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【BAK成果発表会レポート 第4弾】「デジタル・DX/ヘルスケア」領域における3チームが登場!マンション修繕工事現場のDX、MICE業界向け3D空間提案システム、オンライン自習室による学習継続など、共創プロジェクトの中身とは?

【BAK成果発表会レポート 第4弾】「デジタル・DX/ヘルスケア」領域における3チームが登場!マンション修繕工事現場のDX、MICE業界向け3D空間提案システム、オンライン自習室による学習継続など、共創プロジェクトの中身とは?

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神奈川県では、ベンチャー・スタートアップと大企業などのマッチングを通じて、新規事業創出や新商品・サービスの開発を支援する『ビジネスアクセラレーターかながわ(BAK)』を積極的に推進している。去る2月21日と22日に、今年度の活動の成果を発表するイベント『KANAGAWA INNOVATION DAYS Meetup Fes 2024』が、リアルとオンラインのハイブリッド形式で盛大に開催された。

TOMORUBAでは、本イベントを取材。この記事では、『BAK INCUBATION PROGRAM 2023』から生まれた15の共創プロジェクトに焦点を当て、全4回にわたって詳しくレポートする。

第4弾となる今回は、イベントの2日目の「デジタル・DX/ヘルスケア」をテーマとした3つの共創プロジェクトを紹介する。マンション修繕工事現場のDXやMICE業界向け3D空間提案システム、オンライン自習室による学習継続など、社会課題に寄与するそれぞれの取組に、ぜひ注目してほしい。

【13 SHO-CASE × 富士防】 マンション大規模修繕工事の現場を、労務管理アプリを使ってデジタル化

■発表タイトル『マンション大規模修繕工事における、スマートフォンを活用した新たな労務安全管理システムの活用と建設DXの加速』

施工現場の労務管理システム『SHO-CASE』を開発・提供するSHO-CASEは、マンションの大規模修繕を多く手がける富士防とともに、現場の業務効率化を目指す実証実験の内容について発表した。

2022年末時点における国内マンションストック数は約694.3万戸。そのうち築30年以上のマンションは全体の約35%にあたり、2030年には現在の1.7倍にまで増える見込みだ。これらの高経年マンションは、定期的に大規模修繕工事が必要だが、工事現場は人手不足が深刻。最適な人材配置や現場の生産性向上が急務だという。

マンション大規模修繕工事の特徴だが、新規建設と異なり住民の日常生活が続くなかで工事を行わなければならない。そのため、事務所として使う十分なスペースを確保することが困難だ。にもかかわらず、誰がどの工事を担当したかを把握するための事務作業が多々あるという。その事務作業は現状、紙で管理されていることが多く、業務に負荷がかかっていると話す。

そこで今回、SHO-CASEが開発した労務管理システム『SHO-CASE』を現場に導入し、「いつ、誰が、どの現場にいたのか」をデジタルで管理できるようにした。使い方は簡単で、工事担当者にプロフィールを登録してもらい、現場に到着すればQRスキャンをしてもらう。それだけで、新規入場者調査票が作成できる。また、現場監督のスマホでQRスキャンすると、現場で働く人数や職人の属性情報も把握できる。これは本社にいながらでも確認できるそうだ。

インキュベーション期間中、まず青葉区にあるマンション大規模修繕工事現場に試験導入した。円滑に進めるために、 富士防の若手メンバーを中心にチャットグループを作成、社内周知のための説明会も開催した。実証実験では、スマホで入退場が可能か、新規入場者調査票の代替えが可能か、日々の人数集計表の代替えが可能かを確認したという。

52人の職人に登録してもらい、スマホで入退管理を行った結果、運用可能であることが分かった。一方でスマホの操作を忘れてしまうという課題もあった。他の工事現場にも導入したが、外国人労働者が多く、日本語での説明が通じにくいこと、登録に必要なメールアドレスを持っていないことなどが障壁となったそうだ。現場所長からは、入退場だけでは大きな効率化は難しいとのコメントも寄せられたという。

これらの結果から、運用徹底のためのインセンティブ設計や海外人材への対応が必要であることが把握できたと話す。さらに、部分的な書類の電子化だけでなく、全体的にDXの推進が必要であり、それによって大きなインパクトを生み出せることも分かったと語った。今後の展望についてだが、富士防としては、社内のITサービスへの抵抗感を払拭し、全社でDX化に取り組んでいきたいと話す。また国交省が推進する『CCUS(建設キャリアアップシステム)』とも紐づけていきたいとの考えも示した。

【14 bestat × JTB】 3D空間提案システムを開発し、MICE業界のサービス提案を効率化

■発表タイトル『MICE 運営事業者の運営力と労働生産性を高める「MICE 3D空間提案システム」PoC開発』

3DとAIの技術に強みを持つ大学発スタートアップのbestatは、国内最大手の旅行会社であるJTBとともに、3D空間提案システムを共同開発。国際会議や展示会などを総称するMICE市場での活用を目指す。

旅行会社であるJTBは、イベント産業を地域の中核的な産業だと位置づけている。とくにMICE(Meeting、Incentive、Convention、Exhibition/Event)領域は、コンベンション施設・宿泊施設・観光施設・飲食店等など、広い領域にまたがって経済効果を生むため、同社としても重要なセグメントと捉え、強化しているところだという。

一方で、ツーリズム業界全体が抱える大きな課題は、労働生産性の低さだ。それに伴い、人手不足も深刻さを増している。その要因となっているのが、DXの遅れだと指摘する。また、イベント業界に限って言うと、多重構造となっており、見積作成や発注の業務割合が高いと話す。イベント会場の図面や備品の管理も煩雑で、労力がかかっているという。

そこで今回はbestatとともに、顧客への空間提案を2次元から3次元化し、立体的なビジュアルイメージで提案ができるシステムを開発。見積機能なども搭載することで、MICE事業の運営の効率化を目指した。

共創パートナーのbestatは、「誰でも、自分で3Dデータを使える」時代の到来を見越し、3Dデジタルコンテンツの提供を行っている企業だ。本プログラムでは、JTBの展開する高級ケータリングサービスでの活用を見越した、3D空間提案システムを開発した。まずは、ケータリングサービスのテーブルコーディネートでシステムを開発。現状では、PowerPoint上に画像を切り貼りして提案するイメージ図を作成していたが、3Dモデルで使用備品を選択・配置するだけで空間イメージを作成できるようにした。

このシステムを空間コーディネーターに紹介したところ、反応は非常によく「有料でも使いたい」という声も寄せられたそうだ。また、大手イベントプロデューサーからは「パシフィコ横浜や東京ビッグサイト等、大きな施設でイベントを考える際の概算算出には非常にいい」というコメントももらえたという。

今後のマイルストーンとして、操作性を高めるとともに、使用したアイテム(食器や花など)に応じて、見積を作成できる機能もつけていくという。見積提示機能も実装できれば、8割程度の業務効率化を実現できる見込みだと話す。将来的にはテーブルだけに限らず、より広い空間で3Dによる提案ができるように、開発を進めていきたい考えだ。

【15 Herazika × TAC】 通信講座受講者に「オンライン自習室」を導入し、学習の継続率を高める

■発表タイトル『リスキリング 学習者に最適な学習環境を提供』

やる気不要の「オンライン自習室」を開発・提供しているHerazikaは、「資格の学校 TAC」を運営するTACと組んで、通信講座受講生の学習継続率を高める取組を実施。本プロジェクトについて発表した。

両社の見ている社会課題は「2025年の崖」だ。Herazikaで代表を務める森山氏は、「このままDXの方向に労働移動が進まなければ、最大で年間12兆円の経済損失になると言われている」と話す。そのため、政府はリスキリングによる労働移動を推進しているが、忙しい社会人にリスキリングを促すには、スキル獲得のテコ入れが必須だと指摘する。

一方で、TACは資格試験合格のための教育コンテンツを提供しているが、教材の品質をいくら向上させても、生徒が自主学習を継続しない限り、プログラムから離脱してしまうことが多いと話す。そこで今回、良質な教育コンテンツを持つTACと、「オンライン自習室」という学習支援サービスを提供するHerazikaで、学習の継続率を高めるプロジェクトを開始した。

Herazikaが開発したやる気不要の「オンライン自習室」は、学習者のデータにあわせてチームを自動編成し、そのチームを一蓮托生の関係にするものだ。自分が学習を頑張れば、チームにインセンティブがつき、逆に怠けるとチームに迷惑をかける。これをTACの学習ポータルサイトにバナー広告で表示し、受講生から参加者を募った。すると、募集開始から40日間で1327名もの登録者を獲得できたという。

登録者獲得後は、「オンライン自習室」を継続利用してもらうため、猛スピードで仕様改定を進めた。わずか2カ月で9機能をリリースし、さらに3月末までに4機能の追加も準備している。では、「オンライン自習室」を利用することで、TACのプログラムの継続率が向上したのだろうか。

全受講生と「オンライン自習室」利用者のプログラム継続率を比較した結果、4.5ptの差が生まれていることが確認できた。試算すると、期待効果として売上プラス10%が見込めるという。利用者からアンケートも取得した。一定の学習継続効果を確認できたほか、「Herazikaを利用できなくなったらどう感じるか」という質問に対し、「とても残念だ」と回答した割合が86.2%にものぼった。「自宅学習で孤独だったため、本サービスを使えてよかった」というコメントもあり、手応えのある結果を得られたと話す。

今後の展開に関しては、本プロジェクトでは約1000名を対象としたが、2024年4月からは全受講生10万人へとサービスを拡大するという。発表終了後、TAC副社長の近藤氏も登壇し、この取り組みに大きな期待を寄せていることを伝えた。

【クロージング】 「BAK2024も、社会課題解決に取り組むプロジェクトを支援」

すべての発表が終了した後、神奈川県庁の上野氏が登壇。「来期も引き続き、オープンイノベーションを盛り上げていきたいと思っている」と述べ、「本日の熱のあるプレゼンを聞いて、ぜひ自社でも取り組んでみたい、来年度BAKでマッチング相手を探してみたいという企業がいらっしゃれば、募集を開始しているので応募してほしい」と呼びかけた。

さらに、「とくに脱炭素推進など、社会課題解決に取り組むプロジェクトに注力して取り組んでいきたい。そういう企業さまから提案をいただき、一緒に取り組めることを願っている」と語り、2日間にわたって開催された『KANAGAWA INNOVATION DAYS Meetup Fes 2024』を締めくくった。

▲神奈川県 産業労働局 産業部 産業振興課 新産業振興グループ 副主幹 上野哲也 氏

取材後記

今回の成果発表会で特に目を引いたのは、KSAPとBAKの2つのプログラムを巧みに活用しているベンチャーやスタートアップの存在だ。起業支援やアクセラレーションプログラム(KSAP)、オープンイノベーションプログラム(BAK)を渡り歩き、短期間で事業を着実に成長させていく様子が、非常に頼もしく感じた。また、BAKの成果を元に資金調達を成功させた企業や、世界に進出した企業もあり、その活動の勢いによって、BAKのコミュニティ全体が活気づいていく様子も感じられる2日間だった。神奈川県から次々と新たな事業が誕生し、社会にポジティブな影響を与えていくであろう未来に、期待を膨らませたい。

(編集:眞田幸剛、文:林和歌子、撮影:齊木恵太)

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  • 奥田文祥

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    眞田 幸剛

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BAK 2023

ビジネスアクセラレーターかながわ、通称BAK(バク)。神奈川県内の大企業とベンチャー企業によるオープンイノベーションを促進のためのプログラム「BAK 2023」が始動。2023年5月30日より、ベンチャー企業が大企業と連携して取り組むプロジェクト提案の募集を開始しました。