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英国政府をバックボーンとするInnovate UKと14の英国企業が、バッテリー分野での日本企業との共創を求めて来日――グローバルオープンイノベーションの可能性とは?

英国政府をバックボーンとするInnovate UKと14の英国企業が、バッテリー分野での日本企業との共創を求めて来日――グローバルオープンイノベーションの可能性とは?

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2022年8月27日~9月3日、イギリスの「Innovate UK」が主催する「グローバル・ビジネス・イノベーション・プログラム」の一環として、「バッテリーテクノロジー」をテーマとしたプログラムが東京で実施され、Innovate UKのスタッフおよび14の先進的英国企業が来日した。

Innovate UKは、イギリスにおいてオープンイノベーションを主導する産業助成機関であり、イギリス国内の革新的事業をグローバルに成長・発展させるため、国際的なパートナーシップ構築を目指す「グローバル・ビジネス・イノベーション・プログラム」を推進している。今回の来日はその一環として、バッテリーテクノロジーに主眼を置いたイノベーション機会の創出や日本での共創可能性を求めて企画されたものだ。

Innovate UKのメンバーは日本に滞在中、日本のオープンイノベーション事情を把握するために、日本の代表的なオープンイノベーションプラットフォームである「AUBA」を運営するeiicon companyに来訪。

eiicon companyの中村亜由子(代表/founder)と栗山彩香(Platform事業本部長)は彼らに対して、国内のオープンイノベーションに関するセミナーを開催し、その現状などを伝えるとともに、代表の一人であるトーマス・バートレット氏(Innovate UK バッテリーテクノロジー長/ファラデー・バッテリー・チャレンジ担当)に取材を実施した。

――Innovate UKが担う組織としての役割や、日本を対象国として選んだ理由、また日本のオープンイノベーション状況に関する感想などについて、話をうかがった。


▲8月31日にeiicon companyにて実施されたセミナーの模様。イギリスから来日した参加者たちは日本のオープンイノベーション事情について興味深く耳を傾けた。

来日の狙いは、バッテリー分野におけるビジネスの機会創出

――最初に、Innovate UKという組織のミッションや役割についてご紹介ください。

トーマス氏 : Innovate UKは、一言でいえば“イノベーションのためのエージェンシー”です。イギリスの政府機関であるUKRI(UKリサーチ・イノベーション)の構成機関の傘下にあり、イギリスにおける産業研究、グローバルレベルでの企業との関係構築、また資金に関わることなどを担当しています。今後3年間でのUKRIの予算は3兆円設定されており、そのうち、私たちInnovate UKの予算は4,000億円です。

Innovate UKに期待されているのは、この予算を用いて、ビジネスにおけるイノベーションの初期段階から事業化までのアーリーステージにおいて、コラボレイティブリサーチ、さらにプロモーションをすることです。具体的には、資金の提供や国内外のネットワークの構築、中小企業と投資家とのマッチングをはじめとする投資面での支援などです。


▲トーマス・バートレット氏(Innovate UK バッテリーテクノロジー長/ファラデー・バッテリー・チャレンジ担当)

――今回、東京でのプログラムはどのような趣旨で行われているのでしょうか。

トーマス氏 : 現在、私たちが推進している「グローバル・ビジネス・イノベーション・プログラム」は、デジタル技術や農業分野での技術革新、次世代型バッテリーの開発といった、様々なジャンルを網羅しています。それらの各ジャンルにおいて、イノベーションやテクノロジーに関して同じような考え方、意識を持っている国や地域と共創を進めるのがプログラムの主な目的です。

今回は日本を対象にバッテリーの分野で研究開発のコラボレーション、潜在的な合弁など、新たなビジネスの創出機会を探したいと願い、意欲ある14の英国企業と一緒に来日しました。

バッテリーの分野でぜひ日本と協業を進めたい

――様々な国々で共創の可能性を追求なさっている中で、今回、パートナーとして日本を選ばれた理由はどこにあるのでしょうか。

トーマス氏 : 大変良い質問です。本プログラムでは地域ごとにチーム分けがなされ、それぞれ担当地域の技術力や潜在力を評価するのですが、アジアのチームでは日本のテクノロジーが高く評価されており、ぜひ訪問したいと考えていました。

私が所属するのは、「ファラデー・バッテリー・チャレンジ(Faraday Battery Challenge)」という組織です。

このプログラムは2017年に始まったのですが、英国のイノベーションプログラムの中でもフラッグシップ的な存在で、次世代型バッテリーの研究や、事業間コーディネーションを行い、先進的なビジネス革新の環境を構築していくものです。

5年間、この専門的な分野におけるイギリス国内外での動向に注目してきましたが、現在は、日本に注目するのに非常に良いタイミングではないかと考えています。日本は次世代バッテリーの開発および製造に対し、多大なる投資を行っており、その研究開発の成果は高く評価されています。

イギリスと日本は、ずっと以前にリチウムバッテリーをめぐって共同研究開発を行った歴史もあります。この素晴らしいストーリーを背景として、再び日本とコラボレートできるのは大変喜ばしいことです。


オープンイノベーションをめぐる日本と海外の違い

――さきほどeiiconのセミナーで、日本のオープンイノベーションプラットフォームである「AUBA」についてご説明をさせていただきました。日本のオープンイノベーションの実践状況、あるいは市場感などに関して、どのような感想を持たれましたか。

トーマス氏 : 素晴らしいプレゼンテーションだと感じました。ここには非常に良い未来が展開されているように思います。今後、AUBAにアクセスしていく企業も増えていくことでしょう。

ただ、イギリスと比べた場合に、日本企業には少し違いを感じる面もあります。バッテリーの分野は我々が得意とするカテゴリーですが、規模感や方法論などにおいて異なる部分が多く、大変興味深く思っています。

イギリスではオープンイノベーションに対する価値観、意識がとても高く、投資という側面からも非常に重要だと考えられています。まさに「AUBA」が狙いとされているところでしょう。イギリスの企業が、直接「AUBA」にアクセスする機会も、今後ありうると思います。

――いまのお話にあった、日本と、イギリスあるいは欧州との、オープンイノベーションの方法論の違いとはどのようなことでしょうか。

トーマス氏 : イギリス、ヨーロッパ、あるいはアメリカの場合、研究開発プログラムのまさにコアの部分を、我々のような政府機関が担っています。その価値を重視し、大企業から零細企業まで、研究開発の初期、アーリーステージからかなり長い時間をかけて、研究開発が確立されていくのです。

一方、日本の場合は、研究開発は企業の主導で、主に企業内部で行われます。こうした状況を突破しようとしているのが、「AUBA」のような存在ではないでしょうか。

「AUBA」というプラットフォームが出てきたことで、日本以外の国際企業にとっても、日本の研究や技術開発の状況が可視化され、認識されるようになるでしょう。

――それでは最後に、読者である日本のオープンイノベーション担当者や新規事業担当者に対して、ぜひメッセージをお願いします。

トーマス氏 : 日本とイギリスは、過去の歴史を振り返っても非常に関係が深い間柄です。研究開発の分野で国際的にコミットしている私たちとともに、戦略パートナーとしてぜひ科学技術の革新を果たしていきましょう。

今回、1週間の滞在におけるテーマはバッテリーテクノロジーが主でしたが、今後は、例えば5Gなど、多くの先進テクノロジーを視野に入れています。

日本は、いままさに、オープンになろうとしているように感じられます。バッテリーに限らず、英国企業の研究開発を日本で行う、あるいは日本の企業がイギリスでのオープンイノベーションを追求するといった場合には、ぜひ強力に支援していきたいと考えています。ぜひ私たちのネットワークに注目してください。


(編集・取材:眞田幸剛、文:椎原よしき、撮影:加藤武俊)

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  • 増山邦夫

    増山邦夫

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  • 須原

    須原

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