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【OI SUMMIT 2026】日本の産業はどこから変わるべきか――KDDI髙橋氏・GCP今野氏・平将明氏が語る「共創3.0」

【OI SUMMIT 2026】日本の産業はどこから変わるべきか――KDDI髙橋氏・GCP今野氏・平将明氏が語る「共創3.0」

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株式会社eiiconが主催する、オープンイノベーションの最前線を発信するイベント「OI SUMMIT 2026」。会場には、大企業やスタートアップ、自治体、金融・投資機関など、イノベーションに関わる多様なプレイヤーが集結した。さまざまなテーマのセッションを通じて、日本の産業やイノベーションの現在地と、これから進むべき方向について議論が交わされた。

「共創3.0の到来:日本の産業はどこから変わるべきか」と題したセッションには、KDDI株式会社 代表取締役会長の髙橋誠氏、グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社 代表パートナーの今野穣氏、衆議院議員・前デジタル大臣の平将明氏が登壇。株式会社eiicon 代表取締役の中村亜由子がモデレーターを務めた。

AIをはじめとするテクノロジーが急速に進化し、世界の産業構造が大きく変わろうとしているなか、日本企業はどこに競争力を見出していけばいいのか。AI時代における日本の強みから、大企業が抱える課題、人材や技術の流動性、そして企業・スタートアップ・政府などが垣根を越えて取り組む「共創3.0」のあり方まで、日本の産業がこれから進むべき方向について交わされた議論を紹介する。

【登壇者】(左→右)

・平 将明 氏(衆議院議員 前デジタル大臣)

・今野 穣 氏(グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社 代表パートナー)

・髙橋 誠 氏(KDDI株式会社 代表取締役会長)

・中村 亜由子 氏(株式会社eiicon 代表取締役)

AI時代、日本は「日本ならではの強み」で勝つ

セッションの冒頭で議論されたのは、AIが急速に進化するなか、2030年、2040年に向けて日本がどのような産業競争力を築いていくべきかというテーマだ。

平氏は、AIの活用可能性が広がる一方、その技術とどう向き合い、コントロールしていくかも重要になると指摘。そのうえで、日本には人手不足をはじめとするさまざまな社会課題があり、フィジカルAIやバーティカルAIを活用することで、それらの解決につなげられる可能性があるとの見方を示した。

こうした日本の特性について、今野氏がキーワードとして挙げたのが「アンフェアアドバンテージ」だ。世界と同じ条件で競争するのではなく、日本発であるからこそ持ち得る優位性に目を向けるべきだという。製造業をはじめとした産業基盤や、地域に蓄積された研究・技術なども、その強みになり得る。

髙橋氏も、世界で開発競争が進む最先端のAIそのもので正面から競うのではなく、グローバルスタンダードとなる技術を取り入れ、そこに日本ならではの付加価値を加えていくことが重要だと語った。人口減少などの社会課題にいち早く直面している日本で、AIを活用した課題解決のモデルを生み出し、将来的に同様の課題に直面する海外へ展開していく。そうした循環をつくることが、一つの可能性になるという。

この視点は地域にも当てはまる。今野氏は、東京との優劣で地域を捉えるのではなく、大学の研究分野や地域固有の課題など、その土地ならではの強みに特化することで、独自の産業や事業を生み出せる可能性を指摘した。

世界と同じものを追いかけるのではなく、日本が持つ産業基盤や技術、現場、社会課題といった固有の資産にAIを掛け合わせ、新たな価値へと転換する。登壇者の議論からは、AI時代における日本の「勝ち筋」の一つが浮かび上がった。

変化を阻む「固定化」。企業・人材・技術をどう動かすか

こうした可能性を現実のものにするためには、企業や産業のあり方そのものにも変化が求められる。議論は、日本が抱えるボトルネックへと移った。

その一つが、AIの進化に企業の組織や仕組みをどう適応させるかという問題だ。平氏は、AIエージェントなどによって一人ひとりの生産性が高まる可能性に触れながら、大企業では既存の人材を生かしつつ、より高い付加価値を生み出す方向へ転換していく必要があると指摘した。

髙橋氏は、大企業ではAIへの投資が進む一方で、AIの導入コストが増えても人員は減らず、結果としてコスト増につながる可能性に言及した。そのうえで、人件費とAIにかかるコストを一体的に捉え、利益との関係を見ながらマネジメントしていくという考え方を示した。

もう一つの論点となったのが「流動性」だ。今野氏は、世界で競争するためには資金の規模だけでなく、その資金を使って世界から人材や技術を獲得する力が欠かせないと指摘。人材の獲得を国内だけで完結させるのではなく、グローバルな視点で必要なタレントや技術を集める力が重要になるという。

さらに、流動性が求められるのは人材だけではない。大企業の中で継続することが難しくなった技術や事業についても、自社だけで抱え続けるのではなく、外部へ切り出し、外部資本を活用しながら成長させる。人材・技術・事業・資本を企業の枠を越えて動かしていくことが、変化のスピードに対応するうえで重要になるとの議論が交わされた。

AIという新しい技術を導入するだけでは、企業や産業の競争力が自動的に高まるわけではない。その力を生かすためには、人材や技術、事業の配置そのものを柔軟に見直していく必要がある。日本の産業が次のステージへ進むためには、こうした「固定化」からの転換も重要なテーマになりそうだ。

「共創3.0」へ――競争する領域と、共に作る領域を再設計する

では、日本企業は具体的にどのようなアクションを起こすべきなのか。セッション終盤では、大企業とスタートアップの関係性も含め、これからの「共創」のあり方へと議論が広がった。

今回、eiiconが掲げた「共創3.0」とは、さまざまなプレイヤーが集まり、一つの社会課題の解決に向けて取り組んでいくという考え方だ。企業同士の連携だけではなく、外部と一緒に取り組むこと、時には自社の技術や事業を外へ出すこと、反対に外部の力を取り込むことも含め、より柔軟に境界を越えていくことが求められる。

髙橋氏が指摘したのは、企業が「競争する領域」と「共に作る領域」を改めて見極める必要性だ。人口減少が進むなか、すべての企業が同じようなインフラや仕組みを個別に持ち続けるのではなく、共通化できる領域では企業の垣根を越えて協力し、より上位のレイヤーで競争する。そうした発想が重要になるという。

大企業とスタートアップの連携についても、さらに踏み込んだ関係性が求められる。今野氏は、スタートアップやVCと大企業との接点を、CVCなど一部の担当組織だけにとどめないことの重要性を指摘。経営層や経営企画など、企業の意思決定を担う部門との接点を増やすことで、事業提携だけでなく、M&Aを含む大きな意思決定につながる関係を構築していく必要があるとした。

また平氏は、AI活用について、バックオフィスの効率化だけでは企業間の差別化につながりにくいとの見方を示した。重要なのは、それぞれの企業が本業においてAIをどう活用し、新たな付加価値を生み出していくかだ。

こうした議論から見えてきたのは、単に大企業とスタートアップが連携するだけではない、より広い意味での共創の必要性だ。それぞれが持つ人材や技術、資本、ネットワークを持ち寄り、従来の組織や業界の枠を越えて組み合わせていく。その先に、日本の産業そのものを変えていく「共創3.0」の姿がある。

セッションの最後に今野氏は、日本が変化していくためにも、まずは世界で競争できる具体的な成功事例を生み出すことの重要性を強調した。一つの事例が生まれることで、それまで特別だった挑戦が新たな「当たり前」へと変わっていく可能性がある。

日本にある強みを見つめ直し、組織や企業の境界を越えてそれらを組み合わせ、新たな成功事例をつくる。その積み重ねが、日本の産業を次のステージへと進める力になりそうだ。

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▼本セッションの模様は以下より動画でもご覧いただくことができます。

取材後記

今回の議論で印象的だったのは、日本が抱える課題を弱みとして捉えるだけでなく、新たな競争力の起点にできるという視点だ。人口減少や人手不足といった課題にいち早く直面しているからこそ、AIやテクノロジーを活用した解決策を生み出し、世界へ展開できる可能性がある。

そのためには、日本がすでに持つ技術や産業基盤、現場の知見を見つめ直し、企業や組織の垣根を越えて組み合わせていくことが欠かせない。足りないものを追いかけるだけではなく、今ある強みをつなぎ直す。その先に、日本ならではの「共創3.0」が見えてくるのではないだろうか。

(文:TOMORUBA編集部、撮影:加藤武俊)

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