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【OKI Innovation World本日開催!】―”全員参加型イノベーション”を掲げるOKI社内イノベーター4名が語る、挑戦のきっかけとその先の未来

【OKI Innovation World本日開催!】―”全員参加型イノベーション”を掲げるOKI社内イノベーター4名が語る、挑戦のきっかけとその先の未来

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「全員参加型イノベーション」に取り組む沖電気工業株式会社(OKI)が、「OKI Innovation World 2021」というイベントを、本日10月18日(月)14時より開催する。OKIが全社をあげて推進するイノベーション活動を、トップの想い・具体的なイノベーション事例・挑み続けるイノベーターたちの声の3つの角度から紹介するものだ。今回は、昨年に続く2回目の開催となる。

OKIの技術や製品といえば、金融・防災・旅客交通・通信など、公共性の高い分野で数多く採用され、社会インフラを支えている。例えば、ATMで現金をおろすとき、空港で飛行機に乗るとき、高速道路でETCを通過するときなどに、誰もが知らず知らずのうちに、 OKIの技術や製品に触れているのだ。こうしたミッションクリティカルな領域で、確固たる地位を築き上げてきた OKIだが、新規事業の創出や既存事業の革新にも余念がない。同社は「全員参加型イノベーション」を掲げ、全社をあげてイノベーション活動を推進中だ。

では、実際、どのような取り組みが進んでいるのか――。今回、TOMORUBA編集部では、「OKI Innovation World 2021」にも登壇する4名の社内イノベーターらに事前インタビューを実施。いずれも組織の垣根を超え、挑戦し続けるイノベーターたちだ。それぞれの視点から、挑戦のきっかけと、その先に広がる可能性について語ってもらった。

“挑戦のキッカケ”――どんな課題を解決するために、挑戦をはじめたのか

――まず、現在の新規事業やプロジェクトを開始しようと思った理由からお聞きしたいです。吉原さんは現在、「AIエッジ技術を活用した、中小企業向け業務支援サービス」を、地方銀行に対して提案されているそうですね。

吉原氏: 今回の取り組みは、もともと私が大手製造業・流通業のお客様向けに、課題解決の手段として提案してきたものです。それを、地方銀行の取引先である中小企業や地公体向けに活用できないかと考えています。現在、銀行は地方経済の低迷やマイナス金利政策などで経営が厳しい状況になってきています。OKIにとって銀行はATMや窓口端末等で大変お世話になっており、その大切なお客様が困っているのなら何かお手伝いができないかと考えていました。

そんな時に目にしたのが、「銀行業高度化」と呼ばれる法改正です。従来、銀行は「銀行業務」しか行うことができませんでした。しかし、法改正によって「地域のDX」に関わるものであれば、認可を得ることで手がけられるようになったのです。 地方銀行がDXパートナーとして機能すれば、地方の中小企業にも幅広く事業を展開できる可能性があり、また銀行にとっても新たなビジネスとなり、地域経済の活性化にも繋がるのではと考えました。


そこで、2019年の「Yume Proチャレンジ」(社内ビジネスアイデアコンテスト)に、ビジネスプランを提出。結果、準大賞を獲得することができました。受賞後、2020年の夏頃から地方銀行へのヒアリング活動を開始したのですが、想定以上によい反応を得ることができたことから、2021年4月に私が金融チームへ異動し、非金融ビジネスとして本格的に取り組むことになりました。


▲沖電気工業株式会社 マーケティング&サポート本部 吉原和英 氏

――では「Yume Proチャレンジ」が、転機となったのですね。金融機関のお客様は、どのような点を評価されているのですか。

吉原氏: 興味を持っていただいているポイントは、中小企業の本業支援・操業支援であることです。法改正で、ビジネスマッチングや地域商社といった新規事業を始めた銀行はたくさんありますが、収益性の観点で課題感をお持ちです。

一方、AI技術を活用した本業支援・操業支援であるこの取り組みは、銀行グループが直接サービス等を提供することを前提にしているため、より高い収益が見込めます。こうした点が評価され、これまで16行に提案活動を行ってきましたが、そのうち6行では具体的な検討フェーズに入ることができ、中にはトライアル案件を受注するフェーズまでステップアップしています。これは、新規ビジネスで考えると非常に高い確率だと手応えを感じています。

――武市さんは「行動変容システムを活用した、行動変容サービス」を、立ちあげようとされていますが、なぜOKIで行動変容サービスなのでしょうか。

武市氏: OKIの新規事業開発において、ヘルスケアが注力領域だったことが理由のひとつです。ヘルスケア事業の可能性をOKI社内で探っていく中で、ある研究開発のメンバーに出会いました。そのメンバーが、人の生活習慣や高齢者のフレイル、震災時のコミュニケーションなどにおける「行動変容」について、真剣に研究をしていることを知り、研究開発部門との連携に可能性を感じました。その後は顧客アポイントを取るたびに私から声をかけるようになり、一緒に事業化を目指した活動に取り組むことにしました。


▲沖電気工業株式会社 イノベーション推進センター 武市梓佐 氏

――すでに鹿島建設さんのオフィスビルで、「階段利用を促す行動変容システム」の実証実験を行われたそうですね。結果はどうでしたか。

武市氏: この実証実験は「意識づけ」と「習慣化」を目標に実施したのですが、アンケートでは「意識が変わった」「階段を登ろうという気持ちになった」という方が、40%にのぼりました。ですから、私たちが開発したシステムを使ってもらうと、意識の変化が現れることは実証できたと思っています。

一方で、今後の課題としては、「企業側が使わせたい」気持ちと「従業員が使いたい」気持ちはまったく別物なので、従業員が自ら使いたいと思えるサービスに育てていくこと。また、持続可能な事業として、事業性を示していくことも課題です。


https://www.oki.com/jp/press/2021/07/z21032.html

――2019年度から取り組まれてきて、どう変化が生じてきましたか。

武市氏: この取り組みを始めた2019年度頃は、私たちのチームと組みたいという企業は多くありませんでした。しかし、少しずつ結果を出すことで、組みたいと言ってくれる企業が増えてきました。まだサービスが完成していないため、待ってもらっている企業もあるぐらいです。少しずつ前進があることに関しては、手応えとやりがいを感じていますね。

――古川さんは、社内向けに「AI-CoP (Community of Practice)」という研修を開催されていると聞きました。この取り組みを始めようと思った理由は?

古川氏: 私が所属しているのは、OKIのものづくりを担うエンジニア部隊です。この取り組みを開始した背景には、当時のトップが持っていた危機感とエンジニアたちが感じていた漠然とした不安がありました。というのも、年々「多様化」「高速化」するお客様からの声に対して、「今までのやり方だと通用しない」と、薄々感じるようになっていました。ただ、どう改善をすればいいのかが分かりません。


そこで、この活動を開始した2018年当時、AIというブレークスルー技術が注目を集めていたのと、知見のあるトップの方の勧めもあり、それを活用してみようということになったのです。しかし、エンジニアに、一緒にAIを勉強して開発してみよう!と声をかけても「忙しい」と取り合ってくれないのは容易に想像がつきました。また、AI領域の専門家の論文を読んでも、どう現場に適用すればいいのかイメージが湧きません。知見のあるトップの方のアイデアを頂き、それに共感したメンバーで「みんなで一緒に考えながらAIを開発できるような場」を作ればいいのではないかと考えました。学びながら自らの課題をAIで解決するような場です。


▲沖電気工業株式会社 コンポーネント&プラットフォーム事業本部 古川雄一 氏

――古川さんご自身は、AIに触れてみた当初、これが社内の変革につながりそうだという実感があったのでしょうか。

古川氏: ありましたね。私が当初、感じたことは「AIは簡単だ」ということです。「これは、ぜひ社内全員に教えないといけない」と強く感じました。

また、AIの特徴として「データが王様」なんです。よいAIを構築するためには、よいデータが必要です。OKIには工場のデータ、ATMのデータ、プリンターのデータなど、過去に積み上げてきた莫大なデータがあります。これらとAIを組み合わせることで、データが資産になると可能性を感じました。

――実際、社内にAIの使い方を広めることで、どのような変化が生じてきていますか。

古川氏: 自社の業務効率化にAIを活用するような取り組みは、いくつも生まれてきています。例えば、エンジニアの世界は職人芸のようなところがあるのですが、それらをAIに学習をさせて効率化するような取り組みなど、徐々に成果が出てきていますね。

――山本さんは、OKIの施工・保守を担うOKIクロステック社で、「スマートグラスを用いた社内研修」の検討を始められたそうですね。

山本氏: 私の所属するOKIクロステックは、主にOKIの施工と保守を担っています。OKIの製品は全国各地に設置されていますから、お客者先へすぐ駆けつけられるよう、全国各地に事務所を構えています。こうした事業を展開する当社にとっては「技術力と作業品質」が非常に重要で、毎年継続して延べ5,000人の技術者に対して、技術研修を実施してきました。しかし、コロナによって、集合研修が困難な状況になってしまったのです。

もちろん、オンライン会議システムを用いてリモート研修を行ったりもしましたが、「パソコンだと見えづらい」「力加減が分かりづらい」という声があがります。全国に配置されたすべての技術者に、どう研修を実施していけばいいのかと悩んでいたところ、OKIが開発中の「スマートグラス」があることを知りました。これは、活用できるのではないかと考えました。


▲OKIクロステック株式会社 人事総務部教育部 山本正直 氏

――「スマートグラス」を社内の技術研修に活用検討するのは、今回が初めてですか。

山本氏: 今回が初めてです。ただ、5年ほど前から同業他社さんでは導入されていて、当社も検討をしたことがありますが、使い勝手の悪さや重たさから導入を見送りました。一方、今回活用検討したOKIのスマートグラスは、バーチャルな手が表示され指・手の動きで非常にわかりやすく相手に伝えることができます。こうした利点があることから、スマートグラスを活用したリモート研修を実現できないか検証したいと考えました。

――社内研修ではなく、実際に社外で行う施工・保守・などにも導入していく予定ですか。

山本氏: 社外での活用には、もう少し時間がかかるでしょう。技術員はお客様先で作業することが多く、スマートグラスは動画・写真録画機能があるため、お客様からは「会社の情報を盗まれているのではないか」という疑念を持たれる可能性があるからです。

“挑戦のサキ”――挑戦の先に、目指したい未来とは

――続いて、それぞれの取り組みを通して、どのような未来を実現していきたいのか。挑戦の先にある未来図についてお聞かせください。

吉原氏: 私自身、この取り組みを通して、地方銀行のデジタル戦略担当者や企画担当者の方たちと、初めて議論をするようになりましたが、話を聞いていると、本当に皆さん、地域経済、産業の発展を真剣に考えています。地域のDXを通じて、地域経済を盛り立てることに、非常に意欲的なのです。私たちとしても、地域経済の中心である地方銀行の皆さんと一緒に、地域に貢献していきたいと考えています。

――そうすることで、OKIの可能性はどう広がっていくのでしょうか。

吉原氏: OKIはこれまで、中央官庁や大企業を主な取引先としてきたため、地方の中小企業には事業を展開できていませんでした。しかし、地方銀行とパートナーシップを組むことで、地方の中小企業にも事業を拡大することができます。これまでOKIが手がけてこなかった領域に進出できるのです。企業の99%以上は中小企業ですから、そこにOKIの技術・ノウハウを活かすことができれば、国内産業の発展にも寄与できると考えています。

――今回の新規事業に取り組む中で、改めて気づいたOKIの強みはありますか。

吉原氏: やはり技術力でしょう。特定の領域を支えるニッチな技術が、その企業や市場を支えています。例えば、ATMであれば「紙幣の認識技術」などですね。その技術が強いから、そのプロダクトが残り、その産業を支えているという構造です。OKIは、社会インフラや小売、製造、金融、交通旅客などの領域において強みを持つ企業ですが、それぞれに対して技術的な優位性を持っています。このコア技術こそが、やはりOKIの強みですね。


――武市さんは、行動変容サービスを、どう育てていきたいですか。

武市氏: 個人的な話になるのですが、最近、引っ越しをしたんですね。引っ越し先のマンションに「OKI」と書いてあって、何だろうと思って調べてみたところ「沖電気防災」という今はもうないグループ会社の防災システムでした。私たちが今、取り組んでいる「行動変容サービス」も、このように数年先も日常的に使われるサービスを目指したいと思っています。

――取り組みを進める中で感じた、OKIの強みはどのような点にありますか。

武市氏: 様々な既存顧客と、非常に長い年月にわたるお取引があって、厚い信頼関係を構築できていることです。これは決して、自分一人で実現できるものではありません。

こうした顧客と共に「ユーザーをどう健康にするか」「どんな工夫をすれば健康になるのか」を、科学的知見とビジネスモデルの双方から模索していけば、多くの方に使われるシステムを構築できるのではないかと思っています。

――古川さんは、AI-CoPという研修をどのように発展させていきたいですか。

古川氏: 大きく3つ考えています。1つ目は、社内のコミュニケーションです。現在、事業部や営業部、工場勤務の人たちなど、混ぜ合わせて講義を実施しています。この講義を通して、所属をまたいだコミュニケーションが生まれるよう促していきたいです。

2つ目は、AI技術そのものの活用。AI技術は非常に応用が利きやすいものなので、ある分野からまったく異なる分野への応用が可能です。食べさせるデータを変えるだけで済むケースもあるので、これを社内の皆さんに知ってもらい、広げていきたいと考えています。

最後に3つ目ですが、やはりデータです。先ほどお話しした通り、OKIは各領域に数多くのデータを保有しています。ただ、これらが使えるデータなのかどうかが分からないまま蓄積されている状態。ですから今後、「このデータは使える」「このデータは使えない形になっている」という鑑定眼を磨いていく必要があると思っています。

――この取り組みを通して見えてきた、OKIの強みや可能性は?

古川氏: OKIの強みは、人材だと思いますね。AI-CoPを開始する際、「やらされ感が出ると嫌だな」と思っていたのですが、皆さん、自発的に参加してくださいました。危機感を持っている人が多いですし、新しい技術に興味を持っている人も多いからでしょう。こうした人材が、OKIの事業を支えているのだと改めて感じました。また、繰り返しになりますが、データを保有していることも強みです。データはOKIにとって大きなポテンシャルだと思います。


――山本さんは、いかがでしょうか。

山本氏: 製品の施工や保守を担う当社にとって、全国にいる技術要員こそが強みです。一方で現在、技術要員の高齢化が進んでいて、若年層への技術の継承が急務となっています。何の対策も取らなければ、ベテランの施工担当者が抜けてしまった場合に、同じことができない状態に陥ります。そうした状況を避けるためにも、技術の標準化が大きな課題だと捉えています。

ですから、スマートグラスやAIなどを活用して、どう技術を若い世代に伝えていくか。教育を通じて技術力をどう平準化していくかが、今後、私たちが力を入れていかねばならないことですね。

「OKI Innovation World 2021」開催に向けて――注目してほしい点とは

――最後に、10月18日に開催される「OKI Innovation World 2021」に向けて、見どころを一言ずつ頂戴したいです。

吉原氏: 今回の「OKI Innovation World 2021」では、OKIの強みがどこにあって、弱みがどこにあるのか。具体的なシーンをお話ししたうえで、今後、どういう方向に向かっていくのかを、現場目線でお伝えしたいと思っています。ぜひご視聴ください。

武市氏: ぜひ「何年後かの社会に、どう役立っていくのだろう、自分はこの件に何か関われるだろうか」という共創の目線で見て頂けると嬉しいです。

古川氏: 「OKI Innovation World 2021」では、OKIの先進的な技術から伝統的な技術まで、網羅的に見ることができます。ぜひご期待ください。

山本氏: ワクワク・ドキドキした雰囲気が、社外の皆さんにも伝わればと思っています。今回は、最先端の技術から、私たちのような施工・保守の活動まで、幅広い発表になります。日ごろスポットが当たりづらい分野。ですから、私たちの普段の活動も知ってもらえるとうれしいですね。


取材後記

Yume Proチャレンジでの受賞をへて新たな「金融ビジネス」に挑む吉原氏、新規事業開発を専門とする部署で「ヘルスケア」という同社では珍しい事業領域に挑む武市氏。「AI」を社内に普及させるべく奔走する古川氏、コロナ禍によって生じた研修の難しさを「スマートグラス」で解決しようとする山本氏。OKIが「全員参加型イノベーション」と銘打つ通り、社内のあらゆるところから、新たな芽が生まれ、育まれようとしている。

その一端を垣間見ることができる「OKI Innovation World 2021」――これは、見逃すことのできないイベントなのではないだろうか。本日10月18日(月)14時からスタート、オンラインなのでどこからでも視聴できる。さらに、当日の内容はアーカイブ化されるため、イベント終了後でも視聴可能だ。詳細については下記を確認してほしい。

▼OKI Innovation World 2021イベント概要▼

https://www.oki.com/jp/yume_pro/about/oiw2021.html?argument=oiw

▼OKI Innovation World 2021 視聴用URL 10月18日(月)14時開始▼

https://youtu.be/b-bnv9r_6Z8

(編集:眞田幸剛、取材・文:林和歌子、撮影:齊木恵太)

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  • 田上 知美

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