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【連載/4コマ漫画コラム(62)】 テレワーク時代の共創プロジェクトの進め方

【連載/4コマ漫画コラム(62)】 テレワーク時代の共創プロジェクトの進め方

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否が応でも一気に

私はリコーというオフィス機器関連の会社にいたために、「テレワーク」や「在宅勤務」という話題はもう20年以上も前から色々と検討していたのですが、中々広がりませんでした。在宅でオンラインで働くことは、最近の働き方改革でちょっと火が付きだしたかなーとは思っていましたが、今回のCOVID-19で否が応でも一気に広がりました。

また、私のような自宅がオフィスである個人業の人間にとっては、ネットで会議を行うことなどは当たり前でしたので、むしろクライアントの方々がネット会議環境などに慣れていくことは好ましいことです。「オフィスに行かないと仕事にならん」という環境は5年半前に卒業しました。そういう意味で先進的な働き方を既にやっていたということかもしれません。

もう一つの潮流「プロジェクティブな働き方」も

自慢ぽい話のついでに言うと、もう一つの「先進的な働き方」も私のような個人業では当たり前のようにやってきた「プロジェクティブな働き方」です。会社の部署に所属して、そこのテーマだけをやるのではなく、自分の時間を分割していくつもの「時限プロジェクト」に参加する働き方です。

私のような個人業では、プロジェクトは様々な会社や団体の方と一緒にやるのが普通ですが、同じ会社の中で違う部署の方々と色々なプロジェクトメンバーになって時間を分割して働くのも「プロジェクティブな働き方」です。オープンイノベーションの多くもこの「プロジェクティブな働き方」から始まります。特に大型プロジェクトに至る前には、試行錯誤で様々な会社や団体の方と「プロジェクティブ」にあれこれやることから始まります。

「プロジェクティブな働き方」も「これからの働き方の変革」の重要な方向性であることは間違いなく、随分前から一部では検討されてきましたが、この遅々として広がらなかったことが、今回の「オンラインで仕事をするのは当たり前」という突然の大潮流によって加速されることは間違いないと思います。

「オンラインで働く」のと「プロジェクティブに働く」のはとても相性がいいのです。

オンラインで『初めまして』

複数のプロジェクトで働くのには、それぞれのプロジェクトでの打ち合わせが全く別の場所で行われると移動するだけで時間が大きく奪われてしまいます。オンラインだと瞬時に次のプロジェクトに移動できます。また、いくら「複数のプロジェクトで活躍しよう」と思っていても、「実際に会わないと新しいプロジェクトには入れないな」と自分の会社でじっとしているようではプロジェクティブに働く機会が広がりません。

これまでは、オンラインで打ち合わせをするためには、その前に「最低一度はリアルに会っておくほうがいい」というのが常識でした。私もそう思っていて、できるだけ最初は会うようにしていました。でも、(既に私自身の場合はよくありますが)「オンラインで『初めまして』」が増えて、その後機会があってリアルに会ったら「実際にお会いするのは初めてですね」と挨拶をするのが当たり前になっていくと思います。

十分なテクノロジー、あとちょっと

その大きな理由がテクノロジーの発展。技術によって2つの大きな課題がほぼ解決されているからです。一つは画像や音声の品質。もう一つが、簡単に安価に使えること。20年前と比べると隔世の感があります。20年前は超高価な専用システムでないと、十分なコミュニケーションをオンライン会議で行うことは困難でした。多分、今回のCOVID-19で初めてオンライン会議をすることになった人達の多くの感想は「結構いけるな」だと思います。

ただ、どうしても今のテクノロジーでは不十分なことがいくつかあります。

その一つが「目を合わせて話にくい」ことです。

リアルの会議の場であれば、相手の目を見て話すことで意図を伝えやすいし、反応も分かりやすい。(まあ、日本人は元々目を合わせて会話するのが苦手ですからあまり問題ないかもしれませんが(それが問題だと私は思うけれど)。)今のスマホやPCをつかったオンライン会議システムでは、どうしても目線が相手に刺さらない。

以前、ある英会話学校が提供していたオンライン学習システムではテレビの真ん中(画面上の目の間くらい)にカメラを設置できるアームがついているものがありましたが、これも「視線」を合わせたいという理由からでした。

ただ、今のPCなどでのオンライン会議では複数人数が同時に参加しますから、参加者の1人に画像の顔を見て視線を送りたいと思っても、そのやり方(カメラを画面の前に設置する)のでは無理です。「ディスプレイの裏に沢山のカメラが埋め込まれていてディスプレイを通して撮影する」ということが将来的にはできるようになって、視線を合わせられるようになると思いますが、まだ先です。

今のシステムでなんとかするためには、「カメラを見つめながら」かつ「伝えたい相手の人の反応を視野の端に捉えて理解する」ということが必要です。練習である程度なんとかなるかもしれないので、誰かそのスキルを磨いて達人になってください。人間は「相手がどこを見ているのか」についてとても敏感なので、ちょっとでも視線がずれるとバレてしまいます。

また、基本的なことですが、カメラ位置を低すぎないようにセットすることが大事です。あおり(下から)での顔は不細工に映るだけでなく「上から目線」になって悪い印象を与えます。

空気感と仲間感

オンラインで不十分になりやすいことに「空気感の共有」もあります。その最たるものは国を越えて行うオンライン会議で起こる「時差による違う空気」です。

例えば、アメリカ東海岸と日本ではほぼ12時間の時差があり、日本が早朝の場合、相手はほぼ夜になりかけた夕方となります。日本では「あー、これからまた大変な一日が始まるなあ」という時間帯であり、アメリカでは「今日はもう終わり!」という時間帯になっていて、そこでの空気感のギャップは埋められません。(結構それが原因で打ち合わせがギクシャクする)。

これはどうしようもないので、やはり実際に会うほうがいいのです。つまり、「時差があるくらい離れた相手」とは実際に会い、時差がない程度の距離だったらオンラインでいい、という一見逆の感じのことが必要となります。

「空気感」に近いものとして、「仲間感」がオンラインだとどうしても薄れがちです。そのためのオススメは「オンライン打ち合わせの冒頭に必ず5分の雑談時間を設けること」です。移動時間がいらないので時間は十分とれるはずです。

実は、この方法は、個人業で社外のメンターという仕事をやっている私はリアルな打ち合わせでも必ずといっていいほどやっています(雑談好きということが根本にはありますが)。普段は一緒にいない人が溶け込むには雑談が一番。雑談のネタに困るようであれば、「最近であった『へー♡』なこと」などのお題を決めてもいいでしょう。まあ、昔から言われる「同じ釜の飯を食う」ということをオンラインで実現するために、「同じ弁当を食べながらオンラインランチmeeting」をやるという手もあります。

個人的に一番「不十分だなあ」と思っているはホワイトボードに代わるソフト・システムがまだないこと。私は「打ち合わせに役立つ歴史的最強のツールはホワイトボードだ」と思っているので。

オープンでプロジェクティブな活動が活性化する

他にも色々オンラインでは不十分なことはありますが、基本的にはオンライン化によって「よりオープンでプロジェクティブな活動が活性化する」のは間違いありません。

現在、「オンライン打ち合わせのメリット・デメリット」とか「オンライン会議のポイント・コツ」などの記事は山ほど出ているので網羅的なことはそちらに譲るとして、私が思うオンラインの追加的メリットについてお話しましょう。

1.相手の肉体的な大きさが分からないので、威圧感がない(例:身長2mの白人に英語で議論されると、その大きさだけで委縮してしまう、というようなことが解消される。)

2.近くで顔を観察できる(リアルな会議では、あまりじーっと顔を見つめにくいが、「へー、この部長こんなところにホクロが」「あ、目が泳いでいるから何か気にしているな」などと楽しめる)

3. 「エライ人をどこに座らせるのが正しい」等のつまらない「役職を考えて座席を決める」必要がない。

4.怒鳴られてもボリュームを小さくすればいい(ミュートはバレます)。

5.交渉の達人である大阪のおばちゃんの秘技「やたら距離が近い」は疑似的だがオンラインの方がやりやすい。

とにかくオープンイノベーションを加速したいと思われている皆さんにとっては間違いなくオンライン化・テレワーク化は強力な風になっていきます。

ノッていこう!


■漫画・コラム/瀬川 秀樹

32年半リコーで勤めた後、新規事業のコンサルティングや若手育成などを行うCreable(クリエイブル)を設立。新エネルギーや技術開発を推進する国立研究開発法人「NEDO」などでメンターやゲストスピーカーを務めるなど、オープンイノベーションの先駆的存在として知られる。

▼これまでの4コマ漫画コラムがアーカイブされている特設ページも公開中!過去のコラムはこちらをご覧ください。

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