学研グループ、京都大学との共同研究を基盤とする新会社「Gerok」を設立
株式会社 学研ホールディングスとグループ会社のメディカル・ケア・サービス株式会社は、国立大学法人京都大学との共同研究を基盤とする、新会社「Gerok(ジェロック)株式会社」を設立した。Gerokは10月1日より本格的に始動し、共同研究の成果を社会に還元するための事業推進主体として、老化関連疾患に対する実用化を目指すとともに、企業・研究機関とのアライアンスを通じて、誰もが心ゆたかな生活をより長く楽しめる健康長寿社会の実現に貢献していく。
共同研究・事業化の背景
日本は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進み、医療・介護・社会保障の負担は年々増大している。特に、認知症や生活習慣病をはじめとする老化関連疾患は、本人のみならずご家族や社会全体に大きな影響を与えており、その予防や治療は喫緊の課題だ。
こうした社会的課題に対し、学研グループは中期経営計画「Gakken2025」において「ウェルネスサービス」を医療福祉分野の重点戦略領域と位置づけ、健康寿命の延伸市場へのアプローチを推進してきた。
グループ会社のメディカル・ケア・サービス株式会社(MCS)は1999年の設立以来、一貫して「認知症ケア」に取り組み、認知症専門のグループホームを中心に全国370以上の介護事業所を運営。2018年に学研グループの一員となってからは、「認知症を取り巻く、あらゆる社会環境を変革する」を企業ミッションに医療機関や大学との連携を強化し、認知症の早期発見や予防、改善に向けた研究を推進してきた。
その中で、老化研究の第一人者である京都大学の鍋島陽一教授と協議を重ね、認知症の予防・治療に関する共同研究を2024年10月1日に開始。そこから得られた技術基盤を、より広く加齢関連疾患全般へと応用・発展させるべく、2025年4月1日に京都大学大学院医学研究科に「健康加齢医学講座」(寄附講座)を設置し、研究体制を強化してきた。そして今回、これらの研究成果を社会実装へとつなげるため、事業化を本格的に推進する運びとなった。
健康加齢医学講座の目的
・健康長寿の実現に向けて、①老化の分子機構の解明と老化関連疾患の分子病態の解明、②AI技術を活用した認知機能の大規模評価システムの開発、③抗老化・健康長寿素材の開発に取り組む。
・ライフコースにおける栄養、環境、時間の進行、エピゲノム状態などが、加齢の速度、老化、疾患発症に与える影響を解析し、その背後にある加齢メカニズムの解明を目指す。
・新たな抗老化方法を開発し、その社会実装を目指す。
Gerok事業方針
1.創薬事業
抗老化遺伝子として知られるα-Klothoの機能解析、α-Klothoを活性化する低分子化合物の開発展開を軸に、「老化を遅延する」、「老化を治療する」ことをコンセプトに掲げ、アンメットメディカルニーズの高い老化関連疾患や希少疾患を標的とした次世代の医薬品開発を目指す。
2.ヘルスケア事業
創薬研究で得た知見を応用し、ヘルスケア製品の開発を目指す。品質と安全性の確保を最優先に、2027年度の実用化を目標とする。また、関連法規を遵守しつつ、自由診療領域との協業を含めた事業展開により、研究成果の迅速な社会実装を推進する。
3.長期的展望
加齢関連疾患、とりわけ認知症領域(MCIを含む)において、予防から治療までを見すえた研究開発事業を推進。2030年の社会実装を視野に入れる。先行するヘルスケア事業の収益、研究成果の迅速な社会実装による収益を研究開発に還元し、「研究開発と事業の循環」を図る。この循環により「持続的な成長と社会的インパクトの拡大」を実現し、世界的に拡大している健康長寿市場において新しい価値の創出に挑む。
※本記載は研究開発段階の取り組みであり、評価結果や各種手続きにより内容・時期は変更となる場合がある。
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(TOMORUBA編集部)