医療介護現場での自社解決が難しい“職場環境改善”に挑むプラットフォームを展開する「きゃりこん.com」、総額1.2億円の資金調達を実施
株式会社きゃりこん.comは、ニッセイ・キャピタル、RICOH Innovation Fund、PARAMOUNT BED Healthcare Fundを引受先とするプレシリーズAラウンドで総額1.2億円の資金調達を実施した。これにより、累計調達額は1.7億円となった。
医療介護現場に、“変わり続ける仕組み”を
医療介護現場では、長時間労働や高いストレス環境により従業員の不調が生じやすく、他業界と比べて精神疾患者率が高い状況にある。また、長時間労働や慢性的な人手不足によって、職員の不調や離職が深刻化しており、10年後に予測される介護人材危機を乗り越えるには、事業者単体の自助努力に依存しない職場環境改善における構造的な基盤創りが求められている。
きゃりこん.comは、こうした課題に対し、現場と経営をつなぐ新しい仕組みとして、職場環境改善プラットフォーム「toHANAS(とはなす)」を開発・運用している。toHANASを通じて、慢性的な人手不足や高ストレス環境に悩む現場に対し、個人のケアに留まらない組織変革の仕組みと未来型の施設運営を支えるインフラを提供している。
面談とサーベイを統合した唯一の「職場環境改善プラットフォーム」
toHANASは、面談・サーベイ・改善施策を一体化し、職場環境の把握から改善・定着までを一気通貫で支援する業界初のプラットフォームだ。
国家資格キャリアコンサルタントによる定期面談と匿名アンケートを通じて現場の声を収集し、クラウド上でデータを集約・可視化・分析。経営層が課題を把握し、改善策を意思決定できる仕組みを提供する。また、改善施策の実行と定着を専門家が伴走し、「データ × 伴走」による職場環境改善PDCAを業界で初めて実現。単なるサーベイやメンタルケアにとどまらず、「現場データが経営判断や組織運営に還元される」ことが特徴となる。
行政・介護事業者と連携し、地域全体の改善モデルへ
toHANASは、リリース後約1年で全国100以上の介護施設と3つの医療法人が導入し、累計3,000件以上の面談を実施。導入施設では退職者数の大幅削減や早期離職率の半減、医療介護現場で働くことに対する前向き度の向上といった成果が報告されている。また、toHANASは、神奈川県・横須賀市など複数の自治体・医療介護事業者と連携し、職場環境データを基盤とした地域協働運営モデルの社会実装を進め、自治体や国とデータを共有し、地域全体の働きやすさ向上と人材定着を支援する新しい枠組みの構築を推進している。
今後は、こうした取り組みを神奈川県から他自治体へ展開し、地域ごとに分断されがちな医療・介護・行政の人材データを接続する“業界横断型人的資本データ・インフラ”の実装を目指す。
本資金調達を通じたプロダクト強化と業界全体への還元
今回調達した資金は、AI解析・ダッシュボード強化・キャリアコンサルタントの採用育成など、プロダクトと運用基盤の強化に活用していく予定。
さらに、医療介護事業者向けに「toHANASストレスチェック問診ツール」を新実装し、1年間のサービス無償提供を開始する(※1年間無償提供は2025年12月末までの申し込み迄)。2028年に予定されるストレスチェック義務化に先立ち、現場の導入ハードルを下げ、日本の医療介護業界を支える社会インフラとしての役割を強化していく。
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(TOMORUBA編集部)