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アフリカの水危機に挑む――京都発のスタートアップ・SUNDAが総額1億円の資金調達、ウガンダから世界へ

アフリカの水危機に挑む――京都発のスタートアップ・SUNDAが総額1億円の資金調達、ウガンダから世界へ

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アフリカの農村部では、生活に不可欠な水へのアクセスが今なお深刻な課題である。壊れた井戸が数ヶ月から数年放置されるという状況は珍しくない。そんな現状に、テクノロジーと現地のニーズを融合した解決策で挑むスタートアップがある。株式会社Sunda Technology Global(以下、SUNDA)だ。

2025年4月、SUNDAはシードラウンドのエクステンションとして総額1億円の資金調達を実施。これにより、ウガンダ全土および他国への展開を加速させるとともに、製品の量産体制を本格化させる。

「水を売る」ことで守る地域のライフライン

SUNDAが開発したのは、従量課金型の自動水料金回収システム「SUNDAシステム」。ハンドポンプ井戸などの水設備に設置された専用端末に、あらかじめチャージされたIDタグを挿入することで水が使える仕組みだ。

▲ハンドポンプ向けSUNDAシステム

水量に応じてチャージ残高が減っていくプリペイド方式で、支払いには現地で広く普及しているモバイルマネーを利用。現金取引の煩雑さと不透明さを排除し、持続的な維持管理を実現している。

この技術はすでにウガンダの農村部300箇所に導入され、約10万人が安全な水を継続的に利用可能となった。背景には、ウガンダ農村部にある6万基以上のハンドポンプの多くが、維持費の回収ができず故障しているという課題があった。SUNDAは「お金を払ってでも安全な水が欲しい」という住民のニーズを的確に捉え、システム化することで社会課題の解決と事業性の両立を図ってきた。

公共水栓へと広がる展開、5倍の料金回収で見える可能性

近年では、地方都市や都市部の公共水栓にまでプロダクト展開を開始。すでに3台のトライアルを実施済みで、ハンドポンプに比べて1基あたり月間の水料金回収額は約5倍に達するという。これは、水単価が高く、人口密度の高い地域での設置が進んでいるためだ。

この成長を支えるのが、日本のものづくり企業との連携である。京都試作ネットを中心に協業を進め、不具合の多かったバルブや、水圧変動に耐える水量計の量産モデルを開発。現地の水事情に最適化された設計により、SUNDAのハードウェアはさらなる信頼性を獲得した。特許出願中のバルブは、アフリカ市場におけるSUNDAの競争優位性を高める鍵となる。

京都発、世界へ。共感と資金が集まる理由

投資家からもSUNDAへの期待は大きい。「単なる技術提供ではなく、コミュニティの自立を支える仕組みづくりに取り組んでいる」「社会課題の本質に根ざした事業こそ、持続的な成長とインパクトを両立できる」——1982インパクトファンドの薛悠司氏をはじめ、複数のVCがその事業性と社会性に高い評価を寄せている。

さらに、京都キャピタルパートナーズや京信ソーシャルキャピタルなど、地元・京都の金融機関も支援を表明。これは、SUNDAが京都発のスタートアップであり、技術と情熱で、遠くアフリカの課題に挑んでいるからこそ得られる信用と支援であると言える。

今後は年間3,000基の製造を可能とする拠点整備とともに、公共水栓向けに初期費用を抑えた新たなマネタイズモデルも導入予定だ。社会課題の解決と収益性の両立に挑むこのスタートアップの挑戦は、新しいインパクト創出の礎となるだろう。

関連リンク:プレスリリース

(TOMORUBA編集部) 

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  • 谷口靖弥

    谷口靖弥

    • 個人事業主
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