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東電と生み出す「エネルギーの新たな価値」とは?

東電と生み出す「エネルギーの新たな価値」とは?

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2016年4月から、家庭向けなどを含めた電力の小売全面自由化がスタートした。それ以来、多くの新電力会社がエネルギー市場に参入、さまざまな料金メニューやサービスが生まれている。――こうした市場環境に先んじて対応すべく、2015年4月に誕生したのが東京電力グループの事業会社、東京電力エナジーパートナー(以下、東京電力EP)だ。

同社は、電気を含む多彩なエネルギー商品やサービスを提供し、「お客様のトータルエネルギーソリューションパートナー」としての役割を担っている。契約数は国内小売り電気事業者で最大規模を誇り、人々の暮らしを照らしながら日本のエネルギー産業を支えてきた。

東京電力EPでは従来の電力販売の枠に捉われない「エネルギーの新たな効用・新たなサービス」を届ける「総合エネルギーサービス企業」への転換に向け、業界を超えた「協業」や「共創」を積極的に推進。実際に、2019年2月にはKDDIと家庭向けの電気・ガス販売に関して業務提携を発表し、auユーザー向けに、サービスの販売をスタートさせている。

このように東京電力グループは外部パートナーとのアライアンスを進めており、2018年8月には東京電力EP内に「アライアンス推進プロジェクトチーム」が発足。他社との連携・協業をより一層、本格化させている。――こうした取り組みの背景にある思いとは。さらに同プロジェクトチームが連携したいパートナーとは?チームを牽引する木下亮氏に、詳しい話をお伺いした。

▲東京電力エナジーパートナー株式会社 リビング事業本部 アライアンス推進プロジェクトチーム 本部長付 上席戦略担当 木下亮氏

大和証券、住友信託銀行(現 三井住友信託銀行)、コーポレイトディレクション(CDI)を経て、2010年株式会社木下&パートナーズ設立、代表取締役就任、CDIアライアンスコンサルタント就任。一貫して法人向けコンサルティングを手がけ、M&Aアドバイザリーなどで多数の実績を持つ。2011年から原子力損害賠償支援機構(現 原子力損害賠償・廃炉等支援機構)で東京電力再建に従事。2018年8月に東京電力エナジーパートナー株式会社リビング事業本部長付上席戦略担当に就任し、現在に至る。

「to C」を「to B」を経由して行う。

――現在、御社ではアライアンス推進プロジェクトチームを発足させ、外部連携を積極的に進めています。チームを発足させた背景には、どのような課題や危機感があったのでしょうか?

木下氏 : やはり最も大きな要因となっているのは電力・ガスの自由化です。それまでは私たちのみが首都圏エリアにおける電力供給を手がけてきましたので、特に何もしなくても契約は当たり前に取れていました。

しかし、今はお客様が自由に契約先を選べるようになっています。実際、東京電力グループは契約件数の減少という事態に直面しており、ダウントレンドになっています。こうした事態を受け、的確な営業を行う必要が出てきたのです。

しかしながら、私たちには各世帯に向けて提案を行う営業活動の実績や経験が足りていない状況と言えます。事実、そのような営業を行うセクションのリソースが不足しております。さらに、これからその役割を担う営業部隊を拡大するとしても、全世帯をカバーするのは不可能に近いでしょう。――そこで、アライアンスを推進し強化することとしました。

――アライアンスを通じて、営業強化を行うということでしょうか?

木下氏 : その通りです。言ってみれば、”「to C」を「to B」を経由して行う”ということになります。ただし、単純に代理店を増やそうということではありません。電気・ガスは究極のコモディティ商品で、商品そのものの差別化が図れない分、行きつく先は価格競争になりがちです。そうではなく、私たちはよりお客様のニーズに適した提案を行っていきたいと考えています。

パートナーには電気・ガスを新たに商材に加えることでメリットが生まれ、その結果、相互送客できる関係が成立する。今回アライアンスチーム発足の裏側にはこのような思いがあります。

接点のなかった企業とのアライアンスを実現したい。

――具体的には、どのようなパートナーとの連携を考えていますか。

木下氏 : お客様が電気・ガスに興味を持つタイミングは、家計を見直そうという時です。

つまり、結婚、出産、進学、就職、転職など、大きな転機となるライフイベントがあったタイミングとなります。このため、ライフイベントに密接な関わりのある企業――具体的には、保険、引越し、不動産仲介などが想定されます。

――おっしゃる通り、それらの企業は人生において大きな転機を迎える際に必要となりますね。

木下氏 : しかし、こうした企業は非常に重要なパートナー候補である一方で、誰しもが考えつくことです。事実、電気・ガス各社は、すでにそうした企業とのアライアンスを進めています。私たちは他社との差別化を図るためにも、一歩踏み込んだアライアンス、共創の仕方を模索・提案しているところです。

また、既存の概念にとらわれることなく、アライアンスの範囲を広げたいと考えています。もしかしたら、思わぬ業界・業態から「電気・ガスを扱いたい」との声が出てくるかもしれません。

チームメンバーとディスカッションをしていて面白いと思ったのは、例えば、放送や出版、広告、エンターテインメントなど意外性のある企業。同じ趣味嗜好・目的を持つファンコミュニティや会員組織に対して、電気・ガスを活用した新たなサービス・ソリューションを創出することもイメージしています。――このように、想定していなかった事業との出会いが生まれることを期待しています。

――アライアンスを組んだ際に、御社からパートナーに提供できるリソースにはどんなものがありますか?

木下氏 : なんと言っても関東圏の顧客基盤です。最盛期に比べて若干減少してしまったとはいえ、これほどの規模の顧客を抱えている企業は日本国内にそう多くはないでしょう。

一方、私たちは電力・ガスのことしか知らないため、視野がせまくなっている部分があるはずです。パートナーとなっていただける企業から、「電気・ガスをこのように使ったらどうだろう」というアイデアをいただければ大変嬉しいですね。

生活のあらゆる場面に、東京電力を。

――今回のアライアンスをどのように発展させたいとお考えですか?

木下氏 : 現在、業界や業態に明確な区切りがなくっています。ビジネスを業界や業態の枠組みで考えるのではなく、人間の行動を切り口にして捉えたほうが適切だと考えています。

例えば、引越しをする場合、不動産屋さんで部屋を探し、比較サイトで引越しの見積りを取り、実際に引越し会社に連絡をする、引越しをしたらどこかの外食チェーン店に足を運ぶかもしれません。そうした行動の初めから終わりまで、生活のあらゆるところにシームレスに東京電力EPが入り込んでいたいと思っています。(本記事トップの)集合写真にも映っていた当社キャラクター「テプコン」が、さまざまなライフシーンに登場する――そんな世界観を実現したいですね(笑)。

――なるほど。

木下氏 : もちろん、引越しに限らず、結婚する時、就職する時など、ありとあらゆることを想定し、パートナーシップを結んでいきたいと思います。

――それでは最後に「アライアンス推進プロジェクトチーム」メンバーの皆さまからも、パートナーとなり得る企業に向けてメッセージをいただければと思います。

桒原氏 : 電気・ガスを使ってこのようなことをやりたい、という思いをお持ちなら、ぜひお声がけください。共に新しい事業を作っていきましょう。

▲東京電力エナジーパートナー株式会社 商品開発室 開発企画第二グループ 課長 桒原氏

須永氏 : 当社は、長年にわたり大規模な顧客管理を行ってきました。顧客管理に課題を抱えている企業様にも、メリットを提供できると思います。

▲東京電力エナジーパートナー株式会社 リビング事業本部 顧客・市場リサーチグループ 課長 須永氏

大塚氏 : 現状お持ちの商材と、電気・ガスを掛け合わせ、魅力あるビジネスを共に創っていきたいですね。

▲東京電力エナジーパートナー株式会社 リビング事業本部 第二営業部 提案第二グループ 課長代理 大塚氏

池田氏 : 今まで当社が出会ったことがない企業さまや独自の特徴ある企業さまとの出会いを楽しみにしています。

▲東京電力エナジーパートナー株式会社 商品開発室 開発企画第一グループ 課長 池田氏

金井氏 : 電気・ガス事業を通じてパートナー企業さまの課題を解決し、共にエンドユーザーさまに豊かな暮らしを提供していければ最高です。

▲東京電力エナジーパートナー株式会社 リビング事業本部 事業企画部 グループ事業戦略グループ 課長代理 金井氏

取材後記

東京電力グループは、外部パートナーとのアライアンスを積極的に求めている。電気・ガスという商材が、これまでにない製品・サービスと組み合わさることで、どんなビジネスを生み出すか未知数だ。だからこそ、同グループとの連携は大きな可能性を秘めていると言えるだろう。木下氏はパートナー企業と相互送客・Win-Winの関係を築きたいと強調する。少しでも興味を持てば、積極的に話を聞いてみてはどうだろうか。新たなビジネス・価値を共に創造してほしいと思う。

(構成:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士、撮影:古林洋平)

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  • 桒原 正紀

    桒原 正紀

    • 東京電力エナジーパートナー株式会社
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