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【ICTスタートアップリーグ特集 #29:Nefront】独自の空間認識システム(VPS)を開発!現実空間と情報空間を融合させるシステムとなり得る「IndooAR」の現在地に迫る

【ICTスタートアップリーグ特集 #29:Nefront】独自の空間認識システム(VPS)を開発!現実空間と情報空間を融合させるシステムとなり得る「IndooAR」の現在地に迫る

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2023年度から始動した、総務省によるスタートアップ支援事業を契機とした官民一体の取り組み『ICTスタートアップリーグ』。これは、総務省とスタートアップに知見のある有識者、企業、団体などの民間が一体となり、ICT分野におけるスタートアップの起業と成長に必要な「支援」と「共創の場」を提供するプログラムだ。

このプログラムでは総務省事業による研究開発費の支援や伴走支援に加え、メディアとも連携を行い、スタートアップを応援する人を増やすことで、事業の成長加速と地域活性にもつなげるエコシステムとしても展開していく。

そこでTOMORUBAでは、ICTスタートアップリーグの採択スタートアップにフォーカスした特集記事を掲載している。今回は、屋内ARクラウドサービス「IndooAR」を開発する株式会社Nefrontを取り上げる。起業の経緯、「IndooAR」の開発状況やサービスの特徴・独自性、今後の事業の展望について、代表取締役 CEOの今村氏に話を聞いた。

▲株式会社Nefront 代表取締役CEO 今村翔太 氏

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<スタートアップ解説員の「ココに注目!」>

■曽田将弘(株式会社eiicon Enterprise事業本部 IncubationSales事業部 Account Executive)

・筑波大学生・OBメンバーによって2021年6月に設立され、数々の学生アイデアコンテスト入賞や経産省の支援プログラムへの採択など、高い事業ポテンシャルを秘めた企業です!

・屋内ARクラウドサービス「IndooAR」(インドア)を開発。画像とスマートフォンのセンサー情報を元に屋内の位置情報を特定して、指定したアイテムの場所まで誘導するAR機能を簡単に実現できる独自の空間認識システム(VPS)を搭載。倉庫などの入り組んだ屋内でも正確に位置を特定できることが特長で、店舗や倉庫でのピッキング作業のサポート、商業施設やイベント会場での案内やエンタメコンテンツなどに活用が見込まれるサービスです。

・今後、スマートグラスなどのデバイスの普及・テクノロジー発展に伴い、リアルとバーチャルが溶け込んだ世界が訪れようとしている中で、現実空間と情報空間を融合させるための基盤インフラをNefrontが担っていくことを期待しています!そして、目の前にある“リアルの場所”が保有する価値を、ARによって(文字通り)「拡張」していってくれることを楽しみにしています!

テレビ番組で提案したアイデアが起業と事業化に結びついた

ーーまずは起業の背景について教えてください。

今村氏 : 私は小学生の頃、父の書斎にあった孫正義さんの本を読んで影響を受け、その頃から人生における「起業」という選択肢に興味を持っていました。また、私が進学した筑波大学は起業家育成を目的とした様々な取り組みに力を入れていたため、学部時代は大学が企画した起業家向けプログラムや企業のインターンに参加しながら新しい事業について検討していました。

そうした活動の一環として、学生によるアイデアソンをテーマにしたテレビ番組に出演する機会がありました。その番組の中で私が提案したのが「ARを使って倉庫のピッキング作業を楽にする」というアイデアだったのです。

その後、このアイデアを事業化できないかと考え、様々な企業と交流ができる「つくばスタートアップパーク」でヒアリングを重ねました。その結果、倉庫のピッキングはもちろんのこと、スーパーや小売店などの建物内ではまだまだDXが進んでいない実態を知ったため、ARを活用した建物内での位置の特定・情報提示に関する技術には十分にニーズがあると考え、起業を決意しました。

ーーARに可能性を見出したきっかけについて聞かせてください。

今村氏 : 以前からデバイスの変化に注目し続けてきました。私が子供の頃はパソコンが中心の時代でしたが、それから間もなくスマートフォンが登場し、スマートフォンに対応する様々なアプリやサービスが現れて急速に発展しました。

これから訪れる2020年代後半には、スマートグラスのような次なる世代のデバイスが登場すると予想しています。以前のスマートフォンのように人々の生活を大きく変えていくと考えていますし、そうしたスマートグラス時代の新しい基盤になり得る技術こそがARであると考えていたことが大きいですね。

屋内の複雑に入り組んだ場所でも高い空間認識精度を実現

ーーNefrontが研究開発を進めている屋内ARクラウドサービス「IndooAR」の特徴や独自性について教えてください。

今村氏 : 屋内ARクラウドサービスと謳っているように、当社独自の空間認識システム(VPS)によって、建物内の複雑に入り組んだ環境においても正確に場所を特定し、その場所に合わせた情報提示を行うことができます。

屋内のイベント会場や展示会場には似たような環境・形状がたくさんあるため、既存のVPS技術では判別・対応ができず、誤った情報を流してしまうケースも少なくありません。一方、当社の独自VPSは、形状はもちろんのこと、その他の様々な情報・データを活用することで精度の高い認識を実現しています。また、専用端末を必要としないSaaSに近いサービス形態なので、カメラが搭載されている様々なデバイスで活用することが可能です。

▲スマートフォンのカメラ情報を元に屋内の位置情報を特定して、 指定したアイテムの場所まで案内したり、場所に合わせてARコンテンツを表示したりする「IndooAR」。

ーー独自の空間認識システム(VPS)による精度の高さと使いやすさが「IndooAR」の優位性とのことですが、このプロダクトによってどのような課題解決、ペインの解消ができるのでしょうか?

今村氏 : 「物を探す手間や時間が減る」「迷わずに目的の場所に行ける」など、時間効率や体験向上に関する価値を提供できると考えています。イベントや展示会でのルート案内はもちろん、倉庫や店舗、工場、工事現場などでの効率化を実現できるほか、エンタメ領域ではリアルとバーチャルを融合した新しい遊びを提供することもできると考えています。

ーー現在の「IndooAR」の開発状況について教えてください。

今村氏 : ようやくPoCの目処が立ってきたところであり、最近では展示会などに出展させていただく機会も増えてきました。現在はそのような場を活用したニーズの調査・深掘りを進めているほか、「IndooAR」と受託事業を組み合わせてサービスを提供する話なども進んでいます。

ーー実証実験を進めながら社会実装を目指されているフェーズだと思いますが、どのようなサービス提供先をイメージされていますか?

今村氏 : まずはネットスーパーなどを中心とする流通業界の倉庫内でのピッキング、工事現場での作業支援など、業務や作業をサポートしていく方向性での提供を想定しています。その後はイベントや展示会、さらにはゲームなどのエンタメ領域への導入を進めていきたいと考えています。

エンタメに関してはARとの相性が非常にいいですからね。実際にエンタメ系企業との間で実証実験の話が進んでいるところです。

不動産、交通インフラなどリアルアセットを有する企業との共創を目指す

ーー今回のICTスタートアップリーグを通して実現したいことを教えてください。

今村氏 : まずは、実際に「IndooAR」を使ってもらえる場所を確保し、活用事例を増やしていくことを目指しています。「IndooAR」はリアルスペースにセッティングしなければ意味がないプロダクトですので、常設で使い続けていただけるようなデモスペースの確保に力を入れていくつもりです。

ーーユースケースとして流通業の倉庫や工事現場、エンタテインメント領域のお話もありましたが、これから一緒に共創したい企業のイメージなどはありますか?

今村氏 : 不動産などのリアルアセットをお持ちの企業様、あるいはそのような場所を活用してイベントや催事を提供されている企業様と提携・共創していく必要があると考えています。イベント会場に近いですが、東京ドームのようなスタジアムなど、施設や席の案内をする係員の方々が活躍されている場所にはニーズがあると思います。

さらには交通機関を運営するインフラ系の企業様との提携・共創にも興味があります。新宿駅や渋谷駅のように、広大かつ複雑な場所では必ず道案内が必要になりますからね。

現実空間と情報空間を融合し、双方が溶け込んだ世界を作っていきたい

ーー今後1、2年内の短期的な事業展望について教えてください。

今村氏 : これまではニーズがあることは確認していたものの、システムが追いついていない状況でした。これから1、2年内には、実際にイベント会場や倉庫、工事現場、エンタメ領域など、様々な場所に「IndooAR」を実装し、普及させていかなければならないと考えています。

ーーこれから5年後、10年後の中長期的なビジョンについてはいかがですか?

今村氏 : 最初に少しだけ触れましたが、2020年代後半は既存のデバイスがスマートグラスに置き換わっていく時代になると予想しています。そのような環境下においては、私たちが取り組んでいるARクラウドのニーズがさらに高まっていくはずです。人々の生活や企業活動を支えるインフラとして提供していかなければならないと考えていますし、ARクラウドをインフラとして提供していくことで、現実空間と情報空間を融合し、双方が溶け込んだ世界を作りたいと思っています。

ーー「IndooAR」は、現実空間と情報空間を融合するためのシステムになり得るということですね。

今村氏 : そうですね。現実空間と情報空間を溶け込ませるためには、人がいる場所・端末と情報とを正確に紐付けて管理する存在が必要になります。私たちが開発している「IndooAR」は、まさにそのような手続きを実現するためのプロダクトであることは間違いありませんし、現実空間と情報空間の融合については、短期的にも中長期的にも当社のビジネスを貫く軸になっていくと感じています。

取材後記

AR(拡張現実)をはじめとするXR関連のテクノロジーが広く知られるようになって数年が経つものの、私たちの日常生活に広く浸透しているとまでは言い難い状況だ。Nefront社の屋内ARクラウドサービス「IndooAR」は、概念だけが先行するARの存在を人々の実生活に浸透させ、暮らし・仕事・遊びを大きく変えていく可能性を秘めていると感じられた。また、技術的な優位性に加え、ユースケースの幅広さも「IndooAR」の大きな魅力であるだけに、様々な業界の企業が同社との共創に名乗りを上げることを期待したい。

※ICTスタートアップリーグの特集ページはコチラをご覧ください。

(編集:眞田 幸剛、文:佐藤直己)

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  • 奥田文祥

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