『Open Innovation Award 2018』大賞は、サントリーHDが受賞! | eiicon2周年記念イベントレポート
2017年2月にサービスをローンチしたオープンイノベーションプラットフォーム「eiicon」は、2周年を祝したイベントを2/27に開催。その場でeiiconを通じ、オープンイノベーションを積極的に推進してきた企業に贈る『Open Innovation Award 2018』を発表した。大賞に選ばれたのはサントリーホールディングス株式会社。また、スタートアップ大賞には株式会社カラダノートが選出された。
本記事では、大企業の新規事業担当者やオープンイノベーション担当者、スタートアップの経営層などが集結した同イベントの模様に加え、『Open Innovation Award 2018』授賞式についてもレポートしていく。
成功事例が生まれ、日本最大級のプラットフォームへ
イベントの冒頭、eiicon代表である中村亜由子が登壇し、これまでの事業の歴史を振り返った。「価値ある出会いが未来を創る」をビジョンに掲げ、2017年2月にサービスをローンチしたeiiconだが、当初の登録企業社数はわずかに600社だった。――しかしながら、大企業からスタートアップまで多様な成功事例が生まれる中で注目を集め、2018年11月には登録企業数が4000社を突破。日本最大級のオープンイノベーションプラットフォームへと存在感を増していった。現在は約4700社の企業に登録いただいており、eiicon内では5000もの企業同士の“出会い”が創出されている。
また中村はこれからのeiiconの戦略についても言及。“オープンイノベーションの実験場”としての機能を強化するため、新たにカスタマーサクセス部隊を組成、ハンズオン支援も拡大していくと話した。さらに、“オープンイノベーション情報発信メディア”であるeiicon labを進化させ、4月から“事業を活性化するメディア”としてより広く情報を発信させていくことも発表。加えて、2019年6月4日〜5日にeiiconが主催する日本流オープンイノベーションの祭典「JAPAN OPEN INNOVATION FES 2019」も紹介した。
▲eiiconのサービスを利用している企業からの声も紹介された。
サントリーHD・仙台市によるオープンイノベーションの取り組み
続いては、eiiconを活用しながらオープンイノベーションに取り組むサントリーホールディングスと仙台市によるキーノートスピーチが行われた。
サントリーホールディングスからは、ベンチャーコネクティングチームを牽引する鈴木雄一氏が登壇。同社はオープンイノベーションへの取り組みを活性化させるために、2017年にベンチャーコネクティングチームを発足。しかし、スタートアップと出会うための情報発信をするノウハウが無く、実績も無い中で、eiiconサービスの利用を決断。
eiiconを通じたPRや記事掲載による積極的な情報発信によって、スタートアップとの面談件数は20%増加し、POCに至るケースも飛躍的に増加をしたと話した。今後、同社ではオープンイノベーションに取り組む“ヒト不足”を解消するために、社内を巻き込んだイベント開催を計画。スタートアップとの連携が重要と考えて行動できる人材を増やしていくという。
▲サントリーホールディングス 事業開発部 ベンチャーコネクティングチーム 課長 鈴木雄一氏
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仙台市からは、経済局の佐藤伸洋氏が登壇。首都圏への人口流出など仙台・東北が抱える課題の解決策の一つとして、イノベーションによる新たな成長を促進すべく「SENDAI X-TECH Innovation Project」に取り組んでいる。その一環として、2月2日〜3日に仙台市と楽天イーグルスがコラボレーションし、スマートスタジアムから街に広がるエンターテックアイデアソンを開催。およそ140名の応募の中から、約40名・10チームが参加。結果、3チームが採択され、今後スタジアムなどでの実証実験が進められていく。
この取り組みに対してeiiconはアイデアソンの告知から運営も支援。地方自治体である仙台市に不足しているオープンイノベーションのノウハウやネットワーク、情報発信を補う信頼できるパートナー的存在になっていると、佐藤氏は話した。
▲仙台市 経済局 産業政策部 産業振興課 成長産業係 主事 佐藤伸洋氏
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アワードの大賞は「サントリーHD」、スタートアップ大賞は「カラダノート」
キーノートスピーチの後、『Open Innovation Award 2018』の発表・授賞式が行われた。同アワードは、オープンイノベーション実践の実験場であるオープンイノベーションプラットフォーム「eiicon」を通じ、オープンイノベーションを積極的に推進してきた企業に贈られるもの。
今年度は、富士通、北海道ガス、沖電気工業、ハタプロ、サントリーホールディングス、AIQ、三井物産、ノバルス、カラダノート、テックビューロホールディングス、テクノブレイブ、JR東日本スタートアップといった企業がノミネート。記事冒頭にも紹介したように、大賞にはサントリーホールディングス株式会社、スタートアップ大賞には株式会社カラダノートが選出された。
サントリーホールディングスは、「オープンイノベーション実施にあたっての具体的なニーズを社外に積極的に発信し、自発的なコミュニケーションを含めて社外とのつながりを多く創出している」、「ベンチャーやスタートアップとの連携において、圧倒的なスピードで自グループ会社を巻き込んだ実証実験などの取り組みを複数実施し、連携企業の増加・新たな価値創造につなげている」といった点が、受賞の最大の理由となった。同社は、連携検討・決定フェーズが7社という実績を残している。受賞に関して同社の鈴木氏は、「このアワードにふさわしいオープンイノベーション活動を持続させていきたい」と話した。
また、スタートアップ大賞を受賞したのは、子育TechやヘルスTech事業を手がけるカラダノート。「実現したいビジョンを元に、社外への発信や連携企業の増加・新たな価値創造につなげている」という点が評価されており、連携検討・決定フェーズ3社という実績を残している。同社の取締役CFO 平岡晃氏は、「eiiconは有意義なプラットフォーム。積極的に活用してオープンイノベーションを盛り上げていきたい」と受賞の喜びを語った。
▼会場には、多くのオープンイノベーターが集結。eiiconに関するクイズ大会なども実施され、和やかな場となった。
イベントの最後には、再び中村が登壇。「大企業、中小企業、地方企業、スタートアップ、自治体など、規模の大小を問わず、eiiconを通じてオープンイノベーションが"当たり前"の世の中を実現していきたい」とスピーチし、本イベント締めくくった。
(構成・取材・文:眞田幸剛、撮影:加藤武俊)