徳島県発のベンチャー電脳交通 | 既存株主などから合計約2.2億円の資金調達を実施、「地域交通アライアンス」を発足
徳島県徳島市に本社を構える株式会社電脳交通は、第三者割当増資により合計約2.2億円の資金調達を実施したと発表した。今回引受先となったのは、既存株主である「JapanTaxi株式会社」、株式会社NTTドコモのCVC「株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ」、西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)のCVC「株式会社JR西日本イノベーションズ」、「株式会社ブロードバンドタワー」、および個人投資家だ。
同社はこれを契機に、地域交通の課題解決を目指す自治体・企業との新たな連携の形として「地域交通アライアンス」を新たに発足する。そして、地域交通の課題解決に向けた協業やソリューション提供の取り組みを再整理し、さらに加速させていくという。
資金調達の目的
電脳交通はこれまで既存株主からの資金調達により、営業体制の強化、配車センターの拡張を行ってきた。その結果、業績、主要KPIともに順調に推移し、2019年12月時点には全国18都道府県、約3,000台のタクシー車両に電脳交通のソリューションが導入されるに至っている。同社は今回の調達資金をもとに、営業拠点の拡大、カスタマーサクセス体制の構築、パートナー企業の開拓、その実行を担う社員採用強化に取り組み、顧客基盤のさらなる拡大を目指す。
「地域交通アライアンス」発足の背景
既存事業の拡張を推進する一方で、2019年2月にはJR西日本イノベーションズとの資本業務提携により、JR西日本・日本交通・篠山市(現:丹波篠山市)と連携し、観光客向けタクシー乗り放題サービスの実証実験を実施した。また2019年3月には、NTTドコモと山口市阿東地域を運行エリアとするタクシー事業者2社と連携し、公共タクシー運行の実証実験を行った。
これらの実証実験は、地域交通の課題解決に向けた取り組みの一環だ。地域交通の現状は厳しい。少子高齢化が進み公共交通の縮小傾向が続いている中、交通空白地帯は拡大の一途を辿っている。住民の移動を担う「足」の維持・確保が喫緊の課題だ。
現在多くの地域において「地域住民の生活の足」、「地域外から訪れる観光客の足」の確保といった地域の移動に関する課題解決のため、デマンド交通や自家用有償旅客運送など多彩な運行形態の検討が進んでいる。電脳交通も、自治体および関連する企業との連携を密に図り、地域交通の課題解決を加速すべく、既存事業とは区別した上で経営資源を投下する「 地域交通アライアンス」を発足することになった。
「地域交通アライアンス」とは?
新設する「地域交通アライアンス」は、以下3つの取り組みを推進していく。
(1)電脳交通が持つ既存配車システム機能を地域交通の課題解決に向けカスタマイズ。必要に応じて新規開発し、ソリューションとしてパッケージングの上で提供
(2)自治体および運行事業者に対するヒアリングやPoC(実証実験)の実施、本格運用に向けた具体的な施策実行の伴走支援
(3)自治体や運行事業者といった運用側のプレイヤーと、そのためのソリューションを持つ企業サイドの双方の開拓、マッチングやコーディネートの実施
今後の展望
NTTドコモとは、今春を目処に新たに2つの地域にて公共タクシーの実証運行を予定しており、運行に必要な新機能の開発を進めている。また、JR西日本とは、観光面と地方交通面の2つの側面から取り組みを進める。観光面(観光型MaaS)では、アプリを通じた鉄道とタクシーのワンストップの移動サービスの提供を目指す。また、地方交通面(地方型MaaS)では、住みたい街でいつまでも住み続けられるサービスの提供を共同で開発する。
さらに、全国の地域移動に関するさまざまな課題解決のため、上記2社に限らず他企業との連携・協業も積極的に進めていくという。
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(eiicon編集部)