タクシーと地域交通の未来を支える電脳交通、総額12億円の資金調達
株式会社電脳交通は、複数の新規投資家および既存投資家を引受先とした総額約12億円の資金調達を実施した。今回の調達による累計資金調達額は約27億円(エクイティ・デッドファイナンスの合算額)となる。
今後は、地域交通の課題解決に向けたタクシーのDXを加速するとともに、事業基盤を活かしたデマンド交通や脱炭素などの新たな取り組みに着手し、日本の地域社会が抱える移動・交通の課題解決を目指すという。
アフターコロナの地域交通とタクシー業界の課題
社会を支える重要な移動インフラであるタクシー業界は、以前からIT化の遅れやドライバーの高齢化など課題に直面し、2020年以降のコロナ禍において人流が抑制されたことにより苦境を迎え大幅な売上低下や廃業も相次いだ。そして感染状況が収束し観光や移動ニーズが戻ってきたいま、業界全体が深刻な人手不足という課題に直面している。
また国内では一部の大都市圏を除き、既存の公共交通インフラの採算が合わず地方の鉄道・バス路線の約8割が赤字路線という、地域交通の維持・存続における課題も抱えている。
これまでの歩みと資金調達の主な目的
同社は「タクシーのDX」をミッションに、2015年12月に創業、低価格で常に最新機能を使用できるクラウド型タクシー配車システム「DS」の開発・提供、配車業務の委託サービス「Taxi CC」など業界の人材不足解消・業務負担軽減につながるサービスを提供し、毎年約200%ペースで導入車両数が拡大、2023年3月時点で全国45都道府県の事業者様に導入されている。
▲クラウド型タクシー配車システム「DS」(左:オペレーター用画面・右:乗務員用車載タブレット)
現在では自治体向けにデマンド交通サービスの運行管理が可能なソリューション提供を全国30箇所以上へ展開、その他タクシーのEV化を促進するためのプロジェクトを業界大手の第一交通産業グループと共同で展開しNEDO採択事業に選ばれている。
資金調達の目的
サプライ領域におけるタクシーDXを実現するためのプロダクト強化、既存事業のさらなる伸長を見据えた組織基盤の強化、将来的なIPOを視野に入れた体制構築に向けた採用強化に取り組むという。
また各株主とは資本業務提携を締結し、資金面だけでなくデマンド交通サービスや脱炭素関連のプロジェクトを共同で展開し、業界の活性化や地域交通に必要とされるサービスの早期実現に、本格的に取り組んでいくという。
本第三者割当増資における引受先一覧(順不同・敬称略)
新規引受先:
JPインベストメント、ENEOSイノベーションパートナーズ合同会社、四国旅客鉄道株式会社、沖東交通グループ、三和交通
既存引受先:
三菱商事、第一交通産業、エムケイ、阿波銀行、徳島大正銀行、いよぎんキャピタル
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