
エステー、映像技術を活用したイマーシブ(没入型)空間を提供するフォレストデジタルと資本提携——香りと映像技術の融合でウェルネス市場に新たな価値を創出
エステー株式会社は、映像技術を活用したイマーシブ(没入型)空間を提供するフォレストデジタル株式会社が発行したJ-KISS型新株予約権を引き受けた。これにより、エステーは同社の技術と自社の香りのアセットを掛け合わせ、新たなウェルネス体験の創出を目指す。
J-KISS型新株予約権とは
J-KISS(Japan-Simple Agreement for Future Equity)は、シリコンバレーで活用されていた「Keep It Simple Security(KISS)」を日本向けにアレンジした資金調達手法だ。ベンチャーキャピタルのCoral Capitalがテンプレートを公開しており、シンプルな契約で柔軟な資本調達を可能にする。今回、エステーはこのJ-KISSを通じてフォレストデジタル社に出資し、同社の成長を支援する。
フォレストデジタル社が提供するイマーシブ体験
フォレストデジタル社は、VR技術を活用したクラウド空間「uralaa(うらら)」を提供し、あたかも自然の中にいるかのような没入感を生み出す。この技術は、オフィスや病院、教室、マンションなどさまざまな場所で活用され、ウェルビーイングや教育、防災、エンターテインメントの分野で注目されている。
エステーは、2023年から長谷工コーポレーションと共同でマンションの共有部に「バーチャル森林浴」を導入する実証実験を行っている。フォレストデジタル社の映像技術とエステーの香りの技術を組み合わせることで、都市部に住む人々に自然の癒しを提供し、リラックス効果を検証してきた。この取り組みは、エステーが目指すウェルネス領域の拡大にとって重要な一歩となっている。
香りと映像で生み出す新たな価値
エステーは「空気をかえよう」というスローガンのもと、消臭・芳香の枠を超えた新しい価値創出に取り組んでいる。その背景には、単なる機能的な製品提供にとどまらず、「こころに響くアイデアで、ふとした瞬間を、ふふっと笑顔に。」というパーパス(存在意義)を掲げ、より豊かな生活体験の実現を目指す企業姿勢がある。
一方、フォレストデジタル社は「テクノロジーは私たちを幸せにしているのか?」という問いを掲げ、テクノロジーを活用した人々の幸福追求をミッションとしている。この両社のビジョンの一致が、今回の資本提携につながったといえる。
香りと映像の組み合わせにより、人間の五感のうち「視覚」と「嗅覚」を同時に刺激する新しいウェルネス体験が創出される。これにより、医療・介護分野におけるリラクゼーション効果の向上や、オフィス環境におけるストレス軽減など、幅広い応用が期待される。
今後の展望
エステーとフォレストデジタル社の協業により、今後は以下のような新しい取り組みが考えられる。
マンション・オフィスへの本格導入
実証実験を経て、「バーチャル森林浴」の本格展開を目指す。特に、働く人々のストレス軽減や、生産性向上を支援する環境づくりに貢献できる。
医療・介護分野への展開
高齢者施設や病院において、自然の映像と香りを組み合わせたリラクゼーション空間を提供し、患者や入居者の心理的ケアに寄与する。
観光・エンタメ分野への応用
ホテルやリゾート施設での癒し体験の提供や、VRコンテンツとしての活用も期待される。
エステーによるフォレストデジタル社のJ-KISS型新株予約権引き受けは、単なる投資にとどまらず、両社の持つ技術とビジョンを融合させた新たな市場創造の第一歩だ。今後、香りと映像を組み合わせたウェルネス体験がどのように発展していくのか、業界全体の注目が集まるだろう。
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(TOMORUBA編集部)