HiPro Direct、九州大学の日本酒関連技術の事業化を支援 副業・フリーランス人材が大学発ベンチャー創出を後押し
パーソルキャリア株式会社が運営する副業・フリーランス人材マッチングプラットフォーム「HiPro Direct」は、九州・沖縄圏18大学で構成される大学発ベンチャー創出プラットフォーム「PARKS」において、副業・フリーランス人材を活用した事業化支援を進めている。このたび、九州大学の研究テーマ「担持金ナノ粒子を用いた酒類の品質保持・改善技術」において、研究者とプレCxOが連携し、実証実験フェーズへ移行した。
PARKSは、九州大学、九州工業大学をはじめとする九州・沖縄の18大学と、FFGベンチャービジネスパートナーズにより設立された大学発ベンチャー創出プラットフォーム。大学の研究成果を社会実装につなげるため、事業化に必要な人材・資金・ネットワーク面での支援を行っている。
日本酒の「老香」や焼酎の硫黄臭を吸着除去
今回対象となったのは、九州大学大学院理学研究院 化学部門の徳永信教授らが取り組む、日本酒や焼酎など酒類の品質保持・改善に関する研究だ。同研究では、日本酒の劣化臭である「老香(ひねか)」や、焼酎・泡盛の飲みづらさの原因となる硫黄臭の原因物質を、独自に開発した担持金ナノ粒子によって吸着除去する技術を開発している。
従来の処理方法と比べ、お酒本来の香りを損なわずに品質改善できる点が特徴で、酒類のフードロス削減や、新しい熟成酒の開発への応用が期待される。用途としては、酒造会社向けのフロー式脱硫装置のほか、小売・輸出時に使用するキャップ式器具、飲食店向けのドリップ式器具、焼酎の蒸留装置で用いる脱硫器具など、複数の展開が想定されている。
事業計画の精緻化から酒造会社との実証調整まで支援
本プロジェクトでは、2024年度のPARKSスタートアップ創出プログラムStep1採択後、HiPro Directを通じてプレCxO人材を募集。マッチングしたのは、フードビジネスコンサルタントとして地域食材の活用や地域振興に携わり、日本酒の酒蔵との連携実績も持つ福山薫氏だ。
福山氏は約9カ月にわたり、事業計画の精緻化、酒造会社へのヒアリング先の開拓、技術用途の整理、実証実験に向けた渉外活動などを支援。研究成果を事業として展開するうえで必要となる市場接点づくりや用途整理を担い、事業化に向けた具体化を進めてきた。
複数酒造会社で実証実験を開始 2026年度内の創業を目指す
その結果、同研究テーマは2025年度のStep2-1にも採択され、酒造会社向け機器のプロトタイプが完成。複数の酒造会社で実証実験を開始する運びとなった。今後は、プロトタイプの有効性検証を進めるとともに、2026年度内の創業を見据え、実証先を増やしながらデータ取得と事業化検証を推進していく。
徳永教授は、酒造業界が多数の酒蔵や関係会社で構成される分散型市場であることに触れ、大学教員だけではキーパーソンへの接点形成や技術提案に限界があったと説明。業界知見を持つCxO人材の参画により、実用化が現実味を帯びたとコメントしている。
大学発ベンチャー創出に外部プロ人材を活用
HiPro Directは、パーソルテンプスタッフと連携し、2024年8月よりPARKSにおけるプレCxO人材の募集を支援してきた。各大学から選出された案件ごとに必要な経験・スキルを定義し、全国から副業・フリーランス人材を募集。マッチング後は、パーソルテンプスタッフがプロジェクトチームを組成し、PARKSの支援チームとともに、研究者とプレCxOの活動をサポートする。
大学発ベンチャーの創出には、技術の強みを事業へ翻訳し、市場ニーズや顧客接点、事業計画へ落とし込む人材が欠かせない。今回の取り組みは、副業・フリーランス人材の専門性を活用し、大学の研究成果を実証・創業へつなげる新たな支援モデルとして注目される。
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(TOMORUBA編集部)