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TOKOWAKA-MIEオープンイノベーション2期目!製薬×文書作成AI、断熱商品開発、介護現場のアップデート――新たに誕生した3つの共創事業に迫る

TOKOWAKA-MIEオープンイノベーション2期目!製薬×文書作成AI、断熱商品開発、介護現場のアップデート――新たに誕生した3つの共創事業に迫る

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三重県は、県内におけるスタートアップ生成のエコシステム構築を目指す長期構想「とこわかMIEスタートアップエコシステム」を2020年に発表した。「とこわかMIEスタートアップエコシステム」の具体策の一つとして推進されている「TOKOWAKA-MIE事業共創推進事業」は、三重県庁のサポートのもと、三重県内企業×全国のパートナー企業のオープンイノベーションを支援する、ビジネス創出プログラムだ。同プログラムは2022年度からスタートしており、2期目となる2023年度も多くの県内企業とスタートアップが参画。セミナーやワークショップを経てマッチングした企業同士の、様々な共創プロジェクトが動き出している。

TOMORUBAでは、去る2024年3月19日、2023年度のプログラムで誕生した3組のプロジェクトが、マッチングから3カ月が経った現状での共創進捗と今後の事業展望についてプレゼンテーションするイベント、「TOKOWAKA-MIE 事業共創推進事業 DEMODAY」を取材した。本記事では、3組の共創プロジェクトのピッチについて紹介するとともに、ホスト企業として参画した県内企業3社の代表者と県庁担当者によるトークセッション、「はじめての事業共創本音トーク」の模様についてもレポートする。

江戸時代の頃から全国の情報を取り込みつつ発展してきた三重県の県民性

デモデイの開会に際して、三重県庁雇用経済部次長の福島頼子氏が挨拶を行った。福島氏は、三重県が江戸時代以降、全国からお伊勢参りに訪れる人々を迎え入れてきたことや、そのような人々から得た全国の情報を取り込みながら発展してきたことについて説明し、「このような歴史的背景から考えても、今回のようなオープンイノベーションの手法は、三重県の県民性にマッチしていると感じている」と話す。

続けて福島氏は、今年度三重県が立ち上げた「みえスタートアップ支援プラットフォーム」についても紹介した。福島氏は「来年度以降もプラットフォームの支援体制を充実させていくことで、関係者の皆様と一緒に三重県のスタートアップエコシステムを進化させていきます」と、オーディエンスに呼びかけた。

福島氏の挨拶に続いて、eiicon東海支援事業部部長の伊藤達彰が登壇。伊藤は、日本におけるオープンイノベーションの現状分析や、初めてオープンイノベーションに取り組む企業が意識しておくべきポイントを解説するなど、実際の支援事例に基づくエピソードを交えて様々な共創ノウハウを紹介した。

三重県ホスト企業と全国のパートナー企業による3組の共創ピッチをレポート

続いては、2023年度の「TOKOWAKA-MIE事業共創推進事業」を通じて出会いを果たしたホスト企業とパートナー企業による3組の共創のピッチについて、以下の登壇順にレポートする。

【1】 万協製薬株式会社(ホスト) × 株式会社EQUES(パートナー)

【2】 株式会社リバ技研(ホスト) × 川上産業株式会社(パートナー)

【3】 株式会社エムケイ・コーポレーション(ホスト) × 株式会社エナジーフロント(パートナー)

【1】万協製薬株式会社(ホスト) × 株式会社EQUES(パートナー)

「製薬会社に文書作成AIエージェントを迎え入れ、働き方改革」

ホスト企業の万協製薬は、三重県多気郡多気町に本社を構える外用薬専門の医薬品メーカーであり、スキンケア製品や軟膏、消毒薬などを中心に年間250品目以上の製品を製造している。パートナー企業のEQUESは、日本のAI研究をリードする東京大学松尾研究室発のスタートアップであり、ディープラーニングや統計学のプロフェッショナルが集う技術力の高い企業として注目を集めている。

両社は今回のプログラムを通じて、万協製薬社内で課題となっていた品質保証部門の膨大な文章作成・管理業務の効率化を実現する、AIエージェントの開発・導入を目指す共創を進めている。

近年、医薬品メーカーでは、品質保証(QA)部門の人員不足が原因となる不祥事が相次いで発生しているという。医薬品メーカーの品質保証部門では、薬の製造や試験の設備・手順を変更する際、担当部門からの変更申請を、QA担当者がレビュー・承認した上で変更を実施する。万協製薬においても、このような変更申請が年間430件ほど発生しており、変更申請に関する担当部門の文章作成時間は年間215時間、QA担当者3名のレビュー時間は880時間にも及ぶなど、膨大な工数がかかっていた。

このようなQA業務の高度化・複雑化は、安定した品質保証の実現を困難にするだけでなく、これらの業務を担当する社員の離職、さらには医薬品の安定的な供給にも影響する重大な課題となっていた。

このような万協製薬の課題の解決を目指すべく、EQUESは変更申請書の草案をAIで自動生成するQAロボットを開発した。今回のAIエージェントには、大規模言語モデル(LLM)が使用されており、「質問に答えるだけで自動的に完成」「変更種別の更新に自動で対応」「過去の申請書をもとにレビューを実施する」といった機能が搭載されていることも説明された。

AIエージェントのトライアル版を活用した2週間の実証実験の結果、従来の方法で32分掛かっていた申請書の作成が8分に短縮され、以前は35分ほど掛かっていたQAのレビューも11分で終了するなど、大幅な時間短縮が確認できたと発表された。万協製薬の岩田氏は、「引き続き検証が必要なものの、現時点でのデータをもとに算出すると、年間300時間以上の大幅な業務時間削減が見込めます」と語るなど、実証実験で得られた手応えについて報告した。

EQUESの代表である岸氏は、「今回は万協製薬さんの課題解決を目指して実証実験を進めましたが、今後は他の医薬品メーカーのニーズも確認しながらテストを進めることで、今年度中のα版ローンチを目指していきます。また、現時点でのトライアル版は、変更申請書や変更管理に特化したプロダクトですが、他領域の業務効率化にも貢献できるような機能拡張を進めていくつもりです」と語るなど、今後の展開に向けての意欲をアピールした。

【2】株式会社リバ技研(ホスト) × 川上産業株式会社(パートナー)

「気候変動下でも快適で安全な生活を守る断熱商品の開発」

三重県津市に本社・工場を構えるリバ技研は、グラスウールと呼ばれる素材をベースとした吸音製品の開発・製造を行うメーカーだ。パートナー企業の川上産業は、指で潰すと楽しい「プチプチ」として知られる包装材のメーカーであり、1万5000社以上の顧客と直接取引をしている。今回の両社の座組は、オープンイノベーション界隈でも比較的珍しい「素材メーカー×素材メーカー」の共創プロジェクトとして注目されている。

リバ技研が扱っているグラスウールは、吸音性のほかに防火性や断熱性も備えており、住宅の断熱材にも使用されている。一方、川上産業のプチプチは、袋状や箱形状など、様々な形状に加工が可能な加工性を備えているほか、高い断熱性も有している。つまり、グラスウールとプチプチは、いずれも断熱性に関して共通の特徴を持っており、この二つの素材を組み合わせることで「画期的な断熱材ができるのではないか」と考えたことが、今回のマッチングにつながったという。

両社は、今回のオープンイノベーションを通じて新たな断熱材を開発することにより、地球温暖化が引き起こす様々な問題の解決を目指した。現状、地球温暖化が起因する問題は幅広い領域に及んでいるが、その中で両社が着目したのは「エネルギー問題」だ。世界規模でエネルギー需要が高まる中、日本のエネルギー自給率は11.8%に過ぎない上に、CO2排出量の削減も同時に進めていかなければならない状況にある。

このような課題を解決するためには、「再生エネルギーを活用する」「火力・原子力など様々なエネルギー源を使用する(リサイクル/エネルギーミックス)」「省力化/効率化」といった方法が考えられるが、両社は「省力化/効率化」に資するプロダクトの実現を目指し、新たに開発した断熱材の実証実験を行った。

実証実験は、コタツの天板と毛布の間に開発した断熱材を仕込む形で実施された。床に敷くタイプの断熱材は既に市販されているが、今回の断熱材では、コタツの天板が熱くなる現象を防ぎつつ、コタツの保温性能を上げることを目指したという。ピッチでは、プチプチを袋状にした中にグラスウールを挿入したサンプルも紹介された。

実証実験の結果、断熱材を入れていないコタツに比べ、コタツ内部の温度はプラス2℃の温度上昇が確認でき、天板についてはマイナス6.5℃ほど温度を下げる効果が得られたと発表された。この断熱材を使用して消費電力を抑えることにより、1日あたり3.4円の電気代を削減できるという。また、仮に日本全国の家庭のコタツで使用した場合、1日あたり25mプール1400杯分に相当するCO2を削減する効果があることも説明された。

リバ技研の代表・山本氏は「コタツは、あくまでも用途の一例に過ぎません。今回私たちが開発した断熱材は、様々な形状に加工できるメリットもあるので、幅広い要望・ニーズに対してフレキシブルに対応できると考えています」と語るなど、会場に集まったオーディエンスに対し、共創プロジェクトへの参加を呼びかけた。

【3】株式会社エムケイ・コーポレーション(ホスト) × 株式会社エナジーフロント(パートナー)

「地域社会とのTSUNAGARIで実現する介護現場のアップデート」

エムケイ・コーポレーションは、前年度のプログラムに参加したIXホールディングスのグループ企業であり、三重県伊勢市にて、デイサービスや訪問介護、高齢者への配食サービスといった幅広い介護事業を営んでいる。一方、パートナー企業のエナジーフロントは、物理と化学の境界領域における技術開発力を強みに、産学官連携で地域課題・社会課題の解決を目指すベンチャーだ。

両社は、「地域社会とのTSUNAGARIで実現する介護現場のアップデート」というテーマを掲げ、この3 カ月の間に介護における移乗介助を大幅に楽にする『リフティピーヴォ』の実証実験を行った。ピッチ冒頭では、エムケイ・コーポレーション代表の平林氏から、現在の介護業界を取り巻く課題が説明された。2022年度における日本の全産業の有効求人倍率が1.28倍であるのに対し、介護業界の有効求人倍率は3.79倍、さらに訪問介護のヘルパーに限れば15.53倍となり、より深刻な人手不足が問題となっている。このような人手不足の要因は一つではないものの、介護作業における身体的な負担に関連する部分が大きく、とくに被介護者をベッドや車椅子に移乗させる際の、介助が原因で発生する「腰痛」による離職者が少なくないという。

今回の実証実験では、エナジーフロントが開発した『リフティピーヴォ』を、エムケイ・コーポレーションが運営する施設で試験的に導入し、実際に介護職員の方々に現場で使ってもらった上でアンケートを実施した。介護職員へのアンケートでは、職員の75%が移乗介助に携わっていること、現状でも移乗補助器具はあるものの、結局は人力で移乗を行っていること、介護職員の63%がこれまでに腰痛を患った経験があることなどが明らかになった。また、『リフティピーヴォ』の使用感については、100%の職員が「これを使うことで腰痛リスクを軽減できる」と回答したことが発表された。

さらに両社は、ステージ上に椅子を並べて『リフティピーヴォ』の実演解説を行った。体重80キロの平林氏を、小柄な女性が軽々と持ち上げると、会場からは驚きの声が上がった。エナジーフロントの上田代表は、「てこの原理を応用しているので、シーソーで子供が大人を持ち上げるのと同じようなことができます」と解説した。また、『リフティピーヴォ』は、普段は座布団やマイクッションとして使えるシンプルな形状となっており、ユニバーサルデザインに基づいた設計がなされているという。

エムケイ・コーポレーションの平林氏は今回の共創について、「腰痛を原因とする介護業界の離職率を低減する」という課題解決に加え、「地域の高齢者の方々にも取り組みに関わってもらうなど、地域も巻き込んで進めていく」という2つのコンセプトを掲げていると説明。今後は『リフティピーヴォ』を軸に介護現場の腰痛予防を推進していくとともに、「地域の高齢者の方々に製品の縫製を担当してもらったり、地域の企業と一緒に製品づくりを進めたりするなど、地域の人々と一緒になって課題解決に取り組んでいきたい」とアピールし、ピッチを締め括った。

ホスト企業3社の代表と三重県庁担当者による「はじめての事業共創本音トーク」

3つのプロジェクトによる共創ピッチ終了後は、ホスト企業3社の代表と三重県庁担当者の登壇によるトークセッション、「はじめての事業共創本音トーク」が実施された。

<トークセッション登壇者>

■万協製薬株式会社 代表取締役社長 松浦信男氏

■株式会社リバ技研 代表取締役 山本博之氏

■株式会社エムケイ・コーポレーション 代表取締役 平林勇二氏

■三重県 雇用経済部 産業イノベーション推進課 矢形祐季氏

ホスト企業3社が本プログラムへの参加を決めた背景、実際に新規事業の方向性やテーマを考えてみて感じたこと、オープンイノベーションに取り組んだことによるメリット、今回のプログラムを通じて実感した共創の難しさや面白さなどテーマに、オーディエンスも巻き込んで大いに盛り上がったセッションの模様をレポートする。

●テーマ01「なぜ今回のプログラムに参加しようと思ったのか? これまでの新規事業に関する取り組みの実態について」

最初のテーマでは、各社の代表が、今回のプログラムへの参加理由や参加に至った背景について説明した。リバ技研の山本氏は、「会社自体が大手ガラスメーカーの合弁としてスタートし、親会社があった関係上、取引先が限定的であり、売上を一社に依存していました。しかし、その取引先からの売上も年々落ちてきていたため、新しい事業を立ち上げる必要があり、いろいろと模索していたものの上手くいかなかったため、今回のプログラムに応募することを決めました」と赤裸々に語った。

エムケイ・コーポレーションの平林氏は、「小さなイノベーションに関しては継続的に取り組んでいたものの、介護業界の課題を直接解決するような、大きな取り組みにも挑戦すべきだと考えて応募しました。また、介護業界はどうしても内向きな仕事が多いため、外部とのネットワークを作り、新しい情報を取り入れることで、組織文化を変えていきたい思いもありました」と説明し、新規事業創出以外にも目的があったことを強調した。

また、万協製薬の松浦氏は、昨年度のデモデイに参加した際に刺激を受け、自分たちもこの場に立ちたいと考えていたという。松浦氏は、「これまでの当社と他社には、委託・受託といった上下の関係しかありませんでした。もっぱらレースの方の“競争”ばかりをしてきたので、共に創る“共創”を通して、会社の中に新しい発想や動きを生み出したかったのです」と、参加理由について説明した。

▲左から、リバ技研 代表取締役 山本氏、エムケイ・コーポレーション 代表取締役 平林氏、万協製薬 代表取締役社長 松浦氏

●テーマ02「新規事業の方向性やテーマについて、実際に考えてみてどうだったか?」

松浦氏によるとプログラムスタート当初の万協製薬は、「小ロット多品種を可能にする現場のDX化」「肌トラブルを解決する新製品の開発」「自社の経営ノウハウを活かした経営支援サービス」といった新規事業テーマを掲げて様々な企業と面談を行ったものの、上手くマッチングしなかったという。

最終的にはEQUES社からの逆提案を受ける形で、変更申請書をAIで自動生成するQAロボットの共創を進めることになったが、それまで松浦氏自身は、「変更申請にそこまで手間が掛かっていたことを知らなかった」と語った。松浦氏は現場の社員を集めて直接話を聞き、実際にこのような課題が現場に存在することを確認した上で、改めて新規事業のテーマとして設定することを決断したという。松浦氏は「自社の課題を社外の方に発見してもらえるとは、思ってもみませんでした」と、当時を振り返った。

平林氏は、もともと地域を巻き込んだ活動に関する様々なアイデアを持ってはいたものの、そのアイデアを介護現場の課題とつなげていく発想がなかったという。しかし、今回のプログラムのセミナーなどに参加し、いろいろな共創企業候補や事務局と話して客観的なアドバイスが得られたことにより、「自分たちのアイデアや考えだけでは乗り越えることのできなかった壁を越えることができた」と語るなど、いずれのホスト企業もプログラムスタート時から「新規事業のテーマが明確に固まっていたわけではなかった」という事実が明かされた。

●テーマ03「地方企業が、新規事業創出手段としてオープンイノベーションに取り組むことには、どのようなメリットがあるか?」

山本氏はオープンイノベーションについて、「多くの人にいろいろな話を聞いてもらいながら、一緒になってアイデアを生み出せることが一番のメリット」と語った。リバ技研は、今回のホスト企業の中でもっとも小規模な企業だ。山本氏は「町工場的な感覚で試作品づくりに取り組み、客観性も何もない中で独り相撲をしていた」と、プログラム参加前の同社の状況について語った。ただ、今回のプログラムに参加したことによって、「事務局のメンバーや、パートナー企業である川上産業の方々と対話を続ける中で、様々な気づきを得ることができた」と話すなど、他社との共創が新規事業にもたらす効果について解説した。

三重県庁の矢形氏は、「県外の企業やスタートアップが三重県内の企業とオープンイノベーションを行うことにより、県内に当たり前のように存在するアセットやリソースが再定義され、それらが持つ本来の価値に改めて気づかされるケースもある」と述べ、県を跨いだ企業同士の共創により、三重県企業独自の新たな魅力が見出されるメリットについて言及した。

▲三重県 雇用経済部 産業イノベーション推進課 矢形氏

●テーマ04「全国のパートナー企業との出会いによって得られたもの、共創の難しさ・面白さとは?」

平林氏は、最終的にパートナー企業として採択したエナジーフロント社の他にも、多くの企業と面談を行ったという。「本当に素晴らしい企業さんばかりだったので、すぐにエナジーフロントさんに決めきれずに目移りしてしまったことは確かです。ただ、迷いに迷ったからこそ、社内の部門責任者たちと何度も意見交換を行うなど、自分たちが大切にしている価値観、自分たちが世の中に発信していきたい価値などについて、改めて見つめ直すことができました。その結果の最適解がエナジーフロントさんだったのです」と、パートナー企業を選ぶ際の苦労について語りながらも、迷いの中で自分たちの価値観を再認識できたことについて強調した。

一方、リバ技研の山本氏は、かなり早い段階で川上産業と組むことを決めていたという。「弊社も川上産業さんも同じ系統のものづくり企業なので、何度もディスカッションを重ねるという感じではなく、一緒に手を動かしながら考えることができました。とにかく会社同士の相性が良かったので、割とすんなり進んでいったという印象です」と、川上産業とのスムーズな共創を振り返った。

トークセッション終了後には、来場者からの質疑応答タイムが設けられた。ホスト企業やパートナー企業、事務局、県庁、オーディエンス、それぞれの立場からオープンイノベーションに関する様々なエピソードが語られるなど、会場はこの日一番の盛り上がりを見せた。

デモデイ最後に、本プログラムの主催である三重県庁より、雇用経済部産業イノベーション推進課課長補佐兼班長の三野剛氏が登壇。閉会の挨拶を行った。

三野氏は、「昨年度同様、このデモデイにかける皆さんの熱量の高さには本当に驚かされるばかりです。また、三重県としては、来年度以降も引き続きスタートアップ支援に力を入れていくつもりです。今後は昨年の8月に立ち上げた『みえスタートアップ支援プラットフォーム』を起点に、2カ月に1回ほどのペースで様々なイベントを企画していく予定ですので、ぜひご期待いただければと思います」とオーディエンスに呼びかけ、挨拶を締め括った。

取材後記

今回のデモデイで成果発表を行った3つのプロジェクトは、マッチングから3カ月ほどのインキュベーション期間であったにも関わらず、いずれも極めてポジティブな共創・実証実験の成果を披露しており、早期の製品化やサービス化も十分に期待できる。また、ピッチを行ったホスト企業やパートナー企業はもちろんのこと、オーディエンスとして参加した三重県の県内企業・県内団体をはじめとする参加者・関係者の熱量の高さも印象的であり、県庁が中心となって主導する「とこわかMIEスタートアップエコシステム」の推進が、着実な成果を上げつつあることも実感できた。今後も三重県ならではの「常若」の精神に則った様々な新規事業や共創プロジェクトが生まれ続けることを期待したい。

(編集:眞田幸剛、文:佐藤直己、撮影:加藤武俊)

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