未利用排熱を電力に変換、恵比寿ガーデンプレイスで実証実験開始 サッポロ不動産開発、スタートアップとの共創で持続可能な都市インフラを探る
サッポロ不動産開発株式会社は、同社が運営する恵比寿ガーデンプレイスにおいて、株式会社elleThermoが開発した「未利用排熱を電力に変換する技術」を用いた実証実験を共同で開始した。
本取り組みは、東京都が推進する「グローバルイノベーションクラスター創成事業(TIB CATAPULT)」の一環である「Global CityTech Bridge」プロジェクトにおいて、サッポロ不動産開発が“社会実装パートナー企業”として採択されたプロジェクトの一つ。スタートアップ支援と持続可能なエネルギー社会の実現を目的に、実証の場を提供するものだ。
屋外の低温環境下での発電を実証——国内初の試み
今回の実証では、elleThermoが開発した「半導体増感型熱利用発電素子(STC:Semiconductor-sensitized Thermal Cell)」を採用。室温以上のわずかな熱エネルギーから電力を生み出すこの技術を、恵比寿ガーデンプレイスの屋外環境で実際に稼働させる。
STCを一般公開して行う実証実験はこれが初めてであり、さらに屋外の低温環境下でのデータ収集も国内初の取り組みとなる。これにより、低温時や温度変化が大きい環境での発電性能を検証し、技術の品質向上と社会実装への応用を目指す。
都市を実証フィールドに——スタートアップの成長を後押し
サッポロ不動産開発は、スタートアップとの協働を通じて都市課題の解決に挑む企業だ。今回のプロジェクトでも、恵比寿ガーデンプレイスという実際の都市空間を活用し、スタートアップが社会実装を加速できる場を提供。
同社は「技術検証のフィールドを開き、共に課題を発見・改善していくことで、新しい社会価値を創出したい」としており、エネルギー分野に限らず、モビリティや防災、資源循環など多様な領域での連携拡大を視野に入れている。
世界とつながる都市型イノベーション拠点へ
Global CityTech Bridgeは、CIC Instituteと清水建設株式会社が共同運営し、Connected Places Catapult(英国)など海外機関とも連携する国際的プログラム。スマートシティや脱炭素などの都市課題解決をテーマに、スタートアップと大企業の協働を促進している。
今回の実証は、東京を“課題先進都市”として新技術を検証し、その成果を海外展開へつなげるモデルケースとなることが期待される。
elleThermoは2023年設立のスタートアップで、未利用熱エネルギーを活用した再生可能発電技術を開発している。2025年には『Forbes JAPAN RISING STAR AWARD』で「恵比寿ガーデンプレイス『はたらく、あそぶ、ひらめく。』賞」を受賞。今回の実証は、その成果を社会に示す重要なステップとなる。サッポロ不動産開発は「都市のフィールドを活かした共創によって、スタートアップの社会実装を支援し、より持続可能な街づくりを推進していく」としている。
恵比寿ガーデンプレイスから、新たな“エネルギーの循環”が始まりつつある。
関連リンク:プレスリリース
(TOMORUBA編集部)