【オープンイノベーションの立役者たち/izuru・大塚友広】「共創」が地方創生を活性化させる(後編)
2月24日にローンチしたオープンイノベーションのプラットフォーム「eiicon」(https://eiicon.net/)。オープンイノベーションは2000年初頭からアメリカなどで広まったが、日本ではまだ新しい概念だ。日本に根付かせるには、どのような展開が必要になってくるだろうか。また、その中でeiiconの果たす役割とは?ブランドコンサルティングを手がける中でオープンイノベーションを導入し、数々の実績を残しているizuru株式会社(http://izuru.gift/) 代表取締役 大塚友広氏に、eiicon founder・中村が話を伺った。
▲izuru株式会社 代表取締役 大塚友広氏
▲株式会社インテリジェンス eiicon founder・中村亜由子
■自社の資源にないことは、やろうとしてもうまくいかない。
中村:大塚さんは、コンサルティングなどを通じ、事業創出に関わっています。新規事業が成功する場合と失敗する場合とでは、どのような違いがあると感じていますか。
大塚:自社の資源にないことをやろうとすると失敗しますね。イチ企業でできることは、企業規模問わず実は想像以上に狭いものです。そこを見誤りマーケットのみを見て「この市場は行けそうだ」で新規事業を始めてしまうと、うまく行かないことが多いですね。つまりチャレンジはしてはいけない。ということです。まずは、今そこにある資源に目を向けることです。そうすることで、その新規事業はチャレンジではなくなります。
中村:eiiconは新規事業として始めましたが、インテリジェンスが持つ顧客データと、求人広告のノウハウを利用しようと考えました。
大塚:それは素晴らしい判断だと思います。
■地方には良質な資源が眠っている。
大塚:eiiconは今後、どのような展開をお考えですか。個人的には、地方にも力を入れてほしいと思っています。日本の地方は、それぞれが独立国家の様相を呈して、自分たちの商圏内で商売をしていることがほとんどです。オープンイノベーションで共創するということは、ほとんど貿易に近くて、国をまたぐことだと言ってもいいかもしれません。一方で、地方の企業は非常に良質な資源を持っているところが多く、その資源を一般化して、広くコンシューマーに価値を伝えれば、急激な成長が遂げられます。そういった例は実際、多くあるのです。
中村:地方にはたくさんの可能性があるように感じました。eiiconでは海外展開を視野に入れていたのですが。
大塚:それより、国内に目を向けたほうがいいと思います。例えば、eiiconの仕組みをそのまま地方に持っていというのはいかがでしょうか。先ほどお話したように、地方は独立国家のようになっており、しかも、地方間の行き来は活発とは言えません。各都道府県にeiiconの拠点を作って、フレキシブルに情報を開示しながら、地方をまたいで資源を結び付けられるようになれば、非常に面白いのではないでしょうか。
中村:確かに。オープンイノベーションの過程で新しい仕事も生まれるはずで、地方の雇用創出にもつながっていきますね。
■取材後記
大塚氏が地方との関りが強いため、有益な地方創生の話を多く伺うことができた。地方に眠る良質な資源を掘り起こし、他の自治体の資源と結びつける。そうすることで、新たな事業も雇用も賑わいも生まれる。まさにオープンイノベーションが地方に求められており、eiiconもその一助となることに大塚氏は期待を寄せた。
また、新規事業を始める時は自社資源を見極めできることを行う、という言葉も印象に残る。当たり前のようにも感じられるが、新規事業だからと言って、何を始めてもいいということはならない。オープンイノベーションの成功も、優良な自社資源の掛け合わせで生まれる。
(構成・取材:眞田幸剛、文:中谷藤士、撮影:加藤武俊)