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フレンチテック及びフランスのスタートアップエコシステム(上)

フレンチテック及びフランスのスタートアップエコシステム(上)

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今井公子

スタートアップに多少関わる仕事をしている方だと誰でもフレンチテックという言葉を耳にしたことはあるでしょう。5年前からフランス政府が提唱し、今になってワイン、チーズ、観光に並びフランスのシンボルの一つになりつつある「フレンチテック」。それは一体何を意味しているのか、フランスに在住するフレンチテックの一員として紹介していきたいと思います。

まず経緯から見てみましょう

フランス政府が2014年末にフレンチテックのイニシアティブを発表し、翌年のCESでは当時経済担当大臣だった現仏大統領のマクロンがスタートアップ66社を連れ、話題を呼びました。折り紙の雄鶏がトレードマークのラ・フレンチ・テックは翌年、フランス国内にあるセンターを9つから一気に13まで増やします。さらに2016年より海外でもハブフレンチテック(Hub French Tech)と呼ばれる拠点をつくり、フランス語の話せる外国人、あるいは在外フランス人をターゲットにしました。ハブはフレンチテックの知名度を世界に広げ、同じビジョンを世界へ発信するのに大きい役割を果たします。その経験に基づき、2019年4月から、更にスタートアップを中心とした組織に改善されました。まずはフランス国内のセンターを「キャピタル」に改名。キャピタルはスタートアップが密集するしかも高成長を遂げてきた地域で専門人員を配置し、同じビジョンの元に、各地の現状を考慮した認定パートナーとして活動します。それに加え、国内海外問わずコミュニティーという形で各地でスタートアップや投資家、そして地方政府からなるエコシステムを構築、より実質なサポートを現状に合わせて提供することが可能になりました。今年4月時点で国内は38、海外は48のコミュニティーが活動していると発表されています。

更にいくつかの数字からフレンチテック及びフランスのスタートアップエコシステムの成長ぶりを紹介しましよう。

調達金額vs調達案件の推移

(出典:EY France Startup Panorama 2019H1)

2018年は資金調達の金額も件数も記録的な年になりました。特にフレンチテック元年とも言える2015年からの成長ぶりは注目すべきものです。日本では一社の平均調達金額2.39億円(1€=118円の換算レートで約2M€、出典:Entrepedia社2019上半期国内スタートアップの資金調達動向レポート)に対してフランスでは平均5.6M€/社。日本のGDPはフランスの1.8倍、人口は二倍近くという数字を合わせてみると、少し考えさせられます。

ヨーロッパにおけるフランスの位置づけ

(出典:EY France Startup Panorama 2019H1)

金額ベースでは、フランスはまだイギリス、ドイツに次ぎ三位に留まっていますが、筆者は下記の側面に注目すべきと思います。2018年フランスの調達金額の対前年比は+41%で、停滞しているイギリス(同+6%)と比べるとかなりの勢い。同じドイツもBREXITの恩恵は受けているけものの、フランスが一位に立っていることからエコシステムのダイナミックさを感じさせられます。そしてGrowth Equityを除きVenture Capital(Series Cまで)の調達金額から見るとフランスはすでにドイツを越え二位の地位へ。因みにヨーロッパではイギリス、ドイツ及びフランスの三つの国でヨーロッパ全体の調達金額の65%も占めています。

次回はフレンチテックのラベルをもらうために何が必要?その「成功」の要因、そして日本からの付き合い方を模索していきたいと思います。

今井公子SINEORA

2000年に早稲田大学国際経営学修士卒業(MBA)。
東京にて日系、外資系企業に勤務し、2010年に渡仏。
現在、パリ在住。二児の母。
 
過去18年間に渡り、東京とパリにて、ノキアやダッソーシステムズといった国際企業にて、デジタルトランスフォーメーションの最前線に立ち、イノベーションによる変革をリードしてきた。ダッソーシステムズではアジア出身の女性として、初めてのワールドワイドの間接販売チャネルのトップ、及び戦略企画のVICE PRESIDENTまで務めた。
 
四十歳を過ぎてスタートアップの世界に身を投げ出す決意をして、今までの経験を活かし日本企業の国際競争力を上げるためのクロスボーダーなオープンイノベーションを支援するビジネスを立ち上げた。日本発だから世界に勝てる、今成功しているからこれからも成功し続けるとは限らなくなった現在、最初から世界で成功する会社を目指し、いつまでも差別化や、強みを生み出せる仕組みを持つ組織づくりを支援する。
 
eiiconのブログで、フレンチテック(La French Tech)を中心に、急成長するフランスやヨーロッパのスタートアップをSTATION Fから紹介する。

SINEORA

代表

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