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人類初、宇宙での日本酒醸造に成功 「獺祭MOONプロジェクト」第一弾が完遂

人類初、宇宙での日本酒醸造に成功 「獺祭MOONプロジェクト」第一弾が完遂

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日本酒ブランド「獺祭」を展開する株式会社獺祭と、総合重工業メーカーの三菱重工業株式会社は、宇宙空間での清酒醸造試験に成功したと発表した。両社が共同で推進する「獺祭MOONプロジェクト」の第一弾ミッションとして実施されたもので、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」において、人類史上初(※)となるアルコール発酵の確認を達成した。

本ミッションでは、専用の醸造装置と原材料をISSへ打ち上げ、月面重力を模擬した環境下で発酵プロセスを検証。宇宙で生成されたもろみは地球へ持ち帰られ、山口県岩国市の蔵で最終的に清酒として仕上げられた。これにより、宇宙環境下でも地上と同様の製造工程で日本酒を醸造できる可能性が実証された。

※獺祭調べ(2024年11月)「宇宙空間における日本酒の発酵として人類初」

月面重力環境でも発酵を確認 アルコール度数12%に到達

今回の成果として特筆すべきは、宇宙空間における発酵の成立である。ISS内で生成されたもろみを地上で分析した結果、アルコール度数は12%に到達しており、清酒として成立する水準にあることが確認された。

一方で、発酵の進行は地上に比べて緩やかであることも判明している。軌道上で取得されたデータからは、重力条件が酵母の活動や発酵速度に影響を与える可能性が示唆された。今後は、こうした差異の詳細な解析を進めることで、宇宙環境に最適化された発酵プロセスの確立が期待される。

宇宙専用の醸造装置を開発 センサと攪拌機能で発酵を制御

本プロジェクトでは、三菱重工業株式会社が中心となり、宇宙環境に対応した専用の醸造装置を開発した。装置は月面重力を模擬した条件下でも安定稼働し、内部の攪拌機構により発酵を促進。さらに、温度やアルコール濃度などをセンサでリアルタイムに計測することで、精密な発酵管理を実現している。

この技術は単なる酒造りにとどまらず、宇宙空間におけるバイオプロセス制御技術として、医薬品や食品分野への応用も見込まれる。将来的には、閉鎖環境での食料生産や資源循環の基盤技術としての活用も視野に入る。

▲ISSから帰還した醸造装置

宇宙醸造酒「獺祭MOON」誕生

ISSから帰還した約260gのもろみは、地上で搾られ、最終的に116mlの清酒として完成した。このうち100mlはチタン製ボトルに封入され、「獺祭MOON-宇宙醸造-」として1億1,000万円(税込)で販売された。

同商品は単なる高付加価値商品ではなく、「挑戦の証」として位置づけられており、売上は日本の宇宙開発に寄付される予定だ。宇宙という極限環境での成功を象徴するプロダクトとして、技術と文化の融合を体現している。

月面での酒造りへ向けた第一歩

「獺祭MOONプロジェクト」は、将来的な月面生活におけるQOL向上を見据え、月での酒造りを実現することを目的としている。今回のミッションは、その実現に向けた概念実証の位置づけであり、約2週間にわたり宇宙空間での発酵現象が確認された。

また、生成された酒粕については、東北大学の研究チームと連携し、酵母の遺伝的変化や成分の違いを分析する予定だ。これにより、宇宙環境が微生物に与える影響の解明が進み、発酵食品の新たな可能性が開かれるとみられる。

オールジャパンで実現した宇宙醸造、日本の技術力を世界へ

本ミッションは、日本の産業・研究機関が結集した「オールジャパン体制」によって推進された。ISSの利用には宇宙航空研究開発機構の制度が活用され、輸送にはH3ロケットおよび補給機HTV-Xが使用された。さらに、宇宙飛行士による運用を含め、日本主体での実行が貫かれている。

加えて、装置開発や原材料加工、輸送、デザインなど、多様な企業が参画。漫画『宇宙兄弟』の作者である小山宙哉がロゴデザインを手がけるなど、文化領域も巻き込んだプロジェクトとなった。

宇宙での酒造りという前例のない挑戦は、日本の発酵技術と宇宙開発技術の融合によって実現された。月面で人々が暮らす未来に向け、「文化としての酒」がどのように存在し得るのか——。その問いに対する一つの答えが、今回の成果である。

関連リンク:プレスリリース

(TOMORUBA編集部) 

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