠隔操作や工場設備の監視・指示、災害現場での作業支援など、物理的な制約を伴う現場において真価を発揮する。人手不足が深刻化する中、移動時間の削減や作業の安全性向上といった効果が評価され、着実に導入事例を積み上げてきた。
今後は、アジア・北米を中心としたグローバル展開、製品の量産体制構築、AI伝送技術の高度化に注力。加えて、建機メーカーやインフラ企業との共同開発、優秀なエンジニア・プロダクト人材の採用強化を進めていくという。
投資家の評価に見る、ジザイエの強み
今回の資金調達に参画した投資家たちも、ジザイエの成長可能性と技術の汎用性に大きな期待を寄せている。
レオス・キャピタルパートナーズの関氏は、「大手企業との連携を次々に進めるスピードと、開発現場の熱量が印象的」と評価。SMBCベンチャーキャピタルの能勢氏は、「人手不足と多様な働き方が進む中で、ジザイエのプロダクトはインフラとして不可欠になる」と語る。
みずほキャピタルの藤田氏は、「高い技術力と社会実装の両立に成功している稀有なスタートアップ」と評価し、静岡キャピタルの石井氏も「スタートアップらしいスピードと実行力が光る」とコメント。地域金融機関との連携や、山梨県による出資のように、ジザイエは地方自治体からも信頼を得ており、その社会的インパクトの広がりがうかがえる。
「あらゆる人が“自在”に働ける世界」を目指して
ジザイエの社名には、「働く時間・場所を問わず、誰もが自在に働ける社会を実現する」という思いが込められている。創業からわずか2年で大手ゼネコンとの導入を実現し、遠隔就労という新たな働き方の社会実装に挑むその歩みは、今後も加速し続けるだろう。
今回のシリーズAラウンドは、単なる資金確保にとどまらず、多様なステークホルダーが「遠隔就労」という社会課題の解決に共に挑む体制構築の第一歩でもある。ジザイエが描く「自在な働き方」が、いかに国内外の現場に変革をもたらすか。今後の展開に注目が集まる。
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(TOMORUBA編集部)