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『ガンダム』というIPを活用して社会課題解決を目指す――食料、モビリティ、環境、建築、アパレル、SDGsなどキーパーソン取材から募集テーマを考える

『ガンダム』というIPを活用して社会課題解決を目指す――食料、モビリティ、環境、建築、アパレル、SDGsなどキーパーソン取材から募集テーマを考える

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1979年に放映開始されたTVアニメ『機動戦士ガンダム』。誕生から40年以上にわたりガンダムの世界観から様々なコンテンツが生み出され、今もなお多くの人々を魅了している。――そうした中、バンダイナムコグループでは日本を代表するIPの一つと言えるガンダムを活用した「ガンダムオープンイノベーション~GUNDAM OPEN INNOVATION~」(GOI)を開催し、広くアイデアを募っている(応募締切10/15)。

GOIは、「来るべき“現実の宇宙世紀”に向けて」をテーマに繰り広げられている「GUNDAM UNIVERSAL CENTURY DEVELOPMENT ACTION」(GUDA)の一環として行われ、「宇宙世紀」とその背景にある「社会課題」と「未来技術」を掛け合わせて未来の夢と希望を現実化するプログラムだ。募集テーマは、「都市」、「宇宙」、「エネルギー」、「機械」、「ニュータイプ」、「その他」など幅広く設定されている。

ガンダムの持つ壮大な世界観には、まだ実現できていない新しい技術や可能性が多くあり、ワクワクする未来に向かうためのヒントも多く詰まっている。そうした未来の実現を中長期的視野で目指すのが、GOIの大きな特徴と言えるだろう。

今回TOMORUBAでは、株式会社バンダイナムコ研究所でオープンイノベーションを推進する堤氏と荒明氏に加え、株式会社バンダイナムコエンターテインメントでチーフガンダムオフィサー(CGO)を務める藤原氏にGOIの背景や狙い、どのようなアイデアを期待するかなどをお聞きした。


■株式会社バンダイナムコエンターテインメント 常務取締役 チーフガンダムオフィサー(CGO) 藤原孝史氏

1998年にバンダイ入社、2019年にBANDAI SPIRITS取締役を経て、2021年4月から現職。チーフガンダムオフィサー(CGO)として、グループ全体におけるガンダム関連事業の統括責任者を務める。


■株式会社バンダイナムコ研究所 執行役員 イノベーション戦略担当 堤康一郎氏

1998年株式会社ナムコ入社、研究部配属。バンダイナムコゲームス技術部門を経て、2012 年よりバンダイナムコスタジオ所属。 製品開発プロジェクト向け技術支援全般に従事すると共に、先端技術R&D、グループ各社と連携してのオープンイノベーションプロジェクトに取り組む。2019年4月より、株式会社バンダイナムコ研究所にてイノベーション戦略を担当。ガンダムオープンイノベーションでは(プロジェクトの企画運営)事務局統括を担当。


■バンダイナムコ研究所 イノベーション戦略本部 プロデュース部 課長 荒明浩一氏

外資系ゲーム企業を経て、2007年バンダイナムコゲームスへ入社。業務用・家庭用の「鉄拳6」プロジェクトにゲームデザイナー・ディレクターとして参加。17年よりフィールドを研究開発(R&D)へシフトし、バンダイナムコアクセラレータープログラムなどに取り組む。2019年よりバンダイナムコ研究所にて、主にオープンイノベーションプロジェクトを推進。

ガンダムというIPを前面に打ち出し、中長期的視野で社会課題の解決を目指す。

――GOIはガンダムをテーマにした非常に特徴的なオープンイノベーションプログラムです。このような取り組みを実施する目的や背景を教えてください。

堤氏 : 昨年までバンダイナムコグループで3年計画のアクセラレータープログラムを行っていました。スタートアップの方たちが持つ斬新なものの見方や才能と、当グループのリソースを掛け合わせて新しい事業の立ち上げを目指したのです。実際に意欲溢れる起業家の方たちとの出会いもあり、いくつかのプロジェクトが進行しています。また、採択企業はもちろんのこと、採択企業以外の方たちとのつながりが広がったのは、当社にとって非常に大きなメリットでした。

しかし、アクセラレータープログラムはどちらかというと短いスパンで新規事業をスタートさせることが狙い。私たちとしてはもっと中長期的な視点で社会課題と向き合いたいと思ったんですね。それで方向転換を行い、GOIを立ち上げました。そこにバンダイナムコの象徴的IPと言えるガンダムを結び付け、興味・関心を引き付けながら、私たちが取り組みたいことへのイメージをより鮮明に想起してもらうことにしたのです。

荒明氏 : GOIでは、未来社会に向けて今解決しておくべき社会課題をガンダムというIPとテクノロジーや知見を掛け合わせて未来に向けて今からスタートを切る、そうしたことを目指しています。ガンダムの世界で言う未来社会は「宇宙世紀」と結びつけられるでしょう。その世界観を活用し、SF的発想でワクワクする未来を一緒に創造しましょうと、呼び掛けているのです。

藤原氏 : 同時にガンダムというIPを社会に根付かせ、ソーシャルIPとする意図もあります。当グループでは、ガンダムを活用しサステイナブルな社会の実現を目指す「GUNDAM UNIVERSAL CENTURY DEVELOPMENT ACTION(GUDA)」を進行させており、GOIはその一環です。

ガンダムという作品はさまざまな問題とメッセージを投げかけてきました。ガンダムを起点に今を見ることで、「夢への挑戦」のようなアイデアが生まれることを期待しています。


ガンダムを切り口に、未来社会に向かう上での課題を見つけてほしい。

――募集テーマについてお伺いします。GOIでは、「都市」、「宇宙」、「エネルギー」、「機械」、「ニュータイプ」、「その他」という6つを設定しています。テーマ設定の理由や目指していることをお聞かせください。

堤氏 : 宇宙世紀を土台に、その構成要素をテーマとしました。作品中で直接的に描かれていること、間接的に読み取れることを事務局のメンバーで議論し、特徴的な単語を取り出したのです。ただ、この単語に当てはまらなくてはダメということはありません。宇宙世紀の解釈はさまざまにできると考えられますので。

荒明氏 : 本当はあまりテーマを絞りたくないんです。GOIはこれから迎える未来社会を宇宙世紀と例えているに過ぎません。未来に向かっていく上で、考えるべきことは多くあるはず。都市や宇宙はその一例だと捉えてください。

例えば、サステイナブルとスペースコロニーを結び付けて考えるとします。仮にスペースコロニーを建造する未来があるとして、コロニーでの生活を想像すると募集テーマが見えてくるのではないでしょうか。服、食料、モビリティ、インフラはどうなっているか。多様な課題を見つけていだきたいと思います。

――なるほど。都市や宇宙はあくまでキーワードで、未来社会に紐づくものであれば、基本的には受け入れるということでしょうか。

堤氏 : そう捉えていただいて構いません。ただ、ガンダムとまったく紐づけがないのも、趣旨から外れます。そもそもガンダムは社会課題と向き合ってきた作品です。

例えば、ガンダムの第1作であるファーストガンダムは「人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって……」というナレーションで始まり、さまざまな社会課題がストーリーに組み込まれていました。ガンダムが伝えていたメッセージを汲み取り、アイデアを膨らませてください。

とはいえ、あまり難しく考えると身動きが取れなくなるので、ガンダムの一シーンを思い浮かべ、それを実現していくとこんな社会課題が解決できるのではないかという具合にストーリーを作ってもらえればと思います。

荒明氏 : ガンダムは宇宙での戦争を描いていますが、目指したい社会は当然、戦争がない世界です。すると戦争のない宇宙世紀を実現するには何が課題となるかという観点も生まれてくるはずです。

募集テーマの機械はモビルスーツを意識すると想定されますが、例えば、モビルスーツが兵器ではなかったらどうなるか。そんなことを夢想するのも、面白いのではないでしょうか。

食料、モビリティ、環境、建築、アパレル、SDGsなどを観点にしたアイデアにも期待。

――捉え方次第でいろんなテーマ設計やストーリー作りができそうです。既に募集が始まっており、多くのアイデアが寄せられていると思います。どのようなアイデアが多いでしょうか。また、今後こうした方面のアイデアを期待しているということがあれば、ぜひ教えてください。

荒明氏 : 現状では宇宙とニュータイプに紐づいたアイデアが多く集まっています。

堤氏 : 宇宙関連事業に乗り出した企業は多いですし、やはりガンダムと宇宙はイメージが結び付けやすいのだと思います。ニュータイプ関連では人間拡張や教育に紐づけたストーリーにする傾向が多く見られます。

荒明氏 : 今後という点で言うと、もちろんどんなアイデアも歓迎しますが、食料、モビリティ、環境、建築、アパレル、SDGsなどの応募が増えれば良いと思っています。

――確かに、ガンダムというと宇宙やニュータイプは想起しやすいですが、別のアイデアも歓迎しているということですね。

荒明氏 : はい。実現したいことは明確だが、こういうテクノロジーがない、このテクノロジーがあれば可能だ、ということもあるでしょう。そうした応募は歓迎しますので、積極的に検討していただければと思います。一緒に形にしていきましょう。

――続いて、応募企業に対するメリットや具体的な支援をご紹介いただければと思います。

荒明氏 : 各共創プランの実現支援のために、まずガンダム公認の「Gパートナー」となっていただきます。その上で、ガンダムと紐づいた、さまざまな共同プロジェクトを進めます。必要に応じ資金援助はもちろんのこと、随時共創の途中経過の発表などを行う予定です。また、GOIをハブに多様なつながりを実現することもできるでしょう。応募のプランに合わせて必要な支援を柔軟に行う方針です。



――Gパートナー同士で結びつくこともあるでしょうか。

荒明氏 : そうですね。それも応募していただくプラン次第です。いろいろな可能性を考えています。

堤氏 : GOIはバンダイナムコ研究所が深く関わっています。ゲーム開発やエンタメの未来を作るような技術の提供、支援、コラボレーションが可能です。エンタメ領域に長く携わってきたメンバーが多いので、エンタメ的な知見も提供できます。ガンダムを起点として集まった者たちが、未来を夢想し知恵や技術を出し合いながらイノベーションを起こしていくのが理想ですね。

――求めるパートナーと審査基準についてお伺いします。募集要項では「1. ガンダムへの深い理解」「2. 募集テーマにおける技術・経験・実績」「3. 今後の実現性(3~4か年の計画)」を掲げています。より深くご説明いただけないでしょうか。

堤氏 : バンダイナムコグループがガンダムを通じて実現したいこと、なぜガンダムを前面に打ち出したか、ということを理解していただければと思っています。ガンダムの熱烈なファンである必要はありません。ガンダムに興味を持って改めて作品を見る。すると自分のやりたいことと意外な親和性があるのに気付いた、という程度で十分です。

実現性については中長期目線で進行しようという思いはあるものの、まったく実現性がない、荒唐無稽過ぎるのは対象外となります。数年先の目先の成果は不要ですが、地に足を付けたR&Dを10年、20年続けると課題解決になると想定できれば、ぜひ協業したいと考えます。

――今後の実現性を中長期的視野で見ているのは、とても特徴的です。

堤氏 : 中長期的に取り組んでいく覚悟を、当グループは持っています。応募していただく方にも、実現に向けて強い熱意を持ち続けていただければと思います。

採択後はガンダム関連のイベントなどで継続的に進捗を発表。

――採択後の流れも教えてください。

堤氏 : プランの内容によっても変わるところがありますが、基本的には研究所のメンバーが中心になって並走し、実現に向けたステップを一つ一つ踏んでいきます。その間、ガンダムカンファレンスなどで情報発信をして、ガンダムファンをはじめ、幅広い方に取り組みをPRします。採択して1回発表して終わりではありません。

藤原氏 : 活動の露出機会は継続的に設けたいと思っています。ガンダムを題材にしていることで注目度も高まるはずです。


▲発表の場が2024〜2025年に設定されているなど、GOIは中長期的な視野のもとに進められていく予定だ。

――GOIの進捗をその都度発表して、Gパートナーとしての周知も広めていくということですね。最後に応募者へのメッセージなどをいただければと思います。

荒明氏 : 今研究していることや強みを持っている技術などをガンダムに絡め、ぜひ積極的にご応募ください。その際、サステイナブルな未来社会をキーワードとしてうまく応募内容に落とし込んでもらえればと思います。

何より、こんなことをやりたかったという夢を実現するためのプログラムだと解釈して、一緒に楽しみながら未来に向かって共創できれば、これに勝ることはありません。

堤氏 : ガンダムでこんな切り口があるんだ、という斬新な発想に大きな期待を寄せています。いろいろな可能性がありますので、変に萎縮せず、応募いだければと思っています。

企業規模の大小、スタートアップ、企業の枠を超えたチーム、個人の別を問いません。自治体からの応募も歓迎しています。大手企業などでは、エントリーしたくても社内でオーソライズが取れていないことも想定できますが、採択までにオーソライズされていれば大丈夫です。不明な点があれば遠慮なくお問い合わせください。

藤原氏 : 「夢への挑戦」のようなアイデアがあると、今の閉塞感のある世の中にも活気が生まれるのではないでしょうか。実現できるかわからないけど取り組むことに意義がある。そう思えるようなアイデアは当グループとして全力を挙げて後押しします。皆さまからのたくさんのご応募をお待ちしています。

©創通・サンライズ

編集後記

ガンダムオープンイノベーションはバンダイナムコだからこそ取り組める、非常に特徴的なプログラムだ。ガンダムを切り口にどんな未来社会を描けるか。想像すると、コアなガンダムファンでなくても、とてもワクワクするのではないだろうか。一方、締め切りは10月15日と迫っている。検討の上、急ぎご応募することをお勧めする。

※プログラムの詳細についてはこちらをご覧ください。


(編集:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士)

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  • 田上 知美

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  • 眞田 幸剛

    眞田 幸剛

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