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突撃!インキュベーション施設(第8回) | モノづくり聖地「DMM.make AKIBA」に潜入!

突撃!インキュベーション施設(第8回) | モノづくり聖地「DMM.make AKIBA」に潜入!

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こんにちは!eiicon松尾(写真右)です。オープンイノベーションを意識したインキュベーション施設・コワーキングスペースへの突撃取材シリーズ、なんと今年で3年目に突入しました!2020年もいろんなところにお邪魔していきたいと思いますので、どうぞよろしくおお付き合いください。

さて、突撃シリーズ第8回目となる今回は、秋葉原にある「DMM.make AKIBA」さんにお邪魔しました!各種工具はもちろんのこと、3Dプリンターにハンダごて、オシロスコープまで、ありとあらゆるジャンルのモノづくりに必要な機材が揃った、ハードウェア開発をトータルサポートする総合型のモノづくり 施設。

シェアオフィスやイベントスペースなどビジネスの拠点として利用できる「Base」と、ハードウェア開発・試作に必要な最新の機材を取り揃えた「Studio」で構成された、まさにモノづくり の聖地です!5年も続く施設運営の秘訣とは…?DMM.make AKIBA事業部長の大沼慶祐さんに運営の秘話をお伺いしました!

DMM.make AKIBA事業部長・大沼さん登場!

eiicon・松尾 : 大沼さん、はじめまして!松尾です。今日はよろしくお願いします。ちょっと見せていただいただけでもすごい施設ですね…。見たことない機械がいっぱいです!

DMM・大沼さん : よろしくお願いします。見慣れないものがたくさんありますよね。設備の豪華さが施設の魅力の一つです!

DMM.com .make AKIBA事業部  事業部長 大沼慶祐さん

コンサル、動画メディアの立ち上げなどを経て2018年にDMM.comにジョイン。DMM.make AKIBA事業部長のほか、DMM VENTURESも兼任。

eiicon・松尾 : 大沼さんは2018年にDMM .com(以下、DMM)にジョインされたということですけど、もともとこちらの施設はご存知だったんですか?

DMM・大沼さん : 知ってましたよ!ちょっと変わった縁があって、DMMにジョインする前は「UUUM」というYouTuberのマネジメント会社に居たんですけど、その時に起業を考えていたんですよね。起業するなら場所が必要になるじゃないですか。DMMは大きい会社だし、ここに入居すれば投資してもらえるのでは?とか考えてたんですよ(笑)。

eiicon・松尾 : そんな考えが!めちゃくちゃ狙いがあったんですね(笑)。

DMM・大沼さん : 結局起業はしないことになって、縁あってDMMに入社して。「DMM.make AKIBA」に関わるようになったのは2019年の3月からなんですけど、入居を考えていたのに事業部長になっているとは思いませんでした。

eiicon・松尾 : 「DMM.make AKIBA」さんは、もう5年も続いてますよね。施設を長く続けていく秘訣はあるんでしょうか?

DMM・大沼さん : 色々理由はあるんですけど、1番大きいところでいうと中長期視点で立ち上げた事業であることですね。よく他の施設さんから「採算を取るのが難しい」という相談を受けるんですよ。

「DMM.make AKIBA」は、施設を一つのきちんとした事業として考えています。多くの企業さんや個人の方にサービスを提供しているので、継続性がないと事業としては危ういですし、自分たちが無くなってしまうと、画期的なアイデアやサービスも無くなってしまうかもしれない。

ですので、責任感は非常に強く持っていますね。サステイナブルに継続できるように、自分たちの事業も”ヘルシー”にしていこうというのは意識しています。

幅広くいろんな人が使える場作りにこだわる

eiicon・松尾 : いろんなところに取材に行かせていただくんですけど、「DMM.make AKIBA」さんはとても人が多くて活気的ですよね。非常に使われている施設だな、という印象があります!

DMM・大沼さん : そう言っていただけると嬉しいです!大企業もスタートアップも、もちろん個人の方にも使っていただいていて。今日なんかはEvery Little Thingのギタリスト・伊藤一朗さんも来てくれてましたよ。

eiicon・松尾 : え!なぜ、ELTのいっくんが……!!

DMM・大沼さん : イベント展示用にオリジナルギターを製作されたいというお話をいただき、協力させていただいています。いろんな人に幅広く使ってもらえるような場作りを心がけてますね。

eiicon・松尾 : 本当に幅広く使われてるんですね…。今こちらに入居されている企業さんってどれくらいいらっしゃるんでしょう?

DMM・大沼さん : 現状約450社以上で、その内150社以上ほどがスタートアップですね。

eiicon・松尾 : 企業さんはこの施設をどんな風に利用されてるんですか?

DMM・大沼さん : 例えばですけど、大手企業にもご利用いただいていて、外資系化粧品メーカーや国内の電力会社さん はR&D施設として利用してくださっていますね。SHARPさんやLINEさんはスポンサーとして施設を一緒に作ったり、コミュニティを活性化していくことに協力をしていただいてたりします。

eiicon・松尾 : なるほど!企業のいち施設としての役割も果たしてるんですね。


インキュベーションにこだわる「DMM.make AKIBA」

eiicon・松尾 : 「DMM.make AKIBA」でのオープンイノベーション事例とかってありますか?

DMM・大沼さん : SHARPさんの例でいうと、AI運転アシスタントデバイスを作っているPyreneeさんと事業提携されて、これから量産のフェーズに入っていくようです。 

参考:運転支援AIスタートアップPyreneeが、シャープで量産する理由

LINEさんでいうと、LINE ThingsというLINEのプラットフォームに接続できるプロダクトを様々な企業に使用いただけるような促進をしています。

eiicon・松尾 : 企業同士を繋げるといったことも、「DMM.make AKIBA」さんがサポートしているんでしょうか?

DMM・大沼さん : コミュニティマネージャーが5人居まして、その5人がスタートアップの情報収集やサポートをしているんですよ。大企業側はそれぞれに別で営業の担当をつけています。

eiicon・松尾 : 先ほど仰っていたヘルシーな事業の体制の部分ですね。このような施設 で営業さんがアカウントを持っているのは結構珍しいと思うんですが…。

DMM・大沼さん : 珍しいと思います。営業が担当するお客さんの課題を抽出して、ヒアリングして、スタートアップとのマッチングとかスポンサー同士をマッチングさせたり、アカウントを持つことで、幅広くお手伝いさせてもらうことができるんですよ。

eiicon・松尾 : 大企業側に入居以外で何かをサポートするといったこともあるんでしょうか?

DMM・大沼さん : 出資先や新サービスへの参画企業を探したいというような課題を共有してもらって、その課題解決をお手伝いさせてもらってますね。めっちゃ泥臭いことしてるんですよ。

モノづくり のスペースだけじゃない、「DMM.make AKIBA」の強み

eiicon・松尾 : 「DMM.make AKIBA」といえば”モノづくり のスペース”が施設の特徴だと思うんですけど、それ以外で入居者の方に好評なものってどういったものがあるんでしょうか?

DMM・大沼さん : 大きく二つあって、一つはモノづくりの延長線になるんですが、テックスタッフが充実していることですね。全てのモノづくりができる人ってそうそう居ないんですよ。「この分野は詳しくない」とか、「この機能を追加したい」というときに、経験豊富なテックスタッフが常駐しているので、常に相談を受けられるような体制になっています。

eiicon・松尾 : テックスタッフさんは何人くらいいらっしゃるんですか?

DMM・大沼さん : 20人くらいです。シフト制で対応してくれます。入居者さん側から相談を受けるだけじゃなくて、「こういった機能やデザインの方がいいんじゃないですか?」というように、こちらから提案することもあるんですよ。伴走して一緒にモノや事業を作っていくコアなところはテックスタッフの存在が大きいですね。

eiicon・松尾 : すごく心強いですね…!

▲モノづくりに精通した約20名のテックスタッフが、入居者をサポート。

eiicon・松尾 : 他の施設さんだと企業同士を繋ぐという部分に強みも持つところが多いので、ハードなところまで伴走してくれるところってなかなか居ないですよね。

DMM・大沼さん : そこは結構売りにしてますね。もちろん自分たちで受け切れないところもたくさんあって、それこそ大型なものとか量産とか。工場や製作所のネットワークもあるので、そういったところとお繋ぎさせていただくことはありますね。

もう一つの特徴がリアルイベントです。定期的に会員さん同士の交流会「つながる交流会」をしてまして、そこではスタートアップのピッチだけじゃなくて大企業の逆ピッチもしていますね。VCやCVCも参加するので、その場で資金調達が決まったりもするんですよ。

eiicon・松尾 : そこまで深く入り込んでたら、自分たちが資金のサポートもしたいと思っちゃいません?

DMM・大沼さん : その通りなんですよね(笑)。だからDMMのCVCでも投資をしたり、昨年からはそういった部分にも力を入れるようになりました。

当初の構想からピボット、イベントやワークショップも

eiicon・松尾 : この施設はオープン当初からそういったやり方をされてるんですか?

DMM・大沼さん : 実はかなり変わっているんですよね。この施設ができた当初はアメリカの影響を受けていて、スタートアップさんたちがモノを作って、DMMはセールスを手伝うというような構想だったんですよ。1社でも2社でもiPhoneやドローンといったものを作るような企業が出たら、ある種一攫千金なんじゃないか、みたいなことを考えていたんですね(笑)。

ただ、当たり前なんですけどハードウェアのスタートアップってハードルが高いんですよ。研究や開発、製作に工数がかかりますし。ですので、構想に見直しをかけて、施設を立ち上げて2〜3年目は、いかに使ってもらうかにフェーズを動かして、直近4年目、5年目で、入居会員さんに深くコミットしていくという体制に変わっていったんですね。

eiicon・松尾 : 開催されているイベントはかなりマニアックなイメージがあるんですが(笑)、最近だとどういったものが流行っていたりするんでしょうか?

DMM・大沼さん : 「ハンダ付け体験」とか「テスター使い方入門」とかですね。あとは「ディープテックナイト」っていう、テックについて深く語るイベントもあります。しっかり技術のところまで語るので、それはこの施設ならではですね。ちょっとライトなものだと「サラリーマンのためのIoT講座」とか。

eiicon・松尾 : ハンダ付けめっちゃ楽しそうですね!参加してみたいです。

DMM・大沼さん : あ、ありますよ。やってみます?

eiicon・松尾 : いいんですか!?中学校以来です!

▲ハンダ付けやらせてもらいました(笑)

DMM・大沼さん : イベントだけじゃなくてワークショップも定期的に開催しています。子供も参加できるものも多くて、最近人気なのは「フリスク風ヘッドホンアンプ」とか。フリスクの中にヘッドホンアンプを詰めるワークショップなんですけど、めっちゃ音質良くなるんですよ(笑)。

近年はハードウェアだけじゃなくてヘルスケア領域の入居者さんも増えているので、スタンフォード大学の教授をお呼びしてヘルスケアについてのイベントも開催しましたよ。

次なる展開は、ハードウェアで地方創生

eiicon・松尾 : 5周年を迎えた「DMM.make AKIBA」の今後の展開を教えていただけますか?

DMM・大沼さん : いま、DMM全体として地方創生に力を入れています。地方や自治体と組んで、ノウハウの提供や自分たちが今までやってきて学んだ教訓や知識をどんどん提供していきたいなと思ってます。

eiicon・松尾 : 地方自治体さんだとモノづくりとか町工場さんとかからのニーズですかね?

DMM・大沼さん : 地方自治体さんからは、最終的には「DMM.make AKIBA」みたいな施設を作りたいというご相談なんですけど、まだまだ知識レベルとして足りないところがあるので、施設の前段階としての検証をしてほしいというようなものが多いんです。なので、自分たちが持っているIoT研修などの最先端の情報をパッケージ化、カスタマイズして提供したりしていますね。

eiicon・松尾 : そういった知識やノウハウを共有してもらえるのはありがたいですね…!地方自治体に特化していくのには何か理由があるんでしょうか?

DMM・大沼さん : 中長期の仕込みというか、モノづくりの環境があることで新しい技術が日本から生まれたらいいなと思っています。DMMは50以上のサービスがあるので、将来的に一緒に仕事ができたら嬉しいですね。

eiicon・松尾 : ハードウェアに興味がある自治体さんって結構多いんですか?

DMM・大沼さん : 地方はスペースがあるのでグロースしやすいという特徴がありますし、モノづくりだとその土地に根付いてくれるので、定着といった狙いもあると思います。量産という点で企業と地方の地場産業を繋いだり、そういったこともしていきたいですね。

モノづくりの聖地「DMM.make AKIBA」の施設をご紹介!

秋葉原のオフィスビル2フロアで展開される「DMM.make AKIBA」は、モノづくりはもちろんイベントスペースやオフィススペースも完備!モノづくりを支える施設を案内してもらいました!

eiicon・松尾 : このフロアはモノづくりフロアですね。ハードウェア開発に必要な機材が揃う開発拠点「Studio」のスペースはとっても広い…って、なんですかこれ!ドリルがたくさん!触っていいですか!?

DMM・大沼さん : あ、一応電源抜いてからにしてくださいね!危ないんで!

…大沼さん、ご心配ありがとうございます(by取材陣)

eiicon・松尾 : テックスタッフさんが使い方を教えてくれました!小さいけどすごい振動、楽しいー!

 

開発拠点「Studio」には14の専門ルームが!

工作機械が揃った「Works」、3Dプリンタのある「Digital fabrication」など、14もの専門ルームが設けられた「Studio」。ここがモノづくりの開発拠点となっている。

eiicon・松尾 : なんですかここ!ギターがある!これが例のいっくんのギターですか!?

DMM・大沼さん : 塗装ブースや乾燥炉があって、調色や塗装作業ができる「Painting」ですね。このギターは、「最後のスター・ウォーズ」展に出展するために伊藤さん自身がデザイン制作したものですよ。

eiicon・松尾 : アート作品の制作までできちゃうんですね。ちなみにいっくんは…?

DMM・大沼さん : 残念ながらもう帰られましたね(笑)。

eiicon・松尾 : あ、これが噂のワークショップで人気のフリスク風ヘッドアンプですね!

DMM・大沼さん : なんか楽器ばかりになっちゃいましたね(笑)。ワークショップで作ったものやハードウェア開発に関する本なんかも置いてあるんですよ。

別フロアには、ビジネスの拠点の「Base」

 DMM・大沼さん : ここは「Base」といって、オフィススペースやミーティングルームのあるフロアです。入居者さんたちのコミュニティにもなっています。プロジェクターや音響設備のあるイベントスペースもあって、ワークショップもここで開催していますね。

eiicon・松尾 : 大沼さん!これ!これなんですか!?

DMM・大沼さん : ここで開発された製品を並べているスペースですね。

eiicon・松尾 : 面白い製品がたくさん…。全体的にウッド調だったり、デスクや椅子の足がちょっと錆びさせたデザインになってたり、居るだけでウキウキしちゃう空間ですね!

DMM・大沼さん : モノづくりは機材も大事ですがアイデアが無いとできないですからね。リラックスしながらアイデアも浮かびやすい空間にしてるんです。

eiicon・松尾 : すごくいい香りが…あれ、こちらでコーヒーを挽いてくださっている方は?

DMM・大沼さん : うちのコミュニティマネージャーです!カフェスペースを設けて、入居者さんたちが気楽に相談できるようにしてるんですよ(笑)。

eiicon・松尾 : それすごくいいですね!確かにコーヒーのいい香りとゆるいスペースで、気楽になんでもお話できそうです!

eiicon・松尾の取材後記!

オフィスビルの中にこんな本格的なモノづくり拠点があるなんて、うっかりここが秋葉原ということを忘れてしまいそう…。見たこともない機材から、触るのすら怖い高額な設備まで、大企業のR&D拠点になるだけあります。5年も続いてる施設だからこそ、科学された運営方針や入居企業へのインキュベーション支援体制も。

実際にモノづくり現場を見学させてもらうと、テックスタッフさんやコミュニティマネージャーさんが気さくに声をかけている姿がとても印象的でした。しっかりコミットしてくれるからこそ、新たなアイデアや技術がたくさん生まれるんですね。これからどんな新しいモノが生み出されるのか、ワクワクが止まらない松尾でした!

もしご興味持たれた方はコチラ(→ https://akiba.dmm-make.com/)をチェックしてみてください!

(編集・文:眞田幸剛、取材・文:阿部仁美、撮影:古林洋平)

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