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高専生の技術・アイデアでアフリカの課題解決を目指すプログラムが内閣総理大臣賞を受賞!「第5回 日本オープンイノベーション大賞」で選ばれた17の取り組みとは?

高専生の技術・アイデアでアフリカの課題解決を目指すプログラムが内閣総理大臣賞を受賞!「第5回 日本オープンイノベーション大賞」で選ばれた17の取り組みとは?

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1月20日、内閣府は「第5回 日本オープンイノベーション大賞」の受賞者を発表。今回は、内閣総理大臣賞を始めとする13の賞が17の取組・プロジェクトに授与された。同賞は日本のオープンイノベーションをさらに推進させるために、内閣府が主導。今後のロールモデルとして期待される先導性や独創性の高い取り組みを称えるものだ。

2018年度より開始された「日本オープンイノベーション大賞」は、オープンイノベーションの取り組みの中で、模範となるようなもの、社会インパクトの大きいもの、持続可能性のあるものについて、担当分野ごとの大臣賞、経済団体、学術団体の会長賞の表彰をすると共に、各賞の中で最も優れたものを内閣総理大臣賞として表彰している。

【表彰の種類】

内閣総理大臣賞、科学技術政策担当大臣賞、総務大臣賞、文部科学大臣賞、厚生労働大臣賞、農林水産大臣賞、経済産業大臣賞、国土交通大臣賞、環境大臣賞、スポーツ庁長官賞、日本経済団体連合会会長賞、日本学術会議会長賞、選考委員会特別賞

なお、「第5回 日本オープンイノベーション大賞」の表彰式は2/15に開催され、オンラインでも配信されるという。 

――本記事では、内閣総理大臣賞及び各賞の受賞プロジェクトについて紹介していく。

JICA 高専オープンイノベーションチャレンジが、『内閣総理大臣賞』を受賞

極めて顕著な取組等が認められる個人又は団体に対して授与される『内閣総理大臣賞』には、長岡工業高等専門学校や国際協力機構(JICA)などが取り組む「JICA 高専オープンイノベーションチャレンジ」が選ばれた。

これは、JICAがアフリカの社会課題をテーマに課題を提供し、高等専門学校の学生がチームを組んで、創造力と技術力を駆使して課題解決に取り組むプログラム。現地企業の資金調達によるスケールアップに貢献するなど、現地からも高く評価されている。さらに、グローバルエンジニアの育成効果に加えて、日本国内の地元企業群・大学と連携し、地方創生への貢献も期待されることから、日本のオープンイノベーションのあり方として新たな形を示している点も評価され、『内閣総理大臣賞』の受賞に至ったという。


▲【「第5回 日本オープンイノベーション大賞」 受賞取組・プロジェクトの概要】より抜粋

第5回 日本オープンイノベーション大賞 受賞取組・プロジェクト一覧

「第5回 日本オープンイノベーション大賞」では、13の賞が17の取組・プロジェクトに授与された。内閣総理大臣賞は上記の通りだが、DX、脱炭素、健康、新型コロナ関連、無人運航船やスポーツ領域のオープンイノベーションなど多様な取り組みが高い評価を得ており、以下にその概要を紹介していく。

なお、各取り組みの詳細や受賞ポイントなどは、「日本オープンイノベーション大賞」のWebサイトにも掲載されている。あわせてご覧いただきたい。

■内閣総理大臣賞

<取組・プロジェクト名称>

高専生の技術とアイデアでアフリカの社会課題解決を目指す 「JICA 高専オープンイノベーションチャレンジ」

<内容>

アフリカの現地連携先と設定したチャレンジ(課題)に対して、長岡工業高等専門学校が中心となって全国の 高専生チームから課題解決提案を募り、選抜された高専生チームはプロタイピングとその現地実証を実施。

<効果>

現地連携先から、高専生のプロトタイプは課題解決に有効でありアフリカの社会課題解決、高専生の能力に ついて技術、課題分析、発想力を高く評価。特にケニアでは企業が独自に資金調達しスケールアップを達成。

<応募機関>

(独法)国立高等専門学校機構長岡工業高等専門学校、(独法) 国際協力機構 (JICA) 、NPO法人長岡産業活性化協会NAZE 、長岡技術科学大学

■科学技術政策担当大臣賞

<取組・プロジェクト名称>

国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 共創の場形成支援プログラム (COI-NEXT) ゼロカーボンバイオ産業創出による資源循環共創拠点

<内容>

地域課題に関係する自治体・企業・団体等が広く参画できる地域に開かれた拠点を京都大学に設置し、 二酸化炭素の回収と固定化バイオプロセスの開発・窒素の固定化と窒素肥料の開発・空気を原料とした バイオ高分子の生産と人工クモ糸の開発と利用の3分野について、密接な連携を進める。

<効果>

産官学連携により実証・実装研究の場(イノベーション・コモンズ)として整備し、二酸化炭素固定化速度の 計測技術、高窒素農業用肥料の開発、人工クモ糸の西陣織への利用連携の達成。

<応募機関>

京都大学

■総務大臣賞

<取組・プロジェクト名称>

グローバルな現場DX/脱炭素化と国内現場力の維持を実現する 「コネクテッドワーカーソリューション」の推進

<内容>

「日本の熟練工と世界の現場を 繋ぐコネクテッドワーカーソリューション(CWS)」を構築し、熟練工による世界各地の作業者の遠隔支援・教育及び知見のデジタル化を実施。世界の脱炭素化と国内産業の維持 を両立する、ポストコロナ時代の新たなエコシステムを形成・拡大中。

<効果>

2020年以降、14ヶ国で 2000人以上がCWS を活用。本社から国内外の現場を遠隔支援するポストコロナ時代の運用体制を構築。出動人数の削減で移動時間と環境負荷も大幅低減し、生産性向上と CO2 削減を両立。

<応募機関>

Fairy Devices(株)、ダイキン工業(株)

■文部科学大臣賞

<取組・プロジェクト名称>

スパコン「富岳」による新型コロナ飛沫感染リスク評価の デジタルトランスフォーメーションと社会実装

<内容>

感染状況に応じ社会や政府が必要とするタイミングで、既存の実験やシミュレーション技術では対応できないケースに対して、リスク評価と対策提案を実施。

<効果>

パンデミック初期における飛沫・エアロゾル感染の科学的理解と、マスクやパーティション等の対策の重要性を社会に啓発し、人々の行動様式に変革を与えることで感染拡大の抑止に大きく貢献した。

<応募機関>

理化学研究所、豊橋技術科学大学、京都工芸繊維大学、 鹿島建設(株)、ダイキン工業(株)

■厚生労働大臣賞

<取組・プロジェクト名称>

国産かつ備蓄可能な臍帯から希少難治性疾患の患者さんの命を紡ぐ国産国消型プラットフォームの社会実装

<内容>

東大医科研臍帯血・臍帯バンク、ロート製薬、アルフレッサとの連携を通して、原材料としての臍帯の調達から、臍帯由来間 葉系細胞の製品化に向けた大量培養、そして同細胞製品の医療機関への輸配送から販売に至るまで、一気通貫のサプラ イチェーンの座組を構築。この細胞製品を用いて、有効な治療手段がない複数の難治性疾患に対する治験を実施中(造血 幹細胞移植後の肺合併症を対象とした世界初のPhase 2試験、COVID-19に伴う重症肺疾患を対象としたPhase 1試験)

<効果>

本体制のもとで製造された国産の臍帯由来間葉系細胞製品を再生医療等製品として薬事承認を取得し、医療現場での 実用化を果たす。臍帯を用いた国産国消型の細胞医療プラットフォームをモデルにした国際的な細胞医療の品質標準化 への貢献を通して、日本以外の国・地域でも実装し、世界の希少難治性疾患の克服を目指す。

<応募機関>

ヒューマンライフコード(株)、東京大学医科学研究所附属病院、 アルフレッサ(株)、ロート製薬(株)

■農林水産大臣賞

<取組・プロジェクト名称>

農業機械技術クラスターによる農業機械化支援

<内容>

農業機械技術クラスターで会員等から開発要望を随時募集し、選定された課題について公募を行いコンソーシアムを形成する。コンソーシアムに参画したメーカーは、速やかな社会実装に向け研究開発 を実施する。

<効果>

2018年にクラスターを開始し、2021年度までに14 課題が終了し、2022年8月時点で8機種が市販されている。現在も市販化される機種および普及台数は年々増加しており、これらの開発機により、地域農業の軽労 化や後継者不足対策等に貢献している。

<応募機関>

(国研)農業・食品産業技術総合研究機構

■経済産業大臣賞

<取組・プロジェクト名称>

ブタ用経口ワクチン・飼料添加物の実用化

<内容>

2021年に経口ワクチン事業を中心とした事業計画及び経口ワクチン開発費用を資金使途での調達活動、 2022年3月にPCV2経口ワクチンの攻撃試験を実施。

<効果>

資金調達に成功し、さらに経口ワクチンの事業化パートナーとして、双日(株)及び(株)ユーグレナから の出資を 受けたことで、事業化の速度が増している。PCV2経口ワクチンにおいて、注射型ワクチンと同等のワクチン 効果と、ウイルス感染防御に伴う体重増加効果を確認した。

<応募機関>

KAICO(株)、九州大学、双日(株)

■国土交通大臣賞

<取組・プロジェクト名称>

無人運航船の未来創造~多様な専門家で描くグランド・デザイン~

<内容>

海運・造船・舶用メーカ等の海事産業だけでなく、多種多様な国内 30 の組織で核を構成し、それ支える 国内外 30 超の協力組織を加えた 60 組織以上で構成する Open Innovation 型コンソーシアムを設立。 技術開発では、「無人運航船に必要な機能を網羅した包 括的なシステム」を開発。

<効果>

実船実証実験における無人運航システム稼働率「総合 98.5% (往路 97.4%、復路99.7%)」を達成し技術に 関して国際的な高い評価を得た。

<応募機関>

(株)日本海洋科学、(株)MTI、日本郵船(株)、(株)三菱総合研究所

■環境大臣賞

<取組・プロジェクト名称>

環境に優しいバイオマスプラスチックを用いた PTP 包装の実用化

<内容>

従来素材のPPが持つ性能を維持しつつ、原料の50%以上を植物由来へ切り替えたPTPシートの開発と、 バイオマスPTPシートに最適な製造条件の検討を実施。

<効果>

PTP用容器フィルムによる二酸化炭素排出量は、従来比で約40~60%削減。医薬品PTPシートにおいても 従来の品質を維持しながら、バイオマスプラスチックを活用した環境負荷低減が可能である事を立証した。

<応募機関>

アステラス製薬(株)、三菱ケミカル(株)、CKD(株)

■スポーツ庁 長官賞

<取組・プロジェクト名称>

「スポーツの成長産業化」を実現する~『スポーツ×他産業』による 新ビジネス創出を目指すオープンイノベーションプログラム~

<内容>

プログラム設計・運営、全国のパートナー企業(他産業)とのマッチング、実証・実装フェーズでの伴走支援を 実施。プロスポーツチームを巻き込んだプログラムとしては最大級のアクセラレーションプログラムの運営。

<効果>

パートナー募集説明会参加数:424名、各地域プログラム参加パートナー応募企業数:201社(件数284件)、 最終成果発表会参加者数:196名、新規事業創出数:12件を達成。

<応募機関>

eiicon company

■日本経済団体連合会会長賞

<取組・プロジェクト名称>

一般社団法人スタートアップエコシステム協会を通じた 日本型スタートアップエコシステムの構築

<内容>

アクセラレーター・インキュベーター・コミュニティ等の連携の促進、相互の情報交換の機会の提供、関係者 やスタートアップ支援者にむけたイベントの実施、スタートアップエコシステムの課題調査を実施。

<効果>

アクセラレターをはじめとしたスタートアップ支援者の連携組織に、賛同者として様々な組織から25名が参画。22年3月の設立から同年8月まで、合計で10 回以上の一般向けのイベントを開催し、合計で1,000 名超が参加。東京都と連携し、22年12月にはStartup Ecosystem Summit(スタートアップ支援者50者が登壇)、23年1月 にはStartup Career Fair(150社強が参加予定)等の活動を実施(22年11月時点の計画)。

<応募機関>

(一社)スタートアップエコシステム協会

■日本学術会議会長賞

<取組・プロジェクト名称>

内視鏡の画像診断支援 AI(人工知能)の開発

<内容>

産学連携開発に構築・実践、胃がん診断支援 AI 、食道がん診断支援 AI の研究および開発。社会実装と事業化のための特許共同出願と早期審査による特許登録。論文執筆向けた研究の実施及び論文の執筆・発 表、学会での発表、各種勉強会・セミナーにおける登壇など、共同での情報発信(累計件数 50 件程度)

<効果>

静止画における胃がん検出 AI 開発に世界初成功(感度 92.2%、直径 6mm 以上の病変においては感度 98.6%)。動画を用いた胃がん検出AI開発に世界初成功(感度94.1%)。CNNと内視鏡医の早期胃がんにお ける検出能力を比較検証したところ、胃がん検出AIが、感度において内視鏡専門医を有意に上回ることを 示した。静止画を用いた食道がん検出 AI 開発に世界初成功(1,118 枚の画像解析速度 27 秒、検出感度 98%)。

<応募機関>

(株)AI メディカルサービス、(公財)がん研究会

■選考委員会 特別賞(全5プロジェクトが受賞)

<取組・プロジェクト名称>

持続可能な自助・共助の「分散型健康生産社会」を実現する 産学官民連携「日常人間ドック」エコシステムの構築

<内容>

大学内「疑似日常空間」で複数の試作センサを組み合わせ、企業研修施設で30日間実証。大学病院やス マートシティを推進する自治体に展開し、旅行、食事、暮らし、運動など日常生活の各々の場面で日常ビッグ データを収集、分析し、それをもとにした日常人間ドックサービスを参画企業が提供。

<効果>

健診の場では登米市、日常の生活シーンでは、 高松市で社会実装に成功。参画企業は48社、 関連する自治体・組織等は101団体に上る。 民間投資40億円以上を調達し、パッケージ化した IoT知財プールは30以上となり、COI東北拠点発の スタートアップ5社を創造し、経済効果18.4兆円。

<応募機関>

フォーネスライフ(株)、東北大学

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<取組・プロジェクト名称>

紙コップから堆肥へ! 生分解紙コップを用いた循環型システムの共同実証実験

<内容>

三菱ケミカルが開発した生分解樹脂BioPBSTMを用いた紙コップ、NTTビジネスソリューションズ及びウエル クリエイトが提供する食品残渣発酵分解装置(フォースターズ)、福岡県立行橋高等学校の農業技術科による 野菜の栽培で、食品残渣と使い捨て容器の循環を達成。

<効果>

15の業種・団体の連携によって本事業が成立した他、堆肥化技術を利用し、食品残渣と使い捨て容器の 資源循環が同時に達成。またスポーツを活用することで、老若男女の地域住民の環境意識を高め、 資源循環による持続可能な社会の発信に貢献した。

<応募機関>

福岡県立行橋高等学校、(株)ギラヴァンツ北九州、三菱ケミカル(株)

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<取組・プロジェクト名称>

異業種連携によるイベント時混雑緩和と地域活性化ソリューション

<内容>

異なる分野のグループがそれぞれ独自の強みを補完し合うことで、実際のイベント現場で大規模なユーザに 対してアプリケーションを提供し、周辺の飲食店による協力やタクシー配車も行う実証実験を実施。これまで にない独創的な行動変容の成果を得た。

<効果>

サービスの利用者の内40~50%程度が、イベント終了後に15分以上待つことを選択。平均来場者数11,000人 のイベントにおいて、1試合当たり平均331人の方が利用。これにより帰宅分散に寄与した。

<応募機関>

神戸大学、(株)デンソーテン、楽天モバイル(株)、神戸市、楽天ヴィッセ ル神戸(株)

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<取組・プロジェクト名称>

COVID-19下水疫学調査の実用化

<内容>

下水疫学調査の社会実装の早期実現という共通の目的意識のもと、北海道大学(北島ら)と塩野義製薬(小 林・岩本ら)は 2020 年 10 月より産学共同研究を実施。下水からの新型コロナウイルス変異株検出技術を開発し、その有用性を実証するとともに、塩野義製薬による変異解析サービスの提供という形で実用化を実現。

<効果>

東京2020オリンピック・パラリンピック選手村において、下水疫学調査を実装し選手村における感染対策に 貢献したことをはじめ、ウイルス検出技術の国際標準化(ISO規格)やEUでの下水疫学調査の制度化など の国際的な取組にも参画し、日本を代表するプロジェクトチームとして国際的にも存在感を発揮し貢献。

<応募機関>

北海道大学、塩野義製薬(株)、(株)AdvanSentinel

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<取組・プロジェクト名称>

日本人腸内細菌叢データベースを活用した腸内環境評価システムの開発と検査サービスの事業化

<内容>

京都府立医科大学による精度の高い診療情報データが紐づいた分析データの提供、摂南大学による腸内 細菌叢の測定/AI(機械学習)を用いた解析ノウハウ、腸内細菌の解釈に係る知見の提供、プリメディカによ る統計解析リソース、 検査サービスノウハウの提供を通じ、2021年6月に特許共同出願。(2022年11月時点 において特許査定を受け、現在特許料納付手続き中)その後、2021年12月に事業化。

<効果>

研究成果を学術誌『Microorganisms』に 2022年3月 20日付で掲載。健康な人から様々な疾患を持つ人 まで、多数の日本人を対象とした腸内細菌叢プロファイルに関する初めての報告を実現。

<応募機関>

京都府立医科大学、摂南大学、京都府立医科大学、(株)プリメディカ

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