
ソフトバンク発のOOHプラットフォーム「オーマッチ」、総額1.2億円の資金調達を実施 人流データ連携機能などを開発、屋外広告のDXを加速へ
ソフトバンク発のOOHプラットフォーム「オーマッチ」を提供する、オーマッチ株式会社は、ファーストライト・キャピタル株式会社をリード投資家とし、総額1.2億円の資金調達を実施したと発表した。本ラウンドには、SBイノベンチャー株式会社およびソフトバンク株式会社が保有する新株予約権付社債の株式転換分も含まれている。
課題山積のOOH市場に挑む
オーマッチは、ソフトバンクの社内起業制度「ソフトバンクイノベンチャー」から誕生したスタートアップだ。現在は首都圏1都3県、関西、東海エリアに対応し、交通広告や大型ビジョンなど約20万件のメディア情報を掲載。ターゲットやエリア、媒体種別など多様な検索軸から最適な広告枠を見つけられる仕組みを提供している。
OOH市場は、交通広告や大型ビジョン、サイネージを中心に多様な媒体が存在する一方、空き枠や価格情報が市場に十分に流通しておらず、「費用感が不透明」「発注方法が複雑」といった課題を抱えてきた。さらに取引は電話やFAX、対面営業に依存しており、DXが進んだ他業界に比べると大きく遅れを取っている。
オーマッチはこうした状況を打破すべく、オンライン上でワンストップの取引を実現する仕組みを提供。広告枠を探す企業や店舗にとって、従来の煩雑なプロセスを省略し、効率的に出稿が行える環境を整えている。
資金調達で機能拡充へ
今回の調達資金は、人流データを活用した広告効果の可視化機能やオンライン取引機能の開発に充てられる。これにより広告枠の注目度や広告接触者数の推定、ターゲット層の分布把握が可能となり、広告主はより戦略的なプランニングを行えるようになる。また、新規顧客層の開拓に向けて、OOHガイドブックの制作や広告掲載事例の収集などマーケティング施策も強化していく。
出資者側の期待と今後の展望
ソフトバンク株式会社専務執行役員 兼 CHRO/SBイノベンチャー株式会社 取締役 青野史寛氏は「コロナ禍で人流が大きく変化する中でも粘り強く事業を育ててきた。オーマッチはデジタル技術を活用し、屋外広告業界に新しい可能性を切り拓こうとしている」と期待を寄せる。また、ファーストライト・キャピタル株式会社 ベンチャー・パートナーの麻生要一氏とプリンシパルの大鹿琢也氏は「屋外広告は都市景観や地域ブランディングの一部としても機能しうる成長市場。アナログな取引プロセスをDXで刷新するオーマッチの挑戦が新たな価値を生み出す」とコメントしている。
Web広告の効果が低下する中、位置情報や人流データを活用できるOOHは新たなターゲティング手法として注目を集めている。オーマッチは透明性の高い広告取引を実現し、広告主・媒体社双方にとって負担の少ないエコシステムを構築することを目指す。「OOH取引のDX化」という未開拓の領域に挑む同社の今後の展開が、屋外広告市場の在り方を変える可能性を秘めている。
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(TOMORUBA編集部)