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日韓連携によるクロスボーダー送金の新時代へ 「Project Pax」フェーズ1完了、韓国主要銀行がフェーズ2に参画

日韓連携によるクロスボーダー送金の新時代へ 「Project Pax」フェーズ1完了、韓国主要銀行がフェーズ2に参画

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ブロックチェーン技術を活用したステーブルコイン(SC)の国際送金基盤構築を目指す「Project Pax」が、新たな段階へと進んだ。Progmat, Inc.、株式会社Datachain、Fairsquarelab Co., Ltd.、Korea Digital Asset Custody Co., Ltd.の4社は、同プロジェクトの技術検証フェーズ1を完了。これを受け、韓国の主要金融機関——新韓銀行(Shinhan Bank)、NH農協銀行(NH Bank)、Kbank——が新たにフェーズ2に参画することが決定した。

Swiftと連携、ステーブルコインによる国際送金基盤構築へ

Project Paxは、国際送金の非効率さや高コスト、AML/CFT(マネーロンダリング対策)対応などの課題を、ブロックチェーンと既存金融インフラの融合で解決する試みだ。

中心となるProgmatとDatachainは、Swiftの既存アセットを活用しつつ、各国の金融機関と連携して、安全かつ実務レベルで運用可能なクロスボーダー送金基盤の構築を目指している。

韓国側のFairsquarelabは、セキュリティトークン(ST)メインネット開発を手がけるブロックチェーンの先駆企業であり、Korea Digital Asset Custodyは、新韓銀行・NH農協銀行などが共同出資して設立された韓国最大のカストディサービス企業だ。両社は韓国内でのデジタルアセット共通基盤づくりを牽引しており、2025年初頭に韓国金融委員会が発表した「デジタルアセットへの積極的関与方針」を受け、本格的にSC領域へ参入。Progmatとの間で実証実験に関するMOUを締結し、Project Paxに参画している。

フェーズ1でSC移転の実現性を確認 日韓の橋渡しを強化

フェーズ1では、Progmat・Datachain・Fairsquarelabの3社がプロトタイプを開発し、SC移転の技術的実現性を検証。通信基盤としてSwiftを利用したシステム間連携を通じ、ステーブルコインによる国際送金が現実的に可能であることを確認した。

検証結果は、Korea Digital Asset Custodyとともに東京で開かれた報告会にて、日韓両国の銀行関係者に共有され、プロジェクトの進展が正式に発表された。

Datachain 代表取締役 CEOの久田哲史氏は、「本フェーズの成果は、国際金融のインフラをよりオープンかつ効率的に進化させるための重要なステップ。日本と韓国、そしてグローバル市場全体にとっての共通基盤となる可能性を示した」とコメントしている。

フェーズ2では実務検証へ 日韓銀行が連携し商用化を見据える

フェーズ2では、商工組合中央金庫(商工中金)をはじめとする日本の金融機関と、韓国の新韓銀行・NH農協銀行・Kbankが参加。実際の国際送金業務に近い形で、仕向・被仕向銀行間の技術連携およびオペレーションの検証を行う。

具体的には、以下の取り組みが進められる予定だ。

  • 銀行間接続の実務検証:Swift経由での送金処理や、各行システムにおける運用対応の検証。

  • 高度技術の適用:Datachainが得意とする“atomic swap”を活用し、異なるブロックチェーン間での安全かつ同時決済を実現。

  • ロードマップ策定:商用化に向け、必要な技術・法制度・運用面の課題を整理し、導入に向けたアクションプランを構築。

ProgmatおよびDatachainは、フェーズ2の成果を踏まえて、より多くの金融機関が容易に導入できる商用システムを開発する方針だ。これにより、日韓間にとどまらず、世界のクロスボーダー送金ネットワークの高度化を目指す。

法制度整備と国際接続の先駆けに

韓国では、ステーブルコイン関連の法整備が進行中で、Project Paxでの検証成果は、今後の制度設計にも寄与する見込みだ。 Progmatは今後、韓国金融機関との接続を通じて、ステーブルコイン送金のみならず、ST領域における相互連携も視野に入れる。

国境を越えたデジタルアセット取引の新しい枠組みを築く「Project Pax」。その日韓連携の深化は、アジアにおける次世代金融インフラの礎となるかもしれない。

関連リンク:プレスリリース 

(TOMORUBA編集部) 

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