ニチレイフーズ×植物肉ベンチャーDAIZ | 資本業務提携を締結、日本の植物肉市場の拡大を目指す
大豆由来の植物肉原料を開発・製造するスタートアップDAIZ株式会社は、植物肉の商品開発の分野で協業を進めるべく、冷凍食品大手の株式会社ニチレイフーズと資本業務提携を締結したと発表した。DAIZの植物肉原料と、ニチレイフーズの商品開発力・販売力を掛け合わせることで、日本の植物肉市場の拡大を目指すという。
資本業務提携の背景
2050年までに地球上の人口は100億人に達すると予測されている(※1)。こうした世界的な人口増加と新興国の経済成長により、2030年にはタンパク質の需要に供給が追い付かなくなる「タンパク質危機」の時代が到来し、代替タンパク質としての植物肉の世界市場は9兆円を超えると見込まれている(※2)。
しかしながら、これまで植物肉に使用されてきた主原料は、大豆搾油後の残渣物であったため、(1)味と食感に残る違和感、(2)大豆特有の青臭さや油臭さ、(3)肉に見劣りする機能性といった課題が残っており、本格的な普及の妨げとなっていた。
これに対しDAIZは、大豆の味や機能性を自在にコントロールできる「落合式ハイプレッシャー法」と独自の膨化成形技術により、(1)肉らしい味と食感の再現、(2)大豆特有の異風味の低減、(3)機能性の向上を実現した大豆由来の植物肉原料(ミラクルミート)の開発に成功した。今回、両社の強みを生かし、植物肉の商品開発の分野で協業を進めるべく、資本業務提携の締結に至ったという。
※1: 国連推計「世界人口推計2019年版」より
※2: UBS調べ
DAIZの大豆由来の植物肉原料について
【特徴1】 独自製法により発芽させた大豆を使用
大豆の代謝に注目した独自の栽培法である「落合式ハイプレッシャー法(特許第5722518号)」で大豆を発芽させている。大豆の発芽中に、酸素、二酸化炭素、温度、水分などの生育条件にプレッシャーを与え、酵素を活性化させ、遊離アミノ酸量を増加させる。そうすることで、大豆の旨味を引き出す。
【特徴2】 肉様食感を再現
独自の膨化成形技術により、他の原料や添加物を何も足さずして、肉の様な食感を再現している。(特許申請準備中)
【特徴3】 大学との共同研究に裏付けされた技術
共同研究として下記の大学と連携している。
・九州大学(松井 利郎 教授):植物肉原料に含まれる旨味成分の評価
・京都大学(後藤 剛 准教授):植物肉原料の栄養素の吸収
今後の展開
今回の資本業務提携により、植物肉の商品ラインナップの拡大、「第四の肉として植物肉を食す」という食文化の浸透への貢献を目指す。DAIZは植物肉の供給量を増大させるため、生産体制確立として設備投資を実行する予定だ。また、「発芽の力でタンパク質危機を救う」大豆由来の植物肉原料を開発・製造するスタートアップ企業として、東京証券取引所マザーズ市場への早期の株式公開を目指しているという。
※関連リンク:プレスリリース
(eiicon編集部)