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【ICTスタートアップリーグ特集 #35:YStory】セルフケアアプリで女性たちの更年期をアップデート!YStoryが提案する新たなライフスタイル

【ICTスタートアップリーグ特集 #35:YStory】セルフケアアプリで女性たちの更年期をアップデート!YStoryが提案する新たなライフスタイル

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2023年度から始動した、総務省によるスタートアップ支援事業を契機とした官民一体の取り組み『ICTスタートアップリーグ』。これは、総務省とスタートアップに知見のある有識者、企業、団体などの民間が一体となり、ICT分野におけるスタートアップの起業と成長に必要な「支援」と「共創の場」を提供するプログラムだ。

このプログラムでは総務省事業による研究開発費の支援や伴走支援に加え、メディアとも連携を行い、スタートアップを応援する人を増やすことで、事業の成長加速と地域活性にもつなげるエコシステムとしても展開していく。

そこでTOMORUBAでは、ICTスタートアップリーグの採択スタートアップにフォーカスした特集記事を掲載している。今回は、更年期のセルフケアアプリ「JoyHer」を提供する株式会社YStoryを取り上げる。同社が目指すビジョンや、今後の事業の展望について、代表取締役のJanet氏に話を聞いた。

▲株式会社YStory 代表取締役 Janet Yu 氏(写真右)

※写真左は、株式会社YStory Co-Founder Sherry Shi 氏

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<スタートアップ解説員の「ココに注目!」>

■鈴木光平(株式会社eiicon TOMORUBA編集部)

・YStoryはAI技術を活用し、症状に応じた適切なセルフケアやアドバイスを提供することを目指すスタートアップ。女性の更年期離職は毎年46万人といわれ、経済損失は4200億円に上ります。同社が開発する更年期のセルフケアアプリ「JoyHer」は、最先端のAIテクノロジーとメディカルサイエンスを活用して、一人ひとりに合わせたパーソナライズのケアティップス(=アドバイス)を提供しています。

・YStoryはICTスタートアップリーグを通じ、「データを活用した女性の健康管理プラットフォームの開発」を進めています。これにより、個人の健康最適化をサポートするための革新的ツールを、法人企業や医療機関向けに提供することを目指しています。

悩みが深い一方で、的確なソリューションがない「更年期」

ーーまずは起業の経緯を聞かせてください。

Janet氏 : 更年期で悩んでいる女性は世界中に存在し、更年期に関する研究が少なく、かつ悩みが深い割に的確なソリューションも見当たらないと気づきました。共同創業者のSherryも40代にさしかかり、健康に関する不安を抱えていました。彼女とは職場が一緒で、5年以上一緒に働いてきた戦友のような存在です。自分たちで更年期の悩みを解決できないかと思い、会社を立ち上げました。

ーーなぜこれまで解決策がなかったのでしょうか?

Janet氏 : これまで更年期について定量化したデータがなかったからです。一口に更年期といっても症状には個人差がありますし、症状が変わることも珍しくありません。そもそも症状が出たとしても、それが更年期なのか他の原因があるのか、自信をもって見極められる医師の割合は15%以下だと言われています。

そのため、更年期に対応している病院の数自体も少ないですし、女性自身も症状が出た時に内科に行けばいいのか婦人科に行けばいいのか判断できないのが現状です。

ーー更年期は、症状以外にどのような悩みに繋がっているのか聞かせてください。

Janet氏 : たとえば、更年期が原因でキャリアを諦めてしまう女性も少なくありません。更年期の症状が出始める40代は、管理職として責任ある仕事を任される時期でもあります。そんな時期に、いきなり汗が出るなどの症状に苦しめられ、仕事に集中できない方も多いのです。

症状そのものも大変ですが、それによってパフォーマンスも下がり、自信を失って役職を辞したり離職したりする方も少なくありません。それは個人にとっても会社にとっても大きな損害です。さらに、会社に対して「更年期がパフォーマンス低下の原因」と言えない方も多く、実態がわからないのも大きな問題になっています。

エビデンスに基づいたセルフケアをAIが提示

ーーYStoryが提供している更年期のセルフケアアプリ「JoyHer」はどのようなサービスなのか教えてください。

Janet氏 : 日々の体調や症状を入力してもらうことで、その方にパーソナライズされたヘルスプランやティップスなどを紹介します。更年期に関する過去10年分の国際論文を機械学習させているので、エビデンスに裏打ちされたセルフケアの仕方などを紹介可能です。

また、コミュニティ機能もあり、自分と症状が似たような方とも繋がれます。先ほどお話ししたように、更年期は人によっても症状が異なるため、周りと症状が異なることで不安に陥る方も少なくありません。コミュニティで自分と似たような症状の人がいると知るだけでも情緒的な不安を減らすことができます。

ーー現在はどのような事業フェーズなのでしょうか。

Janet氏 : 「JoyHer」をリリースし、徐々に自然流入が増えてきているので、今後は企業とのコラボレーションなどを図りながらユーザーの増大を狙っていきたいと思います。アプリの中で蓄積されたデータを使って、より女性の悩みを解決できるソリューションをさらに開発して提供していきたいです。

また、ユーザーを増やすとともに「JoyHer」のブラッシュアップも図っていきます。現在、ユーザーからもたくさんのフィードバックが集まっており、新機能も開発しているところです。

ーーユーザーからどのような声があがっているのか聞かせてください。

Janet氏 : 印象的だったのは、体温を気にしているような声が多かったことです。実は更年期には体温は関係ないのですが、妊活と混同しているのかホルモンバランスと体温を繋げて考えている方が多いようです。女性自身も更年期に対する知識が不足していることが分かったため、アプリを通じて更年期の正しい情報を啓発していく重要性を感じました。

▲2024年2月に六本木アカデミーヒルズで開催された「Femtech Fes!2024」にて、「更年期セルフケアアプリJoyHer」を展示した。(画像出典:https://www.ystoryfemtech.com/news/20240212-event

医療に繋げられるような信頼度の高いサービスを目指して

ーー更年期は世界中の女性が抱える問題だと思いますが、海外展開についての考えも聞かせてください。

Janet氏 : 将来的には海外展開も考えていますが、問題はそう単純ではありません。なぜなら国や地域によって更年期の症状にも差があるからです。たとえば欧米では7割の方がホットフラッシュを発症しますが、実はアジアではホットフラッシュを発症する方は多くありません。

一方で、アジアでは不定愁訴やメンタル不調などを発症する方が多いのです。症状が違えば提供するソリューションも違うため、サービスをそのまま展開するのは難しいでしょう。また、医療制度やオンライン診療の普及具合も国によって違うため、海外展開は慎重に考えたいと思っています。

ーー将来的にはどのようなサービス構想を描いているのでしょうか。

Janet氏 : 将来的にはワンストップで更年期症状・更年期障害をケアできるプラットフォームに成長させていきたいと思っています。最終的には、医療機関とも連携しながら治療に使えるような「DTx」(Digital Therapeutics:デジタル治療)にするのも一つの目標で、病院で処方されるような信頼度の高いアプリを目指しています。

取材後記

更年期の問題は、単に解決策がないだけでなく、専門家や本人たちでさえ問題の全容を把握しきれていない根深い問題だ。海外では更年期をケアするアプリが続々と登場しているが、Janet氏が言うように地域が違えば症状も違うため、アジアにはアジアのサービスが不可欠となるだろう。

拡大を続けるフェムテック市場の中でも、一際大きな存在感を放つ「MenoTech(Menopause(更年期))+テクノロジー」。その中でYStoryがどのような成長を遂げるのか、今後に期待したい。

※ICTスタートアップリーグの特集ページはコチラをご覧ください。

(編集:眞田幸剛、文:鈴木光平)

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  • 奥田文祥

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2023年度から始動した、総務省によるスタートアップ支援事業を契機とした官民一体の取り組み『ICTスタートアップリーグ』。これは、総務省とスタートアップに知見のある有識者、企業、団体などの民間が一体となり、ICT分野におけるスタートアップの起業と成長に必要な「支援」と「競争の場」を提供するプログラムです。TOMORUBAではICTスタートアップリーグに参加しているスタートアップ各社の事業や取り組みを特集していきます。