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乱用される「オープンイノベーション」という言葉。改めて定義を認識せよ。

乱用される「オープンイノベーション」という言葉。改めて定義を認識せよ。

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8月17日、内閣府は2020 年 4-6 月期のGDP速報を発表。年率換算27.8%のマイナスで、GDP統計をさかのぼれる1955年以降、最大の落ち込みとなった。新型コロナウイルス感染拡大は、リーマン・ショックや東日本大震災を凌ぐダメージを日本経済に与えている。

しかし、このような状況下にありながらも、イノベーションを生み出そうとアクセルを踏む企業は少なくない。事実、オンラインツールなどを駆使しながらアクセラレータープログラムを開催するケースも多々ある。「オープンイノベーション」という手法を駆使しながらイノベーション創出を目指そうという熱量は高いと言えるだろう。

では、そもそもコロナ禍でも注目される「オープンイノベーション」とはなにか?

「企業内部と外部のアイデア・技術を組み合わせることで、革新的で新しい価値を創り出す」イノベーション手法であると、2003年に米国のヘンリーW. チェスブロウ教授が定義付けている。――つまり、社内の資源に頼るばかりでなく、社外との連携を積極的に取り入れるべきである、と同教授は提唱しているのだ。 


「オープンイノベーション」という言葉が一人歩きしている

オープンイノベーションの生みの親であるヘンリーW. チェスブロウ教授が上記のように定義し、国内においても「オープンイノベーションは、内部・外部のリソースを有効活用しイノベーションを効率的に創出するアプローチ」オープンイノベーション白書 第三版より)としてイノベーションを起こすための方法・手段として定義されている。

つまりは、オープンイノベーションは「イノベーションを起こすために、外部と内部の資源を意図的に組み合わせて、共創を進めていくやり方」を指しているのだ。

にも関わらず、ここ最近、オープンイノベーションという言葉が乱暴な使われ方をするケースが、また一段と増え始めた。

例えば、社内の各事業のリソースを結集させて新規事業を生み出した際、「事業部を越えての連携なのである意味『社内オープンイノベーション』です!」という話。

また、外部顧問の活用をする文脈で、顧問の知見を活かすことや、別の会社から転職をしてきた社員の知見を活かすことを、「まさに”人のオープンイノベーション”です!」という話も耳にする機会もある。

私たち、オープンイノベーションに関するビジネスシーンを取材してきた「TOMORUBA」やオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA」を運営するeiicon companyでは、そうした言葉の乱用・事態に危機感を覚えている。

というのも、「オープンイノベーション」という言葉がしっかりと定義が浸透しきっている場合であれば、様々な例え方で用いたとしても問題ないだろう。

しかし、「オープンイノベーション」は残念ながら、まだ、そうではない。日本のビジネスシーンにおいてまだまだ言葉の定義付けが正確にされていない言葉だ。

そうした段階で、上記のようなたとえ、もっと言ってしまえば誤った使用方法は、混乱を生じさせることにつながっていると私たちは考えている。

「オープンイノベーション」は、「イノベーション」を生み出すための一つの手法であるが、イノベーションそのものと混同された使われ方は数年前からよくあった。ただ、ここ1年ほどの間に「オープンイノベーション」が言葉として少しずつ浸透してきたことも手伝って、様々な文脈でカジュアルに用いられている。

その中でも特に「外部の知見活用=顧問活用や転職」という文脈において、「オープンイノベーション」が乱用されている。

異なる組織が意図的に組み、価値を生み出す

冒頭にも示したが、再度、明確にしておきたいのは「オープンイノベーション」の定義は、「企業内部と外部のアイデア・技術を組み合わせることで、革新的で新しい価値を創り出す」という手法論だということだ。

『2者以上の、異なる組織同士が意図的にコラボレーションし、価値を生み出す』ことが「オープンイノベーション」であり、ある事業会社が、対価を支払い、外部の有識者の声を取り入れるといった事例は、「オープンイノベーション」とは言えない。

ビジネスメディア「TOMORUBA」やオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA」を展開するeiicon companyでは、明確な定義に基づいた「オープンイノベーション」を日本に定着させ、多くのイノベーションを生み出していくことを支援していきたいと考えている。

(TOMORUBA編集部)

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