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【イベントレポート】Mirai Salon #3「日本流オープンイノベーションによるCVCの未来」

【イベントレポート】Mirai Salon #3「日本流オープンイノベーションによるCVCの未来」

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2月22日に開催された、株式会社アドライトが主催するMirai Salon #3「日本流オープンイノベーションによるCVCの未来」。今回会場となったのは、日本を代表するビジネスセンター東京・丸の内からビジネスの創造と拡大をサポートする「EGG JAPAN」(http://www.egg-japan.com/)。用意された30席は早々にソールドアウトとなり、満席の会場には大企業から中小企業まで、企業のトップクラスや新規事業開発担当者など、オープンイノベーションを検討・着手するキーパーソンたちが集まった。

▲本イベントを主催する株式会社アドライト 代表取締役 木村忠昭氏

■大企業とベンチャー企業の視点から迫るオープンイノベーションの有用性

3回目の開催となるMirai Salon。今回はCVCの未来について、オムロン株式会社、株式会社ニコン、株式会社カブク、カラフル・ボード株式会社の4社が登壇。オープンイノベーションの事例紹介、参加者からの質疑応答を交えたパネルディスカッションを通して大企業目線、ベンチャー企業目線で本音トークを交わした。最初に、本イベントを主催する株式会社アドライト代表取締役の木村氏より、挨拶とMirai Salonの説明、オープンイノベーションやCVCに関しての説明や支援事例紹介がなされた。

■ベンチャー企業2社によるオープンイノベーション実例

▲株式会社カブク 代表取締役 稲田雅彦氏

はじめに登壇したのは、株式会社カブク(https://www.kabuku.co.jp/)のファウンダー稲田氏。カブクは、IoTと3Dプリントによるデジタルものづくり革命を目指す、数少ないものづくりのベンチャー企業だ。稲田氏は自身のプロフィールやカブクの事業紹介の後、日本を代表する大手自動車メーカーとの共同製作を事例として紹介。カブクが持っていた3Dプリント技術を車両のマスカスタマイズに応用したという。通常、開発には18~24ヶ月ほどかかるが、3Dプリンターを適用したことにより金型レスの開発プロセスを実現したことや、カブクのスピーディな3Dデザインにより、総工程を約2ヶ月で完成に導いたと語る。同社はこの事例以外にもゲーム業界、半導体メーカー、商社など幅広い業界とタッグを組んでおり、稲田氏は多くの事例に触れながら今後もスタートアップ企業として大きなマーケットを作っていくという気概を見せた。

▲カラフル・ボード株式会社 代表取締役CEO 渡辺祐樹氏

カラフル・ボード株式会社(http://www.colorful-board.com/)のファウンダーであり人工知能科学者でもある渡辺氏は、AIは一言でいうと「ドラえもん」だと語る。「すべての人に人生が変わる出会いを」というコンセプトのもと、人に限らない出会い、つまり情報やコンテンツなど、人の生活を豊かにする出会いを科学している企業だ。渡辺氏はAIの可能性を紹介した後、ファッションと食の2つの領域における事例を紹介した。ファッションでは、AIを接客ツールとして活用。来店されたお客様に対して在庫の中からマッチする商品をAIが自動で選ぶというもの。現在、百貨店や大手アパレルメーカーが実証実験を行っている。そして食の領域では、「人の味覚のあいまいさ」を解決するべくAIのワインソムリエを生み出したことを紹介。渡辺氏は、「いきなり大きなプロジェクトを手がけるというよりも、AIを使って何かできないか、そんな“フェーズ0”からはじめるのが私たちのオープンイノベーションです」と語った。

■大企業2社によるオープンイノベーション実例

▲オムロン株式会社 事業開発本部 新事業創出センター 事業インキュベーション室 オムロンベンチャーズ担当 主査 今西充氏

 オムロンベンチャーズ(http://www.omron.co.jp/ventures/)の主査を務める今西氏は、世の中の課題をいち早く捉え、世界初の商品を数多く開発してきたオムロンにとって、オープンイノベーションはまさに事業開発を加速させる強力な仕組みであると言及。「ベンチャー企業が持つアイデアや技術を、オムロンが持つリソース、販売チャネル等と掛け合わせて事業を創出していきたい」と語った。事例紹介では、農業分野におけるビニールハウス内の温度や湿度を自動で調節するシステムを開発したベンチャー企業とのコラボレーションを紹介。また、コトチャレンジ(アクセラレーションプログラム)を通じて農業IoTベンチャーや、遠隔医療の研究に取り組むベンチャー企業の発掘、支援を行っている。今後も積極的にIoT、AI、ロボットなどのテクノロジーの進化を捉えながら、オープンイノベーションを推進していく方針とのこと。

▲株式会社ニコン 新事業開発本部 CE事業 CEBDチーム 主幹 坪井聡一郎氏

株式会社ニコン(http://www.nikon.co.jp/)からは、新事業開発本部の坪井氏が登壇。同社でもCVC組成の他、コーポレートアクセラレータープログラムによるスタートアップ企業との共創活動を始めている。Mirai Salonの会場では自身の新事業開発本部におけるプロジェクトについてお話し下さった。前プロジェクトチームの解散、その後「NO MONEY,NO TEAM」の状況からハンズオンでどのように新規事業を立ち上げたのかを紹介。「WHY HOW WHAT」の3つがあればビジネスは創造できるという信念のもと一人ではじめた取り組みだったが、協力を申し出てくれたベンチャー企業の方とともに強力なチームを結成。そして挑んだ事業領域とは――。その場にいる誰もが、一言も聞き逃すまいと熱心に耳を傾けた。

■大企業×ベンチャー企業×CVCの本音に迫る「パネルディスカッション」

今回登壇した4社によるパネルディスカッションでは、モデレーターに加えて参加者からも数多くの質問が寄せられた。「CVCが入ることに対してどう捉えているのか」といった質問に対してカラフル・ボードの渡辺氏は、「単にお金だけではなくそれを超えたシナジーを創出し、お互いビジネスを大きくしていくという意欲のある会社と付き合いたい」と答えた。また、「キーパーソンがオープンイノベーションに積極的ではない場合の対処法」についてオムロンの今西氏は、「まず積極的になれない理由を探ります。事業として難しいのか、保有技術が適切なのか、逆にどういうベンチャー企業がいいのかなど、まずはコミュニケーションをとることだと思いますね」。そのほか、「自社の技術をアピールするテクニック」「どんなアクセラレータープログラムに魅力を感じるか」さらに質問は人材育成にまで及び、盛況のうちに幕を閉じた。

■取材後記

0から1を創造するのに大企業もベンチャー企業もない。そこに共通するのは“イノベーションの創造”、言い換えるなら“ものづくりへの飽くなき挑戦”だ。ベンチャー企業2社の革新的なテクノロジー、大企業におけるオープンイノベーションの本格的な広がりを目の当たりにし、カラフル・ボードの渡辺氏が言う「ドラえもん」がいる未来はすぐそばにあることを実感。今後より一層オープンイノベーションという手法が日本企業に深く浸透していけば、日本のものづくりはさらなる競争力を手にするだろう。大企業とベンチャー企業が互いの強みを活かしながら協業するオープンイノベーションの魅力、可能性を改めて感じるイベントとなった。

(構成:眞田幸剛、取材・文:佐々木智晴、撮影:加藤武俊)

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