
スポーツで育む“考える力”──スポーツ教育アプリを手がけるSPLYZAと広島県三次市が教育連携協定を締結
スポーツ教育アプリを手がける株式会社SPLYZA(静岡県浜松市)と広島県三次市が、包括連携協定を締結した。連携の柱となるのは、SPLYZAが開発・提供する映像振り返りツール「SPLYZA Teams」を市内小学校の体育授業に導入し、子どもたちの“考える力”を育てていくという取り組みだ。
この協定は、単なるICT導入を超えた、教育の本質に迫るチャレンジでもある。
スポーツを“知の営み”に変える映像ツール
「SPLYZA Teams」は、スポーツの映像を活用し、子どもたちが自らプレーを振り返り、課題を見つけ、解決策を考えるという一連のプロセスを支援するツールだ。2017年の提供開始以降、全国900以上のチームに導入されており、野球やサッカーといった競技だけでなく、小中高校の体育授業や探究学習の場でも活用が広がっている。
今回の協定により、このツールが三次市内の小学校体育で本格導入される。SPLYZAが掲げる「スポーツは考える力を育む」というコンセプトが、いよいよ公教育の現場で本格的に展開されていく。
「スポーツのまち」三次市とのシナジー
協定に際して、三次市の福岡誠志市長は次のように語っている。
「三次市では『スポーツのまちみよし』をビジョンに掲げ、第2期スポーツ推進計画を策定しました。また教育面でも『みよし学びの共創プラン』に基づき、授業のDX化を進めています。SPLYZAの最先端技術の導入により、楽しみながら考える力・表現力が育まれることを期待しています。」
三次市はもともと、地域資源としてのスポーツの価値を見出してきた自治体だ。今回の協定は、ICTツールを単なる技術導入ではなく、「地域ぐるみの学び」に昇華させる意欲の現れでもある。
教育におけるスポーツの可能性
SPLYZAの代表取締役・土井寛之氏も、次のように期待を寄せている。
「スポーツは、課題発見から課題解決までを体験できる貴重な場です。私たちはアプリケーション開発を通じて、スポーツの教育的価値を高めてきました。三次市とともに、子どもたちが社会に出てからも必要とされる“考える力”を養う取り組みを進めていきたいと思います。」
SPLYZAの取り組みは、スポーツを“感覚”や“根性”に頼るものから、“思考”と“協働”を育てる教育手段へと進化させる試みでもある。その背景には、ICT化や個別最適な学びが叫ばれる現代教育において、「スポーツ」という身体活動が持つポテンシャルを再評価する動きがある。
子どもたちの「考える力」が未来を変える
少子化が進み、教育現場の多忙さも増す中で、テクノロジーの力を借りた“意味ある学び”の実現は喫緊の課題だ。「SPLYZA Teams」は、単にプレーを記録・分析するだけのツールではない。子どもたち一人ひとりが、自分の動きや思考を「見える化」し、他者と共有し、再び行動に落とし込む。その過程こそが、現代の学びに求められる“探究”や“協働”そのものである。
三次市とSPLYZAの協定は、スポーツ教育に新たな可能性を開く第一歩となるだろう。考える力は、未来を変える力だ。そしてその力は、意外にも、グラウンドの上から始まるのかもしれない。

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(TOMORUBA編集部)