明治大学×東急不動産×ナジック、「第80回日本栄養・食糧学会大会」でトピックス賞を受賞 “あぶら”の構造に着目した共同研究で、睡眠の質向上の可能性を示唆
明治大学、東急不動産、学生レジデンス事業を展開する株式会社学生情報センター(ナジック)は、学生レジデンス「CAMPUS VILLAGE」で実施した共同研究が、「第80回日本栄養・食糧学会大会」においてトピックス賞を受賞したと発表した。
今回受賞した研究テーマは、「あぶら」の摂取による健康効果、とりわけ“睡眠の質”への影響に関するもの。産学連携による実証研究として、学生レジデンスで提供される日常的な食事メニューを活用しながら、健康寿命の延伸につながる可能性を探った点が注目を集めた。
“脂質の量”ではなく“構造”に着目した研究
一般的に「あぶら」と一括りにされる脂質だが、近年では脂肪酸の種類や構造の違いによって、体内での働きが異なる可能性が指摘されている。特に近年は、食事が生活習慣病だけでなく、睡眠やメンタルコンディションにも影響を与えることが明らかになりつつある。
しかし、「脂質の量」だけではなく、「脂質の構造」が睡眠や健康にどのような影響を及ぼすかについては、十分な検証が進んでいなかった。
そこで本研究では、脂肪酸組成が似ていながらも脂質構造が異なる「ラード」と「牛脂」に着目。学生レジデンス「キャンパスヴィレッジ生田」の入居学生を対象に、4週間にわたる介入試験を実施した。
被験者には、ラードベースまたは牛脂ベースの平日夕食を継続的に提供。睡眠スコアや健康状態を比較・分析した。
ラード摂取群で睡眠スコアが向上
実験の結果、ラードベースの夕食を摂取した学生は、牛脂群や自由選択食群と比較して、睡眠スコアが一貫して高い傾向を示したという。一方で、体重や血糖変動、皮膚状態などについては大きな差異は確認されなかった。
さらに研究チームは、マウスを用いた検証も実施。精製ラードまたは精製牛脂を含む飼料を4週間与えたところ、ラード摂取群では休息期の睡眠量が増加し、睡眠の連続性も高まることが確認された。
これらの結果から、脂質の構造的な違いが、人間とマウス双方において睡眠の質へ影響を与える可能性が示唆された。
本研究は、「脂質=摂り過ぎに注意するもの」という従来の捉え方だけではなく、“どのような構造の脂質を摂取するか”という新たな栄養戦略の重要性を提示するものとなった。
学生レジデンスを“健康実証フィールド”へ
今回の研究は、明治大学農学部の金子賢太朗准教授の研究室が主導。食・栄養シグナルと脳や内分泌系との関係を解明し、「Food as Medicine(食を医療へ)」の実現を目指す研究を推進している。
注目すべきは、この研究が単なる実験室レベルではなく、“学生レジデンスの日常生活”を舞台に実施された点だ。
東急不動産が展開する学生レジデンス「CAMPUS VILLAGE」は、栄養士監修の食事提供やコミュニティ形成支援など、学生の生活全体を支える仕組みを特徴としている。今回の研究は、住まいそのものを「健康実証フィールド」として活用した先進事例とも言える。
「キャンパスヴィレッジ武蔵小杉」でも研究成果を展開
研究成果はすでに実際のレジデンス運営にも活用され始めている。
2026年3月に開業した「キャンパスヴィレッジ武蔵小杉」では、4月22日に新規入居学生向けウェルカムパーティーを開催。金子准教授によるミニトークとともに、“あぶら”の構造に着目した特別ディナーが提供された。
参加学生へのアンケートでは、イベント満足度が5段階評価で4.68、特別ディナー4.52、ミニトーク4.32と高評価を記録。「あぶらのイメージが変わった」「友人ができて良かった」といった声も寄せられたという。
同施設では今後も、研究知見を活かした特別メニューの提供を予定している。
住まい×食×健康の融合が進む
近年、学生レジデンス市場では「安全・安心」に加え、ウェルビーイングやコミュニティ形成を重視する流れが加速している。
その中で、今回の取り組みは、「住まい」が単なる居住空間ではなく、健康データや生活行動を通じた新たな価値創出の場になり得ることを示した。
食事、睡眠、コミュニティ形成――。学生生活を支えるレジデンスが、産学連携による健康イノベーションの実証拠点へと進化し始めている。
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(TOMORUBA編集部)