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Honda | ガスエンジン・発電からシェアサイクルまで技術シーズ第2弾を公開!社会貢献性の高い事業を共創する。

Honda | ガスエンジン・発電からシェアサイクルまで技術シーズ第2弾を公開!社会貢献性の高い事業を共創する。

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世界的なモビリティーカンパニーとして業界をリードし続けているHondaが、オープンイノベーション推進のため、技術シーズを公開している。その第一弾は以前、eiiconでも取り上げた。――第2弾となる今回は、パワープロダクツ領域(発電機、耕うん機、芝刈機など)を担当する「ライフクリエーションセンター」にスポットを当て、【①カセットガスで動くガスエンジン】・【②熱と二酸化炭素も有効利用できるガス発電】の2つの技術シーズと、二輪領域から【③簡単に折りたたみ×連結充電が可能な自転車・車両】という1つの技術シーズを公開する

業界・業種を問わず広くパートナー企業を募ることを決定した経緯を、監査役(前・パワープロダクツR&Dセンター センター長)西田氏から伺った。また、3つの技術シーズの担当者である小山氏、川口氏&戸川氏、森氏の4名には、それぞれの技術の特徴や、共創パートナーとなる業界や商品について詳しくお聞きした。

▲株式会社本田技術研究所 監査役(前・パワープロダクツR&Dセンター センター長)西田隆夫氏

1983年株式会社本田技術研究所入社。入社当時から汎用部門でエンジン設計を長年に渡り担当。2005~2008年までタイに駐在。現地では、ユーザーのニーズを自分の目で確認するため、東南アジア諸国を自らの足で回った。帰国後は企画室への異動を経て、パワープロダクツR&Dセンター センター長に就任。現在は、本田技術研究所 監査役を務めている。

世の中に貢献できる技術でなければ意味がない

――まず始めに、パワープロダクツ領域で、技術シーズを公開した背景を教えてください。

西田氏 : 技術で世の中に貢献するのがHondaのスタンスです。これまで多くの商品を世の中に提供してきた一方、残念ながら何らかの理由で最終的に発売された商品には採用されなかったものの、そのまま消えていくには惜しい価値のある技術も沢山あります。

当社の技術者たちが熱意を持って生み出した技術ですから、なんとかして世の中に貢献する形で日の目を見させてあげたい。であれば、その技術を自分たちで使用するだけでなく、我々の技術を必要とする企業様に世の中を良くするために使っていただけないだろうか? さらに技術を通じたパートナーとして、提供先の企業と我々で世の中に貢献できる新たな商品などを共創できる可能性もあるのではないだろうか? そのような想いから技術シーズを公開するに至りました。

――「自分たちの技術で世の中に貢献したい」その想いが根底にあるわけですね。

西田氏 : どれほど高度な技術であっても、人に貢献できる技術でなければ意味が無いと考えています。そこには「技術は手段であって、目的ではない」というHondaの精神があります。これは技術だけでは無く商品にも言えることだと考えています。最近は、その商品に込められた新しいコンセプトやストーリー性、ユーザーエクスペリエンス価値などモノそのものにではなく、付加価値が込められた商品を提案する「コトづくり」が広まっていますが、Hondaが創業からやってきたことは、実はこの「コトづくり」そのものだったと思います。お客様が商品を購入する際の判断基準は、自分のやりたいことを実現できるかどうか。これは、二輪であろうが、四輪であろうが、パワープロダクツであろうが変わらないと思います。

最近私は「技術は手段であり目的ではない。だが、お客様にとっては商品だって手段でしかないのでは?」と問いかけています。人や企業のやりたい事を達成することに役に立ち、良かったと感じていただける商品や技術でなければ、世の中に貢献することはできないからです。

――「お客様を重視したモノづくり」という考えは、ご自身の経験もあってのことでしょうか。

西田氏 : もともとそれはHondaの文化でありますが、それを身を持って理解したのには駐在先のタイでの経験が影響しています。四輪と違いパワープロダクツは自分たち自身がユーザーである例は多くなく、本当に商品を使って頂けるような方々に会いに行かなければユーザーの考えが把握できません。都会に住む人たちにも会いに行きますし、都会から遠い漁村や農村の人たちにも会いに行きます。都心に住むお客様とは考えていらっしゃることが全く異なるためです。

例えばある東南アジアの漁村で舟の動力に使われているエンジン、一見するともう捨てた方がいいと思われるような錆びてボロボロになったエンジンを、長年使い続けてくれています。なかには、燃料タンクが錆落ちてペットボトルを燃料タンク代わりに縛って使い続けていらっしゃるケースもありました。漁師の方にエンジンの調子はどうですかと聞いたところ、「調子いいよ!朝、漁に出る時も直ぐにエンジンが掛かるし、一日中漁も出来るし、何の問題もないよ」と笑顔で言われた時は、驚くと同時に納得もしました。

彼らにとって大事なのは、「仕事ができること」であって、穴が開こうがどうしようが、自分がやりたい事が出来れば何の問題もないんです。逆にいくら錆に強いエンジンでも仕事に支障を起こすようなトラブルが起きるようでは意味が無い。だからと言って錆びてもいいと言っているのではありませんよ。実際に商品を使っているユーザーから直接聞かなければ、わからないことでした。使用するユーザーの本質的なニーズを、私たち技術者が知り、何が一番重要なのかを理解した上でモノづくりをしなければいけない。技術者として忘れてはいけない“モノづくりの本質”を、東南アジアの各地に足を運んで学ばせていただきました。

――ライフクリエーションセンターの方々も、ユーザーの下へ足を運ばれるのですか?

西田氏 : 販売店と実際に使っているユーザーの考えていることが違うこともありますので、出張の時など先で出来れば時間を作り、お客様の現場を見てくるよう技術者たちにお願いしています。単に商品や使い方を見るのではなく、お客様と会話することにより考え方や文化を理解し、お宅の様子や家族構成や周辺環境をみることによって、背景も理解して、お客様自身が「こうして欲しい」と言う要望に留まらず、本当はこうしてあげたらもっと喜んで頂けるのではないだろうか?のような本質的なニーズを反映した商品や技術開発ができれば、本当に喜ばれる無駄のない商品ができると思います。技術者の想いや頭の中だけで考えた商品では、世の中に受け入れてもらえないと思いますよ。

お客様のライフスタイルを変える技術をつくる

――パワープロダクツの技術の特徴や強みを教えてください。

西田氏 : 我々の商品は基本的に何かの作業をするなど使用される目的が明確な商品です。よって、作業効率を上げる、作業自体が上手くいく、扱いやすくなるなど、技術の目的も明確な所が特徴です。よって新しい技術の効果も解りやすく、目に見える形で改善して行けます。また、芝刈り機や耕うん機や発電機など様々な商品があり、それぞれの固有の技術が異なり、凄く幅広い技術を有している事も特徴です。よって結果的に幅広い視野を持てるので、他の商品の技術の転用や組み合わせなどで単一商品の専門メーカーには無い画期的な技術改良も可能になります。

また、二輪・四輪・パワープロダクツ等の多くのカテゴリーを持つHondaですから、他のカテゴリーの技術の活用や特許やアイデアや考え方の活用なども可能であり、総合力の大きさという意味で、他社にはない大手ならではの強みがあります。

あともうひとつは、基本的に道路の上だけで使われる四輪や二輪と違い、都会や村や庭や畑や山や海上でも使われる商品群ですから、世界中の様々な環境や幅広い多様な人々を相手にした技術を持つ事も大きな特徴だと思います。そういう意味でも視野は広くなりますね。

――これまでパワープロダクツ領域で、手応えを感じた商品について教えてください。

西田氏 : 最近の事例ではロボット芝刈り機ですね。芝刈り機は芝を刈るための道具ですが、お客様にとってのロボット芝刈り機は時間を作り出すための「道具」なんですね。芝を刈るために使っていた時間を、子どもと過ごしたり、他の仕事をしたりするための時間に変えてくれるんです。つまり「芝刈り機」ではなく「時間製造機」。刈る技術を通じて、人々のライフスタイルを変える商品として展開できたことに大きな意義と今後の商品の考え方として大きな手応えを感じています。

――西田さんが個人的に思い入れのある技術開発や、取り組みについて教えてください。

西田氏 : 2つあります。1つは、技術者として成し遂げたことですが、GX25、GX35という小型エンジンの開発です。2ストロークエンジンはいろいろな方向に傾けても正常に動きますが4ストロークエンジンは潤滑油を溜めておくオイルパンがエンジンの下に付いているため、引っくり返すと潤滑出来なくなり壊れてしまうんです。それを新しい技術で解決しあらゆる方向に傾けても問題の起きないエンジンを開発しました。もちろん多数の重要な特許を生み出すこともできました。その結果、環境性能、燃費、静穏性で2ストロークエンジンを大きく凌駕し、重量や大きさでも2ストロークエンジンに迫るような4ストロークエンジンを世に出す事が出来ました。

もうひとつは、経営者の立場からですが、お客様を重視したモノづくりの姿勢を、パワープロダクツの研究所の皆さんにかなり浸透できたことです。いまでは、研究所の多くの人が「お客様のためにどうすべきか」を一番に考え動いてくれています。

世の中に貢献するためにHondaの技術を使ってほしい

――普段の業務で他社と協業するケースはありますか。

西田氏 : 二輪・四輪は、一般ユーザーへの販売がほとんどかと思いますが、パワープロダクツの場合、販売の3分の2程度である約400万台は作業機などを作っていらっしゃる企業様への単体エンジンの販売です。自社の商品をつくりたいが、エンジンの開発や生産は出来ないような完成機メーカー様から、「Hondaのエンジンを搭載した新しい商品をつくりたい」という話が多く寄せられます。Hondaのエンジンのパフォーマンスを最大限に活用して頂くことで完成機の競争力を上げられるよう我々Hondaがサポートしています。特に耐久性や信頼性を重視される完成機メーカー様からは圧倒的な支持を頂いています。このような形の協業で世の中に貢献するのが我々のビジネススタイルです。

――他社と協業する際は、どういう進め方になるのでしょうか。

西田氏 : 完成機メーカー様からHondaエンジンを使いたいとのご要望があった場合、アプリケーションエンジニアと呼ばれている担当者が出向いてどのような機械であるのかをまず確認します。エンドユーザーに届く商品にHondaのエンジンを搭載して頂く以上、キチンとした使い方をして頂きたい。エンジンを上手く使うための技術確認や場合によっては完成機側の仕様変更提案も行います。自分たちが関わることで、完成機メーカー様を通じ、もっと人々の役に立つことができればとの想いから、様々な企業様とお付き合いさせて頂いています。

――今回の技術シーズを公開する上で、応募企業と共創する際のポイントについて教えてください。

西田氏 : パートナー企業様から新しい商品をつくる等の提案がされた場合、先ずは世のため人のためになる企画であるかの観点で見させて頂けたらと思います。やはりそのような想いで我々の技術を使って頂きたいですね。その中でもしも技術や商品についてまたはビジネスにおいて大きく共感できる内容であった場合は、互いの情報を交換しながら、互いの強みを活かしつつ、互いにメリットを生み出す。そして、社会に貢献できるモノづくりまで共創できるなんて事が出来ればもっと面白いでしょうね。単独の企業活動だけでは無く共創での活動が必要な時代ではありますが、それでも、同じ志を持てない相手様と共創しても、最終的な判断基準が折り合わずおそらく失敗するのではと思います。

――応募企業に対するメッセージをお願いします。

西田氏 : 創業者・本田宗一郎が、自転車で買い出しに行く奥様を楽にしてあげたい一心で、自転車に発電機用の小型エンジンを付けたことからHondaは始まりました。以来、長年に渡り培ってきた私たちの「人々の役に立つ技術」を、世の中に貢献するために使ってくれる企業様と出会えたら嬉しいです。

SNSが発達した現代では、共感を得られなければ誰も振り向いてくれないですし、共感される事業を行う会社でなければ生き残ることはできません。ぜひ、私たちの想いに共感していただける企業様と一緒に、世の中に貢献できるプロダクトを生み出していきたい。そして、ユーザーを笑顔にすると同時に、世の中を変えていければと考えています。そうなることで、より良い共創が生まれるし、何よりも仕事が楽しくなる。仕事は、楽しくやりたいですからね。

さまざまな業界・分野・商品への応用が期待される3つの技術シーズ

――以上のように西田氏からはオープンイノベーション実施に関する背景や「ライフクリエーションセンター」の持つ独自の技術文化について伺った。ここからは、今回公開される3つの技術シーズについて、それぞれの開発担当者から話を聞いた。

 

【技術シーズ1】カセットガスで動くガスエンジン

▲株式会社本田技術研究所 小山浩史氏

「カセットガスエンジン」は、身近に扱える汎用エンジンとして、家庭で使用するカセットガスボンベをエネルギー源として使えることをコンセプトに開発された。カセットガスで動く耕うん機”ピアンタ”および発電機”エネポ”を発売し、普段ガソリンを使い慣れていない新規ユーザーを獲得しヒットしたが、新たな層へのガスパワー技術のPRと、モータスポーツへの新価値提案を狙い、小山氏はガスパワーカート(スポーツカート)を提案。メディアにも取り上げられ、“さすがHondaだ”という声も寄せられた。

<小山氏インタビュー>

カセットガスエンジンの特徴は、カセットガスボンベ内の液体ガスを気体に変えてエンジンを動かす仕組みです。はじめは耕うん機から始まり、発電機と展開していきましたが、私がレース好きだったことから、会社のクラブ活動として行っていたカートに乗せることができるのではと思い、ガスパワーカートを思いつきました。カートはまだ市販前の段階で、50ccクラスに発電機で使用するエンジンを使うと、カセットガスボンベ2本で30分~1時間くらい走ります。270cc用のエンジンで大人も乗れるカートでは、最高時速130km、6本で30分使用可能でした。耐久レースでの乗り心地もよかったです。

▲エネポに使用のGXH57とガス化キット(ベーパライザー・レギュレータetc)を流用しカートに搭載

ガソリンは法律上の規定から使用できる範囲が限られる中、カセットガスは建物の屋上でも使えるので、個人的にはレースが身近になればいいと思います。カセットガスカートならホームセンターの屋上で開催できるので、志親御さんも安心して子供にモビリティ体験ができる。レースを通して車に乗る喜びを体感してもらえると嬉しいですね。また、カセットガスボンベは数年保管できるメリットがあります。災害や緊急時の備えという意味で地方自治体やデベロッパーに導入いただいています。低温地域で使用する以外であれば、コンパクト、シンプル、低コストというポイントで開発したので、基本的にガソリンで動いているものには代替できます。

 

<応用・商品化が想定されるシーン>

●耕うん機

●発電機

●カート

●災害時用

●レジャー

●各種イベント

 

【技術シーズ2】熱と二酸化炭素も有効利用できるガス発電

▲株式会社本田技術研究所 戸川一宏氏

▲株式会社本田技術研究所 川口昇氏

戸川氏、川口氏が開発したガス発電による発熱・二酸化炭素を有効利用する技術「ガスコージェネレーション・トリジェネレーション」は、これまで大部分が業務用として利用されるに留まっていた発電機市場で、ホームユース向けガス発電機として、一家に一台を目指した家庭用の発電機だ。燃料(ガソリン)の保管や取扱いの難しさをクリアし、温暖化防止策としても注目を集めている。一般家庭での使用、災害や計画停電といった緊急時など、さまざまなシーンでの活用が見込まれている。

<戸川氏インタビュー>

以前に、電気式エアコンに代わるガスエンジンを使ったGHP(ガスヒートポンプ)によるエアコンを開発しましたが、電気式エアコンの低価格化が進んだため、このガス式エアコンは、ビジネスとして上手くいきませんでした。そこで、パワープロダクツのもうひとつの強みである発電機の技術とガスエンジンを組み合わせることにしました。ガスエンジンで発電機を回すと同時に、通常なら水冷エンジンのラジエーターで処理される熱を、家庭用エネルギーとして使うアイデアから、家庭用ガスエンジンコージェネレーションが生まれました。さらに、複数の発電機をつなぐ技術を商用電力に応用し、コージェネレーションからの割安な電気を優先して使用でき、熱と電気を同時に使うことでエネルギー利用率を高め、経済面でのコストメリットを生み出しました。

一般家庭向けに作られた技術ではありますが、中華料理屋、スーパーなど、B to B向けの商品としても展開が可能だと考えています。

<川口氏インタビュー>

トリジェネレーションは、発熱×発電時に発生したCO2を回収・利用する技術です。これまで二酸化炭素の回収はものすごくエネルギーを必要とするため、火力発電所や製造工場など大規模な現場でしか活用されていませんでした。今回は、コンパクトかつ安価であることに加えて、メンテナンスも楽になる方法として、二酸化炭素を吸着する際の吸着剤の劣化を機械が自動検知し、運転の仕方を変えてクリーンな状態に戻す自動化技術をつくりました。そもそも、小さいものでトリジェネレーションをする発想が業界自体になかったのです。

導入先としては、植物工場やビニールハウス一棟サイズでの利用が考えられます。ビニールハウスでは、これまで二酸化炭素の供給、温度調整、除湿、照明、それぞれの目的に応じて機械が分かれていましたが、我々の技術では、電気、熱、二酸化炭素など、全て要求をひとつの装置で供給できます。また、時間やつくっているモノに合わせて、電気と熱の出力を調整できます。実は、農家で二酸化炭素が求められている時間は、日の出からの数時間だけ。日中・夜は、電気だけで十分なんです。植物・食品残渣などから得られるバイオガスを利用することで、カーボンリサイクルが可能となったり、バイオガスや都市ガスと二酸化炭素を組み合わせることで、水素やメタノールといったエネルギー化する技術への展開も可能です。

<応用・商品化が想定されるシーン>

―コージェネレーションー

●家庭用

●飲食業界

●小売業界

●災害・計画停電などの緊急用

―トリジェネレーションー

●バイオテクノロジー

●植物工場

●ビニールハウス

●エネルギー生成

【技術シーズ3】簡単に折りたたみ×連結充電が可能な自転車・車両

▲株式会社本田技術研究所 森庸太朗氏

森氏が開発した「N-cycle」は、日本の都市構造の中では充電ポート&駐輪スペースの確保が困難という課題に対し、従来の自転車に対し保管時に4分の1の専有面積となるシェアサイクル&充電ポートとして提案された。一つの充電ポートに複数の折りたたんだ電動モビリティを次から次へと連結して保管、充電できることに加えて、連結部にはロック機構も設けられており。外部との通信を通じて開錠、施錠されるので盗難防止にもなるなど、シェアサイクル事業だけでなく、テーマパークやイベント会場など人が多く集まる場所での利用も期待されている。

<森氏インタビュー>

ワンアクションで折りたたむことができ、省スペースで駐輪できるシェア専用電動アシストサイクルと1つのポートに複数台を駐輪・施錠・充電できるシステムを提供できるのが、この「N-cycle」の特徴です。また、充電時の連結に用いるコネクターを介した通信によってそれぞれの車両がどの充電ポートの何番目につながっているかがシステム側で分かるようになっており、ステーションによる車両の管理を遠隔で容易かつ確実に行うことができます。こうした技術を電動モビリティというかたちでひとつにまとめたのは、今回が初の試みです。

現在のシェアサイクルは二輪車での展開が主ですが、折りたたみのアクションや、折りたたんだ状態で押したり、引いたりする作業をより簡単に行うことができる三輪についても提案しています。この車両には高齢者や小さいお子さんでも安心して運転できるよう、交互にステップを踏むことで前進するバランス取りがしやすい仕組みを取り入れています。この構造は、スカートをはいた女性など、一般のユーザーでも利便性を感じていただけると思います。また、連結・施錠・充電のしくみは、シェアサイクルだけでなく、工場や運送会社の電動台車や電動ショッピングカートなどとも親和性が高いと思います。

街のインフラたるパーソナルモビリティを創造すべく、どんなことができるかを常に考えています。 「N-cycle」は、フットプリントの小さいアフォーダブルなパーソナルなモビリティ+シェアリングエコノミーの観点から生まれた技術です。パートナー企業の皆さんと、近距離パーソナルモビリティにおけるハードウエアプラットフォームの新たな形を一緒に考え、そのハードウエアプラットフォームを生かしたよりよいサービスとその提供を目指していきた。

<応用・商品化が想定されるシーン>

●シェアリングサイクル

●シェアリングスクーター(電動キックスケーターなどのモビリティを含む)

●ショッピングカート

●工場(台車)

●介護施設や病院(車いす)

取材後記

創業者・本田宗一郎氏のもとで開発された、女性がスカートを履いたまま乗れるオシャレなバイク「スーパーカブ」、排ガスの有害物質濃度を大幅に規制する大気清浄法を、自動車業界で初めてクリアした低公害車「シビックCVCC」など、人々が求めるニーズに、いつでも正面から向き合い、新しい商品を生み出してきたHonda。

生前のインタビューで「次の世代の人を激励してやるのが我々の役目だと思う」と語った本田宗一郎氏。その精神は、オープンイノベーションを通じて、世の中に貢献できる新たな商品を生み出そうとする、Hondaの技術者の面々に脈々と受け継がれている。

※3つの技術シーズの公開についてはコチラをご覧ください。

(構成:眞田幸剛、取材・文:平田一記、撮影:古林洋平)

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  • 北角 強

    北角 強

    • 株式会社インテグリティエナジー
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