スマート養殖スタートアップのリージョナルフィッシュ、近畿大学水産研究所とともに研究開発を加速しNEDO STS採択も決定
リージョナルフィッシュ株式会社と近畿大学水産研究所は、水産物の品種改良(対象品種の拡大+新規特性の付与)について共同研究を実施する。
リージョナルフィッシュは、京都大学・近畿大学などの水産養殖に関する技術シーズをコアとして設立されたスタートアップ企業。認定VCであるBeyond Next Ventures株式会社の支援を受け、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「研究開発型スタートアップ支援事業/シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援(STS)」に採択され、上限7,000万円の助成を受けることが決定した。この資金により研究開発を一層加速するという。
背景
リージョナルフィッシュは「超高速の品種改良技術を用いて、各地域に合った魚、すなわち地魚(リージョナルフィッシュ)を作ることで、日本の水産業の発展および地域振興に貢献すること」を目指している。かつて日本の水産生産量は世界1位だったが、この30年で世界8位へと転落し、水産業を支えた地域は人口流出が進んでいる。リージョナルフィッシュは、京都大学・近畿大学の技術シーズを活用して日本の水産業が再び世界の頂点に返り咲く一助となりたいと考えているという。STSの資金を用いて新品種改良および改良品種の生産性向上を目指し、人材採用についても強化していく。
●リージョナルフィッシュと近畿大学水産研究所の共同研究内容
超高速の品種改良を用いて作出した新品種養殖魚の大量生産試験の実施
飼育データの解析に基づく生育環境の最適条件の特定
●STSにおける主な資金使途
水産物の品種改良のパイプライン拡大に向けた研究開発費
魚類・無脊椎動物の品種改良に向けた研究開発人材の採用
リージョナルフィッシュ技術顧問兼近畿大学水産研究所教授 家戸敬太郎氏のコメント
世界の人口増加による食糧不足が危惧されている中、漁業・養殖業生産量は増加し続けています。このうち漁業生産量は、1980年代後半以降は横ばい傾向となっている一方、養殖業生産量は急激に伸びており、2013年以降は養殖業生産量が漁業生産量を上回るようになりました。しかしわが国の養殖業生産量は1988年の143万トンをピークに減少傾向にあり、現在は100万トンから110万トンの範囲で推移しています。世界の養殖業のようにわが国の養殖業を発展させるためには養殖生産の大きな技術革新が必要であり、その一つにリージョナルフィッシュとともに取り組んでいる超高速の品種改良を利用した養殖生産があります。この超高速の品種改良とAIやIoTを活用したスマート養殖とを組み合わせることで、養殖生産の技術革新を大きく進展させるべくSTSに取り組んでいきたいと考えています。
共同研究のプロジェクトメンバー、リージョナルフィッシュ 飼育系研究員 大濱光希氏のコメント
近畿大学農学部水産学科・同大学院在籍時に、家戸教授の下で魚類の品種改良に関する研究開発・魚類の飼育研究に携わり、現在はリージョナルフィッシュにて飼育系研究に従事しております。この度のSTSの採択を受け、家戸教授と再び研究することができることを大変嬉しく思っております。STSを通じて近畿大学水産研究所とともに、水産物の品種改良の研究開発をより一層加速させます。そして、安全安心で美味しい水産物を作り、消費者の皆様にお届けできるよう日々精進してまいります。
リージョナルフィッシュは、京都大学大学院農学研究科 木下政人助教および近畿大学水産研究所 家戸敬太郎教授らによる共同研究で生まれた技術シーズをコアとして設立されたスタートアップ企業。
(TOMORUBA編集部)