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コロナ禍でも順調に進むNTT Comの共創プログラム「ExTorch」―10/22開催のDemoDayの見どころとは?

コロナ禍でも順調に進むNTT Comの共創プログラム「ExTorch」―10/22開催のDemoDayの見どころとは?

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NTTコミュニケーションズ(NTT Com)グループによる共創プログラム「ExTorch(エクストーチ) Open Innovation Program」。同プログラムの狙いは、グループが保有するアセットに、社外のアイデア・技術を掛け合わせ、既存事業の革新や新規事業の創出につなげること。さらに、共創によって生まれたサービス・プロダクトを社会実装し、「事業化する」ことに軸足を置いていることが特徴だ。

TOMORUBAでは第2期プログラムの開始にあわせて、募集テーマの各オーナーにインタビューを実施した。募集締め切り後の5月には、5つのテーマにおいて6チームを採択。10月22日に開催されるオンラインイベント「NTT Communications Digital Forum 2021」内で実施されるDemoDayに向けて、各チームが共創を進めている。

▼DemoDayの詳細や参加申し込みは以下画像からご覧ください。



そこで今回は、プログラムの進捗具合についてイノベーションセンター プロデュース部門の八塩初奈氏にインタビューを実施。さらに採択された2つのチームにも話を伺った。

1つは、「完全無人化された次世代データセンターの創出」を目指す、THKの小林久朗氏とNTTリミテッド・ジャパンの今枝佑介氏によるチーム。THKが開発したロボットを、NTT Comが有するデータセンター向けにカスタマイズしている。

もう1つは「Smart Data Platformを活用した次世代のIoTサービス」を目指すPLANT DATAの北川寛人氏とNTTコミュニケーションズの野村大和氏によるチーム。IoTを活用したデータ駆動型農業の実現に向けて、それぞれの技術の融合を図っている。――各社はなぜプログラムに応募し、NTT Comはなぜ採択したのか?DemoDayでの見どころと共に語ってもらった。

完全オンライン開催により応募数が増加。一度も会わずに共創を進めるチームも

――今回は2期目のプログラム開催となりますが、前年度との変化などがあれば教えてください。

NTT Com・八塩氏 : コロナの影響でオンラインでの開催になったのは前回との大きな違いです。前回はコロナ前だったこともあり、ほとんど対面で進めていましたが、今期はプログラムの説明会や共創相手とのやりとりなども含めて完全にオンライン。実際に実証実験の場に出向くことでオフラインで会っているチームもありますが、半数のチームが一度も会わずに共創を進めています。

オンラインにしたことによる最大のメリットは、応募に関する地理的な制限がなくなったこと。前回は大手町にある本社ビルでの説明会のみでしたが、今期はオンラインで説明会を開いたので、より多くの方に見ていただける機会が増え、結果として前回を上回る数の応募をいただくことができました。その中から企業規模を問わず、私たちのビジョンに共感していただいた6社を採択し、共創を進めています。


▲NTTコミュニケーションズ イノベーションセンター プロデュース部門 八塩初奈氏

――オンラインでも、問題なく共創を進めているのでしょうか。

NTT Com・八塩氏 : 始める前は私たちも心配していましたが、実際に始まってみると予想よりもスムーズに進めている印象です。中にはコロナの影響でスケジュールを後ろ倒しにしたプロジェクトもありますが、うまくリカバリーし大きな問題にはなっていません。既に実証実験を始めているプロジェクトもあり、どのプロジェクトもDemoDayには素晴らしい成果を見せてくれそうです。

――10月に行われるDemoDayの見どころについて聞かせてください。

NTT Com・八塩氏 : DemoDayは単に各チームによる共創の成果物を紹介するだけの場ではなく、それぞれの想いや、社会実装までのロードマップを提示できる場となることを目指しています。

DemoDayは3日間開催される「NTT Communications Digital Forum 2021」の1コンテンツ。各チームはイベント中にブースを出展する予定です。ビジョンに共感したチームがあればぜひ声をかけてみてください。一方的にプロジェクトの概要を聞くだけでなく、そこから繋がりが生まれるような場になれば嬉しいです。

【NTTリミテッド×THK】―ロボットでデータセンターを運用。新たな働き方を見据えた共創

――ここからは、実際に共創を進めているチームにも話を伺っていきたいと思います。まずは「完全無人化された次世代データセンターの創出」をテーマに共創を進めているNTTリミテッド・ジャパンの今枝さんとTHKの小林さんにご登場いただきます。今回のテーマ設定の背景を教えてください。

NTTリミテッド・今枝氏 : 私たちNTTリミテッド・ジャパンは世界中のデータセンターを構築・運営している会社です。ここ最近、データセンターの数は右肩あがりで、このまま増え続けると稼働するための人材不足が懸念されています。24時間運営のデータセンターを稼働させるには、1センターあたり10~13人もの人材が必要なのです。

今後も安定的にはデータセンターを運用していくには、人の力に頼らないオペレーションが欠かせません。その解決策として行き着いたのがロボットの活用です。自動車産業など、他の産業では既にロボットが実用化されていることを考えれば、データセンターは時代遅れと言わざるを得ません。今回は、20以上もの企業のロボットを見た結果、THKさんと一緒に共創することに決めました。


▲NTT リミテッド・ジャパン ICTインフラサービス部 データセンターサービス部門 今枝佑介氏

――THKさんを採択した理由は何だったのでしょうか。

NTTリミテッド・今枝氏 : 理由は3つあります。1つ目は「操作性」。THKさんのロボットを初めて操作した時に、説明もなくコントローラーを渡されたにも関わらず、ペットボトルを掴むことができたんです。ペットボトルを掴むという細かな動作は難しいと思っていたので、初見でできたのには驚きましたね。これならサービスを展開する際に、誰でもロボットを操作できると感じました。

2つ目は「拡張性」です。THKのロボットは用途が限定されていません。ハードウェアとミドルウェアまでは作られていますが、ソフトウェアは自分たちでカスタマイズできるのです。今回はデータセンター向けにロボットをカスタマイズしましたが、今後新たな課題を感じたときには、ソフトウェアだけカスタマイズすればいいので、様々な場面で役立つと思いました。

3つ目は「価格」。今回のプロジェクトは、ロボットに人の仕事を代替してもらうので、ロボットの費用が人件費を上回っては意味がありません。提案された他のロボットに比べて、THKは安価に運用できるため、コスト面でも私たちのニーズにマッチしていました。

――THKさんにもお話を伺いたいのですが、まずはプログラムに応募した理由をお聞かせください。

THK・小林氏 : サービスロボット「SEED-Noid-Mover」のユースケースを作りたかったからです。私たちのロボットは、プラットフォームとして開発したため、特定の使用用途を絞っていません。「人と同じサイズで人と同じことできる」がコンセプトなので、何に使うかはお客さんが自由に決められるのです。そのため私たちはミドルウェアまでを開発し、ソフトウェアはお客様がカスタマイズできるようにしました。

逆に言えば、ソフトウェアはお客様に作ってもらわなければロボットとして完成しません。しかし、カスタマイズ如何によって何でもできるが故に、お客様に「何ができるのか」が伝わりづらかったのです。そのため、今回のプログラムに応募しユースケースを作ることで、ロボットの可能性を感じてもらえる材料になればと思いました。


▲THK株式会社 産業機器統括本部 技術本部 事業開発統括部 専任課長 小林久朗氏

――今枝さんは操作性に驚いていましたが、こだわったポイントなのでしょうか。

THK・小林氏 : 操作性には特にこだわりましたね。最近のロボットの中には難しいプログラムを組まないと、腕を動かすこともできないものも少なくありません。特に私たちの場合、ソフトウェアはお客さんに組んでもらうので、簡単に動かせるものにしなければいけないと思ったのです。

私たちのロボットは自分の手を上げれば、その動きをトレースしてロボットも手を上げるようなもの。マニュアルを読む方が難しいくらい、見れば一瞬で使い方が分かるようになっています。


▲THKのサービスロボット「SEED-Noid-Mover」。

――共創を進める上で乗り越えた壁があれば教えてください。

NTTリミテッド・今枝氏 : 壁は2つあって、一つはロボットプログラミングを勉強しなければいけないこと。私たちはロボットのプロジェクトを立ち上げたものの、プログラミングの経験はありません。そこでTHKの皆さまにご招待いただき、勉強会を開催していただくことでゼロから学んでいきました。未経験の私たちでも数ヶ月でできるようになったので、他の方でもきっと簡単にプログラミングできると思います。

もう一つはロボットを動ける環境を作ること。人にとっては気にならないような段差でもロボットが動くには大きな障害になることもあります。それらの障害を取り除いて、ロボットが不自由なく動ける環境を作らないといけません。今後データセンターに展開するには、センター側にも環境づくりを考えてもらわなければいけませんね。

――それでは最後に、DemoDayの見どころを聞かせてください。

NTTリミテッド・今枝氏 : この共創プロジェクトが始まって約3ヶ月ですが、様々な可能性を示せることになると思います。プログラミングをしたことがない私たちでも、短期間でこれだけのものが作れるんだと思ってもらえれば嬉しいです。ぜひ、データセンターの方たちだけではなく、ロボットを作った環境づくりに興味がある方、サービスロボットの市場を作っていきたい方には見て欲しいですね。

THK・小林氏 : 今回の見どころは、人による遠隔操作でロボットを動かせることです。すべてAI任せにするのではなく部分的に人が介在することで、できることの幅がぐっと広がります。それにより、働き方も大きく変わるでしょう。

例えば、これまでデータセンターで働く人はセンターにまで足を運ぶ必要がありましたが、遠隔操作が可能になれば、センターの外から働けるようになります。様々な制約で、外で仕事ができなかった人にも機会を与えられるでしょう。よく「ロボットが仕事を奪う」と言われますが、逆にロボットを使うことで働き方の可能性を広げられることを実感してほしいですね。ぜひ、新しい働き方に興味のある方にもDemoDayを見ていただきたいです。

【NTT Com×PLANT DATA】―IoTを活用したデータ駆動型農業の実現に向けて

――続いて、「Smart Data Platformを活用した次世代のIoTサービス」のテーマについて、NTTコミュニケーションズの野村さんとPLANT DATAの北川さんにお聞きします。まず、今回のテーマ設定の背景を教えてください。

NTT Com・野村氏 : 私たちは企業向けにIoTサービスを企画開発している部署の中で、新しいIoTサービスのユースケースの発掘に力を入れてきました。これまでIoTと言えばスマートホームなどの領域では開発が進んでいても、それ以外の領域では私たち自身に知見がなく進められなかったのです。

そこで、今回のプログラムでアイデアを募集したところ、PLANT DATAさんからの提案で農業にIoTの大きなニーズがあることを知りました。「私たちが作っているサービス群で何かしら農業に貢献できないか」という想いで共創を始めました。


▲NTT Com プラットフォームサービス本部 データプラットフォームサービス部 野村大和氏

――他にも様々な領域での提案があったと思いますが、農業、ひいてはPLANT DATAさんを採択した理由は何だったのでしょうか。

NTT Com・野村氏 : 一番は北川さんと話して、個人的に農業の可能性や抱えている課題に興味を惹かれたからです。また、それ以外の提案では、IoTのセキュリティなどのお話をたくさんもらったのですが、それらは私たちも検討していた課題です。

今回、せっかく共創プログラムとしてアイデアを募集するのだから、私たちの想像の範囲を超えたプロジェクトにしたいと思っていました。そういう意味では農業の提案は、雷に打たれたような衝撃でしたね。加えて、農業での課題を解決するのと同時に、そのユースケースは農業だけでの話ではないと感じています。今後、幅広い業界に活用できる拡張性もPLANT DATAさんの提案に惹かれた理由の一つですね。

――それでは次にPLANT DATA・北川さんがプログラムに応募した理由も聞かせてください。

PLANT DATA・北川氏 : 私たちは以前から、農業におけるIoTソリューションを提供してきましたが、それらは私たち1社でできる仕事ではありません。デバイスで計測したデータをクラウドにあげる通信技術や、過酷な農業の現場での電源の確保など、様々な課題があります。

そのような課題を抱えている中で、IoTデバイスのセキュリティやクラウド技術に長けている企業を探しているところに、今回のプログラムをタイミングよく知ることになったのです。NTT Comさんなら、私たちの足りない技術をカバーしてもらえそうですし、農業以外にもIoTを普及できる可能性を感じたので応募しました。


▲PLANT DATA株式会社 代表取締役CEO 北川寛人氏

――共創を進めてみて、NTT Comさんだから実現できたことはありますか。

PLANT DATA・北川氏 : 当初NTT Comさんが想定していたゴールから変更があったのですが、柔軟にアセットなども調整していただいたおかげで、スムーズにプロジェクトを進められました。これまで共創を進めてきたパートナー企業の中には、最初に想定したゴールやアセットに固執するケースもあったので、本当に助かりましたね。

NTT Com・野村氏 : 最初は「SIMで動くアプリを使った新規ビジネス」というテーマだったのですが、北川さんと話していると、アプリよりも適切な手段があるように思えてきたのです。そのため、大きくテーマを方向転換したのに合わせて、提供するアセットも変えました。

もともとはモバイルのSIMに加えて、アプリを作るくらいだったのが、農業IoTに必要な専用の回線やデータをクラウドに上げる技術など、より幅広い開発が必要になったのです。初期段階でしっかり目線を合わせられたので、よりインパクトのある事業にできると思います。


▲PLANT DATAは、植物の生体情報の計測とそのデータを栽培管理に活かすためのサービスを提供している。

――最後にDemoDayの見どころを教えてください。

PLANT DATA・北川氏 : 今回はIoTを活用したデータ駆動型農業のユースケースをお見せしますが、この技術は農業以外でも活用できると思っています。広くIoTのポテンシャルを認識してもらいたいので、農業関係者の方はもちろん、それ以外の方にもぜひ見ていただいて新しい可能性を探ってもらいたいですね。

NTT Com・野村氏 : 私は2つのタイプのユーザーにDemoDayを見てほしいと思っています。一つは農業における新しいソリューションを紹介するので、一緒に付加価値を出せると思っている会社です。ぜひ「自分たちの技術を農業の発展のために使いたい」と思っている方は見に来てください。

また、IoTやDXが叫ばれている中で、ITを活用してDX推進するための手がかりに悩んでいる会社も見ていただきたいと思います。今回は農業のユースケースを紹介しますが、自分たちもIoTを使って課題を解決したいと思っている企業には、解決の糸口になるかもしれません。

編集後記

ロボットとIoT、まるで次世代を象徴するかのような両プロジェクト。いずれも人力で行われてきた仕事がテクノロジーで代替され、生産性を大きく上げることになるだろう。しかしそれは、THKの小林氏が言ったように「テクノロジーが仕事を奪うのではなく、働き方の可能性を広げてくれる」はずだ。――DemoDayまで残り時間はわずか。両プロジェクトを含め、採択企業が最後までどのような進化を遂げるのか楽しみだ。

▼DemoDayの詳細や参加申し込みは以下画像からご覧ください。


(編集:眞田幸剛、取材・文:鈴木光平)

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  • 眞田 幸剛

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