
昆虫由来バイオ燃料のスーパーワーム社、累計4.1億円を調達 宮崎発スタートアップ、プレシリーズAで2.8億円を確保
昆虫資源を活用した次世代バイオ燃料の開発を進める株式会社スーパーワームは、プレシリーズAラウンドにおいて総額2.8億円の資金調達を実施した。これにより、累計調達額は4.1億円に到達した。2023年設立の同社は、独自の育種・養殖技術と油脂抽出技術を武器に、持続可能なエネルギー供給インフラの構築を目指している。
世界的に深刻化するバイオ燃料原料不足
従来のバイオ燃料は廃食油や植物油を中心に生産されてきたが、供給量の限界や価格変動、環境負荷が大きな課題となっている。国際エネルギー機関の予測によれば、2030年には世界全体で約18GL(ギガリットル)、国内では航空分野を中心に約87万kL(キロリットル)が不足する見通しだ。こうした状況を背景に、昆虫由来の新たな油脂ソースが注目を集めている。
スーパーワームの強みは「育種・養殖・抽出」
スーパーワーム社は、以下の3つの強みを掲げる。
育種技術:ゲノム編集を用いた高脂質・高成長な個体開発
養殖技術:高密度かつ制御可能な養殖環境により土地・水資源利用を最小化
抽出技術:標準化された油脂を効率的に抽出し、精製事業者に供給
さらに、循環型の生産プロセスを採用し、生産残渣を再利用することで環境負荷とコスト削減を実現している。
投資家の声
今回のラウンドには、Archetype Ventures、ANOBAKA、三菱UFJキャピタル、チェンジ鹿児島、PARTNERS FUND、エネルギア株式会社などが出資した。Archetype Venturesの福井俊平氏は「常識を覆す挑戦の結晶」と評し、ANOBAKAの小田紘生氏は「世界を救うスーパーヒーローになれるチーム」と期待を寄せた。三菱UFJキャピタルの渡部直樹氏も「量産化が難しいスーパーワームを突破した熱意に期待」とコメント。地元宮崎の燃料事業者であるエネルギアも社会実装に向けた支援を表明している。代表取締役CEOの古賀氏は「人類史に名を刻みたい」と語り、今回の資金調達を「夢の実現に向けた一歩」と位置づける。調達資金は生産設備の拡充、研究開発、人材採用・組織体制の強化に充当し、欧州・北米・アジア市場での展開を加速させる計画だ。「宮崎という土地は、温暖な気候や広大な土地など昆虫事業に最適。ここから世界を驚かせるスタートアップに成長したい」と古賀氏は強調する。
今後の展望
スーパーワーム社は「世界を救うスーパーヒーローになる」をスローガンに掲げる。再生可能エネルギーの普及、脱炭素社会の実現、エネルギー安全保障の確立という地球規模の課題に、昆虫由来バイオ燃料という新たな解決策で挑む。
関連リンク:プレスリリース
(TOMORUBA編集部)