NTT西日本をはじめとした7者のコンソーシアム|万博開催予定地である夢洲で、ローカル5Gを活用した港湾・コンテナターミナルのDXに向け実証実験
西日本電信電話株式会社(NTT西日本)、夢洲コンテナターミナル株式会社、三菱ロジスネクスト株式会社、大阪市、阪神国際港湾株式会社、京セラコミュニケーションシステム株式会社、NTTビジネスソリューションズ株式会社の7者で構成した実証コンソーシアムによる実証提案「ローカル5Gを活用したコンテナプランニングデータのリアルタイム伝送等による港湾・コンテナターミナルのDXの実現」が、総務省「令和4年度 課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」(※)に採択された。
既に実施された2021年度の開発実証に引き続き、実環境下におけるローカル5Gを活用した港湾業務の効率化・周辺道路の混雑緩和に向けた実証実験を、大阪・関西万博予定地の夢洲で開始する。
背景と開発実証の趣旨
サプライチェーンの更なるグローバル化により重要性を増す港湾事業においては、大型コンテナ船の寄港増加による荷役時間の長期化、コンテナターミナルのゲート前混雑の深刻化という課題と高齢化および担い手不足への対応が求められている。
このような課題に対応するため、夢洲コンテナターミナル内にローカル5G環境を構築し、コンテナターミナル内業務ネットワークの高品質化、コンテナプランニングデータ(※1)のリアルタイム伝送による保管工程業務の効率化、トレーラー待機場の混雑状況の可視化を実現し、実環境下での港湾・コンテナターミナルのDX化による効果を実証する。
また、コンテナターミナルという環境下において、伝搬路におけるコンテナ等の遮蔽物や海面の割合などに着目した電波伝搬モデルの精緻化を行う。
実証コンソーシアムでは、昨年度に引き続き、港湾事業の持続的発展、万博開催に向けて抱えている課題および通信環境整備に関する課題の解決につなげる実証実験に取り組む。
※1:コンテナ船からの効率的な積み下ろしのため、港湾事業者が予め策定する作業計画のこと。
実証内容
(1)ローカル5Gを用いた港湾・コンテナターミナルのDX化による効果の実証
①コンテナターミナル内業務ネットワークの高品質化による業務効率化の実証
夢洲コンテナターミナル内において、各種システム個々で採用していた無線機やWi-Fiなどの通信手段をローカル5Gに一元化し、ネットワークを高品質化することで、港湾業務全体の業務効率化が実現できるかを検証する。
図1 ローカル5Gによるネットワークの高品質化実証のイメージ
②コンテナプランニングデータのリアルタイム伝送による保管工程業務効率化の実証
従来、作業員に配布していた紙での荷揚げ計画指示書をプランニングデータとしてRTG(※2)に設置したタブレットに送信することで保管工程業務の効率化が実現できるかを検証する。
図2 コンテナプランニングデータのリアルタイム送信実証のイメージ
※2 Rubber Tired Gantry crane(タイヤ式門型クレーン)
③トレーラー待機場の混雑状況の可視化による行動変容の実証
トレーラー待機場からローカル5Gにより車番認証システムへ送られてきたトレーラーのナンバープレート画像を基にデータ分析と混雑状況の予測を行い、待ち時間の予測情報をポータルサイトに掲載することで、ドライバーの行動変容を促し、車両来場時間の平準化が実現できるかを検証する。
図3 混雑状況の可視化による行動変容実証のイメージ
(2)ローカル5Gの電波伝搬特性等に関する技術的実証
コンテナターミナル特有の環境要因であるコンテナや海面等の影響を考慮した電波伝搬特性を調査し、港湾業務で求められる通信要件を満たしつつ、周りへの電波干渉等の影響を最小限に抑えることを目的とした電波伝搬モデルの精緻化について、電波測定等を通して検証する。
実証期間は、2023年1月30日(月)から2023年3月24日(金)まで。実証エリアは、夢洲コンテナターミナル及びトレーラー待機場(下図参照)
図4 夢洲全体像
なお、実証により得られた知見を基に、ローカル5Gの特長である広範囲・低遅延・大容量無線通信を活用し、コンテナターミナル内業務ネットワークの高品質化やコンテナプランニングデータのリアルタイム伝送による業務効率化、トレーラー待機場の混雑状況の可視化による周辺道路等における交通渋滞の緩和をめざし、全国の港湾事業全体の発展に貢献していくという。
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