【突撃!インキュベーション施設 ~オープンイノベーションはここで開花する! 第5弾「CO☆PIT」~】
こんにちは。eiicon松尾(写真右)です!トリックアート?!と思った皆さん、実はここインキュベーション施設なのです!今回も真面目(?)に突撃取材してきましたよ!
ご無沙汰しておりました、第5弾!
昨今、次々とオープンしているインキュベーション施設・コワーキングスペース。その中でも特に、オープンイノベーションを意識されたスペースに取材しているこのシリーズ。
今回は、出来立てほやほや8月1日にリニューアルした『CO☆PIT』(東京都港区港南)に突撃してきました。総合人材研修企業である株式会社富士通ラーニングメディアが、通常研修とは少し異なる形で「個を強くすることで組織を成長させること」をテーマに運営しております。
そこで、2010年にスタートしたCO☆PITの立役者であり、ちょっと悪ノリ好きな(?)城能さん(写真中)と上司の佐藤さん(写真左)に話を伺いました!――当時のCO☆PIT立ち上げの狙い、共創時代に求められる“個の強さ”とはいかに。CO☆PITが仕掛ける裏側に迫りたいと思います!
CO☆PITを立ち上げた城能さん登場!
▲CO☆PIT 01クリエイター 城能(きのう)雅也さん
CO☆PITを設立し、新事業創出・共創が専門。ビジネスモデル/商品企画/地域活性/ブランディング/組織・風土づくり など、新しいことを創る分野で多彩な実績を持つ。一貫して新しいサービス領域を開拓し続ける異端児。 常識には絶対に固執せず、難しい分野でも顧客と共にゼロから創ってきた。設立以降、3,000名を超える支援実績を持つ。
eiicon松尾 : 城能さん、はじめまして。CO☆PITは、2010年からスタートされたとのことですが、はじめに立ち上げたきっかけを教えてください!
CO☆PIT城能さん : 実は、研修や人材育成を行う企業に属していたものの、講師1人が複数の生徒に教えるという形式的なやり方に、私はずっと違和感を感じていました。同じことが同じようにできる人を育てていることに。まるで金太郎飴生成工場のようになっていて、これでいいのかと。もやもやとしていた日々が続いていました。その考えを社長にぶつけたところ、“新たな学びの在り方”を創ってみろという話になったことがきっかけです。
eiicon松尾 : えっ!?いきなり創ってみろと。
CO☆PIT城能さん : そうそう。そんな経験もないのに、社長直々に「城能やってみろ」と(笑)。当時は、国内にインキュベーション施設なるものは、ほとんどなかったんです。そこで、2009年に社長と一緒に渡米して、スタンフォード大学などに視察に行ったりしながら方法を模索している中、 “繋がり”と“実践”をキーワードとした形で自身の中に潜在的にあった考えが具現化されていきました。
eiicon松尾 : なるほど!それを、このCO☆PITで形にされたのですね!
CO☆PIT城能さん : そうなんですが、道のりは険しかったですよ(笑)。詰め込み教育が当たり前の中、「どうしてこんな無駄なスペースを創るのか?」「こんな遊び場のような所がどんな効果を生むのか?」といったご意見もあり、なかなか受け入れられませんでした。
eiicon松尾 : 当時はリーマンショックもあって経済環境も悪化していましたよね……。
CO☆PIT城能さん : そうですね、リーマンショック直後で人材育成に関する投資もカットされ苦しい時期でした。ただ、その中でも新たな人材育成の在り方に期待してくださったお客様がいたことで、ここまでやり続けることができましたね。
eiicon松尾 : ニーズが顕在化されていないマーケットって苦しいですね……。CO☆PITを立ち上げた2010年当時だと、どんな課題から相談をいただく会社さんが多かったのですか?
CO☆PIT城能さん : 例えば、大手自動車メーカーや大手飲料メーカーなどから同じような依頼が相次ぎました。その会社さんたちは、業界としてもIT人材が社会をリードしていかなければならないことを見据えていました。ただ、当時のIT部門はどちらかというと”守りの人材”が過半数。そこで、ITで業界を超えて活躍できるようにしていこう!と、新たなことに挑戦をできるような人材を増やしたいというニーズがあったんです。今、思えばオープンイノベーションをリードし、具現化できるような人材を輩出していきたいということだったと思います。
eiicon松尾 : なるほど。
CO☆PIT城能さん : 閉じられた社内だけではなく、CO☆PITを通じて社外さらには業界を超えた多様な人材と新たな繋がりを持つ場を提供していくことにしたんです。そうすることで、“個の体幹”を強くし、多くのリーダーたちの成長の1歩を踏み出す後押しをさせていただきました。
共創が求められる時代に、個から組織・ビジネスを創っていく
eiicon松尾 : 働き方改革や副業などの文脈で、より“個の強さ”が求められるようになったと思いますが、当時から8年近く経った今は、どのようなニーズが多いですか?
CO☆PIT城能さん : おっしゃる通り、“個の強さ”がより求められている時代になったと感じます。
“お前はいったい何者なのだ”を語れる人が必要とされており、組織の中での個人ではなく、「個人として組織・社会とどう関わっていくのか」の方が重要になってきています。
個が強くなければ、オープンイノベーション自体も生まれにくいとも思っています。といえば、聞こえはいいかもしれません。本音では強い以前に、企業内の人材が弱体化・停滞しすぎていないかと思うことが多々あります。
eiicon松尾 : ふむふむ。そのお話し、詳しく聞かせてください!
CO☆PIT城能さん : 覚悟とか真剣さ、必死さみたいなものを感じないことがあります。やりたいことが見つかりません、好奇心や危機感がありませんなどの声を聴くことがよくあります。また、オープンイノベーションが浸透してきている今、「スタートアップやベンチャー企業と会えば、何か新しいビジネスが起こせる」と誤解している会社員も多いです。企業間の共創においては、意思決定のスピードやリスクの取り方、文化が違う中で、お互いを理解し、やりたいことをしっかり意志を持って具現化していかないと。多分、色々と遅すぎるんだと思います。
eiicon松尾 : まさにそうですね!
CO☆PIT城能さん : 「オープンイノベーションを実行せよ!新たなビジネスを立ち上げよ!」という指示はありますが、それをどのように実行していくのかは、経営陣・上司から降りてくることはありません。目的なきイノベーションの指令があるのも事実ですが……。目的を明確にした上で共創すべき相手を探し、組むという意思表示をし、内部を動かしていくことをリードするのは、現場にいるその人の思いや意志でしかありません。
eiicon松尾 : なるほど!それが“個の強さ”によって、共創相手とビジネスを動かしていくということですね!ちなみに城能さんが考える“個の強さ”って何だと思いますか?
CO☆PIT城能さん : 弱みも強みも理解をした上で、自分はどういう役割を果たしたいのかを言えることだと思います。自分を社名や立場・役職で包みこんで語るのは、うまく弱さを表現できずにいるのではないかとも考えます。「自分はこういうことをやりたい」と、弱さも強みも背負った上で、真剣に少し前に出ようとする勇気を持てることが、個の強さなのだと思います。自分の中から生まれてくる「変わりたい」という気持ち。その気持ちと向き合っていきたいです。「社員を変えたい」×「自分は変わりたくない」こんな不幸な図式はありませんから……。
eiicon松尾 : 自身の弱みも受容した上で1歩前に出てみることが、“個の強さ”につながるのですね。
CO☆PIT城能さん : そうですね。1歩を踏み出し続けることから、見える世界・出会う人の層が変わります。例えば、今まではイベントで名刺交換だけで終わっていたフェーズから、今度はお互いにビジネスの話ができるようになる。そしてまた1歩を踏み出せるようになり、出会う人が変わっていく。そうするとその周りの人に対して、憧れや劣等感を感じるようになる。その人達に近づきたいと思って、また次の一歩を踏み出せていく。そういうことを感じて、努力し続けていける人が、個としての強さを磨いていけるのだと思います。今は、場につながりを求めていくのではなく、実行・具現化していくスピードを上げていかないといけないと思います。
▲CO☆PIT ディスカッション・ディレクター 佐藤康一郎さん
個と組織の進化を機軸とした『徹底討議型・階層別プログラム』を立案。 2011年のサービスリリース以降、31社・2,000名を超える開催実績を有する。 ケースメソッドインストラクター(慶應ビジネススクール認定)として、ケースを活用した討議型育成(主に若手・中堅リーダー層対象)を得意とする。 ディスカッションを主体とした場を作り、個と組織の未来を描く。
eiicon松尾 : CO☆PITを管轄される佐藤さんもご登場です。実際にCO☆PITでは、“個の強さ”を創るためにどのような取り組みを進められているのですか?
CO☆PIT佐藤さん : CO☆PITには形式的なプログラムはありません。お客様の課題にあわせてゼロベースで設計をしています。目の前にいるその人達をどのように成長させていきたいのかに合わせて考えているのです。「私たち自身変わっていきたい」と思っており、その上でお客様の人材・組織の課題に向き合っていきたいと思っています。
多様な人材と繋がり、新たな空間で自己を表現することによって、強みや弱みを理解した上で1歩前に進める個の強さを創っていく。CO☆PITでは、それによって個が強くなり、組織が強くなっていくことを目指しています。最終的には、「CO☆PITはもう必要ないよ」と言われるようになるのが、理想です。
実際に、CO☆PITを案内していただきました!
▼リニューアルしたCO☆PITは、「自然」をテーマに素の自分に立ち返ることで、個を強くしていくことを狙いに。
冒頭のトリックアートが描かれたエントランスを抜けると、まず目の前に飛び込んでくるのは、海や浜辺をイメージされたスペースです。切り株風の椅子やアウトドアグッズなどが散りばめられ、リラックスした雰囲気の中でコミュニケーションを取ることができそうです。その他、森や空など様々なテーマのスペースがあります。
eiicon松尾 : あ!!駄菓子コーナーもあるじゃないですか!!種類もいっぱい! このコーナーは何かをイメージされているのですか?
CO☆PIT城能さん : 自然と大人が子供心にかえるという意味も込めています。実は“CO☆PIT”の丸みを帯びたイメージも、その意味を込めていまして。武装した大人の鎧を取っ払い、無邪気にそして素直に考えを声にすることをメッセージとしています。
eiicon松尾 : なるほどですね!松尾はこのうまい棒と、キャベツ太郎がいいですー♪(聞いてない)
▼2010年からスペース創りにこだわってきたCO☆PIT。至る所に自由な発想をする仕掛けが。
形式的なスペースは1つもなく、自由に仕切りが作れる仕様になっています。「動きがある空間」を狙い、机や椅子も自由に高さを変えられるものが多く、様々な角度や目線で話ができる工夫も。
eiicon松尾 : すご~い!この椅子、揺れて動き回れます!編集長も座ってみてください!
eiicon編集長・サナダ(右) : 本当ですね!!おおぉ~っと!!(危)
eiicon松尾 : 編集長、バランス感覚悪すぎです!
eiicon松尾 : 至る所にホワイトボードがありますが、机にも書けるんですね!じゃあeiiconって書いていいですか?
CO☆PIT城能さん : もちろん!横にCO☆PITも書いておきましょう!
eiicon松尾 : 実はご相談したい案件があるのですが、ここに書きながら話してもいいですか?
CO☆PIT城能さん :はい!(笑)
eiicon松尾の取材後記
今回、第5弾で突撃したCO☆PIT。共創が求められる時代に、個人を強くすること、それを支える組織を創ることの重要性を改めて感じました。ただ「個の強さ」は一部の人だけが持つものではなく、自己を受け止めた上で1歩前に踏み出し続けることで創られていく。ここCO☆PITを通して、人と組織の変化でビジネスがどのように変容していくのか、期待が膨らむ松尾でした!
ご興味持たれた方は、ぜひこちら(https://www.knowledgewing.com/kw/copit/)までアクセスしてみてください♪
(取材・文:松尾真由子、撮影:加藤武俊)