福岡県飯塚市、ブロックチェーン×古民家の「ブロックチェーンストリート」開設に向け始動
福岡県飯塚市は、株式会社カグヤ、株式会社chaintope、株式会社ハウインターナショナルとともに、飯塚市幸袋の旧伊藤伝右衛門邸前の長崎街道を中心に、ブロックチェーンと再生した古民家群を活用した“ブロックチェーンストリート”開設に向け始動した。本件について、去る8月21日(水)に同構想の核となる古民家・聴福庵(飯塚市幸袋340-1)にて共同記者発表をした。
※上写真:8/21 記者発表(左から株式会社chaintope正田氏、片峯誠飯塚市長、株式会社カグヤ野見山氏、株式会社ハウインターナショナル田中氏)
▲片峯誠飯塚市長
背景・経緯
飯塚市は、福岡県北部のほぼ中央に位置し、人口約13万人、面積約214平方キロの福岡県内で4番目の人口を擁する自治体。
かつて飯塚市は筑豊炭田の中心部として栄えていたが、エネルギー革命によって石炭産業が衰退するとともに人口減少や経済の疲弊が大きく進んだ。この状況を打開するため、3つの大学を擁する利点を生かし、文化性・創造性を備えた国際的な情報産業都市となるべく、2003年に政府の構造改革特区の第一弾として「飯塚アジアIT特区」の認定を受け、2013年にアメリカ・シリコンバレーの一角であるサニーベール市と友好交流関係協定を締結、2016年には姉妹都市協定を締結するなど地域振興策を着実に実行してきた。
この度、ブロックチェーン技術の世界での大規模な利用拡大に伴い、世界的にエンジニア不足が課題となっていること、その様な状況にも関わらず飯塚市内に複数のブロックチェーン関連企業があること、またNHKの連続テレビ小説「花子とアン」でも有名になった旧伊藤伝右衛門邸前の長崎街道沿い(飯塚市幸袋)を中心に複数の古民家があり、そのうちの一つ(聴福庵)を再生させた実績を持つカグヤも社長が飯塚市出身・在住であることから、それらの条件を活かして“仕事”と“暮らし”を融合させた、ブロックチェーンエンジニアや企業が連携できる環境を整えることで、社会課題ともなっているエンジニアの心身の健康維持と更なる創造性の発揮を助けることもできると判断し、ブロックチェーン×古民家の“ブロックチェーンストリート”開設を決定したという。
今回のプロジェクトの内容
市内に存在する古民家群を再生させ、それらをコワーキングスペースやシェアオフィス、シェアハウス、コリビング、宿泊施設として、国内外のブロックチェーンエンジニアや企業が集い、連携できる環境を2020年春を目標に整える。(施設は2020年春以降も随時追加予定。)これらを活用して定期的にハッカソンやブロックチェーン関連のイベントを開催し、飯塚で最先端のブロックチェーンの情報に触れて学ぶことができる環境を生み出し、将来的には飯塚が世界で最先端のブロックチェーンの情報と技術の集積地となることを目指す。
また、エンジニアや経営者、外国人旅行客などに人気があり、自律神経を整える作用も高いサウナ(日本古来の蒸風呂を再現予定)を併設した、ブロックチェーンエンジニアが暮らしながら働ける道場や自然農法で作ったお米や野菜などを使った食事処の開設も予定しており、健康的に最先端のブロックチェーン技術の研究開発やプロジェクト推進ができる環境とコミュニティを提供。
飯塚市内にブロックチェーンの共同研究をできる大学が複数あること、起業支援の仕組みやベンチャーインキュベーション施設があることを活かし、ブロックチェーン技術の学習、研究、起業及び実証実験、ネットワーキングまで一気通貫で行える環境を提供することで、飯塚市にブロックチェーンベンチャーを多数生み出し、世界中からブロックチェーンの関連企業も誘致することで、飯塚市を中心に筑豊地域全体をブロックチェーンのシリコンバレーとすることを目指す。
ブロックチェーンストリート構想は、最先端の技術と日本の文化遺産を軸に、世界を対象とする新しい地方創生モデルの確立を目指しており、国内外の企業誘致やエンジニアの交流を通して、ローカルからグローバルに繋がるグローカル社会を実現するという。
▲聴福庵外観
▲聴福庵の様子
記者会見では、片峯市長からも「福岡県と力を合わせ、飯塚市のみならず福岡県が、日本そして世界のブロックチェーン技術の研究先進地域になっていくことに協力できることを飯塚市としても誇りにしたい。色々な立場の方々と力を合わせ、"飯塚市といえば"と堂々と言えるものを創っていきたい。」との発言があり、産学官民連携で本構想を進めていくという。
関係企業
株式会社カグヤ
人々の関係性が希薄な無縁社会と呼ばれる現代、カグヤは子どもの叡智から学び、子縁社会の甦生を目指す社会変革集団。 「数世代先の子どもたちのことを考えた行動」を原則にした経営戦略を掲げ、SDGsに則った本質的事業を展開。子縁社会の実現は「教育」の分野、日本の伝統文化や自然を生かした持続可能な徳循環伝承は「農」の分野、生き方を磨く場道(BADO)の展開は古民家・聴福庵を通した「暮らし」の分野。新しい国造りの価値観は「ブロックチェーン」の分野。それぞれの分野から子どもたちに遺したい「懐かしい未来」を磨くという。
株式会社chaintope
「ブロックチェーンインテグレーターとして社会にブロックチェーンを実装する」ことをミッションとして掲げるブロックチェーンテクノロジーカンパニー。ブロックチェーンのコアテクノロジー開発(研究開発メイン)に強みを持ち、概念実証(Proof of Concept:PoC)やシステム開発などの案件受注の他、独自のプロトコルレイヤーソリューションの開発を進めている。
株式会社ハウインターナショナル
モバイル・クラウド導入支援と自社サービス提供を行う、AWSのAPNコンサルティングパートナー。ブロックチェーンを活用したシステム開発も行う。「地域を主役にするシステム開発」を掲げており、“地方創生活動を支援し、人の交流を応援する”GrainPlatformなどのサービスを提供している。
※関連リンク:プレスリリース
(eiicon編集部)