ビジョン達成のためにスタートアップとの連携が進むモビリティ業界。キーパーソンが語る協創の重要性・ポイントとは？――自工会主催『“モビリティビジョン2050”ダイアログ ～モビリティ業界から見た ビジョン実現への道筋～』をレポート！

2025年3月13日（木）、一般社団法人日本自動車工業会（以下、自工会）はオフライン（Inspired Lab@大手町）＋オンラインのハイブリッド形式で、“モビリティビジョン2050”ダイアログ ～モビリティ業界から見たビジョン実現への道筋～と題したイベントを開催した。

3回目の開催となった今回は、改めてモビリティ業界の視点からビジョン実現への道筋を共有するべく、（特非）ITS Japan、スズキ（株）より、将来に向けて取り組む事例や協創におけるポイント等が紹介された。当日は、主催者である自工会からこれまでの“モビリティビジョン2050”ダイアログの振り返りや、今後の取り組み紹介も実施した。

オープニングトーク概要

（自工会 次世代モビリティ委員会 次世代モビリティ政策部会 部会長 木津 雅文氏）

――モビリティビジョン2050（※）策定に至った背景と、込めている想いは？

・2017年に策定した中長期モビリティビジョンがコロナ禍やトレンド変化もあり、 改定の必要性が生じた。改めて、自動車・モビリティをより広く役立てて頂くために、広義に果たすべき役割を定義させて頂いた（木津部会長）

――第1・2回ダイアログの振り返りと第3回の位置づけは？

・ビジョン達成には、業界内パートナーとの協創は必要不可欠というのを改めて実感。一方、まだまだ連携出来ていない業種も多く、本日を機に、自動車・モビリティ業界との連携可能性についてご理解頂き、アクションに繋がることを期待（木津部会長）

※モビリティビジョン2050の詳細については以下の映像およびこちらをご確認ください。

講演テーマとQ&A

1.「モビリティデータ活用による災害対応の取り組み ～災害時通行実績情報と今後の展開～」

（特定非営利活動法人ITS Japan　斉藤 祐司 氏／地域ITSグループ 部長）

――競争領域と協調領域のすみ分けやその考え方はあるか？

・非常に線引きが難しくなっている。災害時だけであれば協調領域として整理しやすいが、平常時に競争領域（ビジネス）で使われているデータを災害時には協調領域として使わせていただく、フェーズフリーの考え方も重要であり、競争領域と協調領域がうまく連携する必要がある。また、協調領域の部分であっても持続可能なビジネスモデルを持つ必要がある（斉藤氏）

――ITS Japanの委員会活動にベンチャー企業が参加することは可能か？

・勿論可能であり、データ分析やそこからの価値創出等は、新たにご参画の方々から気付きを得るケースも多い。「このようなことが出来るのでは？」というアイディアはいつでもウェルカム（斉藤氏）

2.「スズキの考える次世代モビリティサービス ～次の100年をお客様と共に歩み続けるために～」

（スズキ株式会社　松本 祥弘 氏／次世代モビリティサービス本部 次世代モビリティサービス事業部 事業企画課 課長）

――スタートアップ企業との連携で大事にされていることは？

・イコールパートナーの精神、Win-winの関係性構築、拙速に物事を進め過ぎないといった点を重視。協業にあたってはスタートアップとの間でも上下関係があるべきでは無く、お互いにどのような価値を持ちあえるかを起点にトップ同士が対等に話が出来ることが非常に大切（松本氏）

――これまでの取り組みの中で、業界一丸とならないと実現が難しい事例はあるか？

・多方面で感じるものの、特に「地方」に根差した活動は難易度が高いと感じる。モビリティ･自動車業界の枠も超えて、現地の皆様とも一丸とならないと、永続的な取り組みとはならない（松本氏）

※参考資料：

・特定非営利活動法人ITS Japan　講演資料　

・スズキ株式会社　講演資料　

クロージングトーク概要

――2つの講演を聞いて印象に残ったことや、それを踏まえて会場の皆様へ伝えたいことは？

・ITS Japanに関しては、データを使えるようにすることもタダではないというのを、会場の皆様にもご理解頂きたい。Win-winの関係性構築といった話も出たが、単にオープンにするだけではなく、いかに事業性ある形で活用していくかが肝要（木津部会長）

・スズキにおいては、「小・少・軽・短・美」という言葉とスタートアップ等との連携が結びついている点が印象的。協業を進める際のポイントと理解 （木津部会長）

――今後の取り組みにおいて、参加者の皆様へ伝えたいことは？

・自工会は14社の会員企業から構成されており、物事を進めていくのに時間が掛かって来たところがある。スピード感持って進めていくので、今後の取り組みについて注視頂きたい（木津部会長）

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自工会は今後もビジョン実現に向け、引き続きより多くの協創パートナーとの連携を拡大し、スピード感を持った取り組みを推進していくという。