JR東日本とベンチャーの協業で実現、「ジャー黒牛」が東北レストラン鉄道のメニューに採用
バイオマスソリューション事業を展開する株式会社ファーメンステーションによる地域循環モデルから生まれた岩手県雫石町の「ジャー黒牛」の肉が、2019年7月6日(土)から9月29日(日)までの3ヶ月間、東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)が運行する東北レストラン鉄道「TOHOKU EMOTION」において、ホテルメトロポリタン盛岡が監修するランチコースの特選素材として採用されることになった。「TOHOKU EMOTION」で、岩手県の食材の魅力とともに、JR東日本グループとファーメンステーションとのコラボレーションによる地域循環モデルを体感できる。
ファーメンステーションは、「TOHOKU EMOTION」で提供しているシードルの製造工程で発生するリンゴの搾りかすから抽出したエタノールを原材料としたアロマスプレーなどを商品化しており、車内のトイレでアロマスプレーの香りを楽しめる。また、エタノール生成後の発酵かすは、今回ランチコースの特選素材として提供される「ジャー黒牛」の飼料に採用されている。列車内空間において、食材と香りのサステナブルな循環を実現し、東北地域の新たな魅力を発信するという。
なお、ファーメンステーションは、JR東日本スタートアッププログラム2018の採択企業であり、JR東日本スタートアップ株式会社との連携により、今回の取組みが実現した。
■概要
提供列車:東北レストラン鉄道「TOHOKU EMOTION」
対応期間:2019年7月6日(土)~2019年9月29日(日)の運転日
運行区間:八戸駅発→久慈駅行きの往路のみ提供
今回の取組み:① ランチコースに「ジャー黒牛」を採用 (メニュー名:雫石産ジャー黒牛のロースト 岩泉わさび添え)
② 車内空間の香りの演出に青森リンゴの搾りかすから抽出したエタノール配合スプレーを採用(使用箇所:車内トイレ)
▲「TOHOKU EMOTION」
▲「ジャー黒牛」メニュー
■東北レストラン鉄道「TOHOKU EMOTION」
2013年10月に運転を開始した、列車全体がレストランとなった「のってたのしい列車」。メニューは、3ヶ月ごとに変更され、八戸駅―久慈駅間で運行している。運転日他、旅行代金等について詳しくは、JR東日本「のってたのしい列車」ホームページを参照。
■ジャー黒牛
雫石町の(株)重次郎が飼育するジャージー牛と黒毛和種を掛け合わせたもので、飼育頭数が極端に少なく、ほとんど流通していない希少な牛肉。ジャージー牛の赤身に黒毛和種の上質な脂が入り、さっぱりした味わいが特徴。
飼料には、ファーメンステーションがリンゴの搾りかすからエタノールを抽出した後に残る発酵かすを与えており、リンゴ由来の香りも相まって、牛の高い嗜好性が確認されているという。
■重次郎
会社名の「重次郎」は屋号。岩手県雫石町で代々続く農家の5代目が、和牛繁殖を主体にユニークな畜産経営を展開している他、パン製造、カフェ営業、農業資材運送業も手がけている。
■今回のメニューを監修する、ホテルメトロポリタン盛岡の料理人
■いわて食材発信プロジェクト
いわて食材発信プロジェクトは、JR東日本盛岡支社が地域と連携し、岩手の魅力的な食材を取り上げて、商品の共同開発および高付加価値化等を行い、JR東日本グループの販売ネットワークおよび首都圏への情報発信力を活かし、ブランド力の向上、地域の活性化、復興支援等を推進するプロジェクト。
https://www.jr-morioka.com/shoku.project/
■シェフの食旅
いわて食材発信プロジェクトのコンテンツの一つで、ホテルメトロポリタン盛岡のシェフが、岩手県内の生産者を訪ね、旬の食材から新メニューを創作。食材と生産者の"味力"を発信する食材ストーリー、ホームページ上で動画などを公開中。
https://www.jr-morioka.com/shoku.project/cheftv/index.html
■ファーメンステーション
「発酵で楽しい社会を(Fermenting a Renewable Society)!」をミッションに、発酵技術で循環型社会を構築していくスタートアップ。岩手県奥州市にて、独自の発酵・蒸留技術で提携農家が作ったオーガニック米を活用したオーガニックエタノールと発酵粕を製造。100%天然由来、かつトレーサブルな原料で、化粧品や雑貨の原料として大手化粧品メーカーに販売するほか、大手セレクトショップ向けのオリジナル商品の企画販売も実施している。
エタノール製造過程で生成される副産物は、化粧品原料だけではなく地域の鶏や牛の飼料として利用し、さらに鶏糞を水田や畑の肥料に利用。廃棄物ゼロで環境への負荷が低い地域循環型事業を実現している。このサステナブルな取り組みは農産物に付加価値を与えるだけでなく、地域に観光客を呼びこむコンテンツとなっており、農家と協働でツアーなども展開している。
なお、JR東日本スタートアッププログラム2018のアクセラレーションプログラムの採択企業で、これまでにルームスプレーと、アロマディフューザーを共同で開発している。
■JR東日本スタートアッププログラム
ベンチャー企業や様々なアイディアを有する人々から、駅や鉄道、グループ事業の経営資源や情報資産を活用したビジネス・サービスの提案を募り、ブラッシュアップを経て実現していくプログラム。2017年度に初めて開催し、これまでに計42件の提案を採択。内閣府主催の2018年度 第1回日本オープンイノベーション大賞で経済産業大臣賞を受賞した。鉄道事業やIT事業など幅広い分野の実証実験を行い、一部の取組みは実用化している。
※関連リンク:プレスリリース
(eiicon編集部)