スタートアップの挑戦を加速する"山梨拠点"という選択――『CINOVA』入居企業3社(INNFRA・エアロダインジャパン・ジザイエ)に聞く【前編】
山梨県は2025年秋、スタートアップ支援センター『CINOVA YAMANASHI(以下、CINOVA)』を開所した。さまざまな人の知の交わりによる価値創造や地域共創の促進を目的とし、単なるワークスペースではなく、挑戦する企業が成長するための共創拠点としての役割が期待されている。
開所以降、『CINOVA』には多くのスタートアップが入居し、それぞれの事業内容や目的に合わせて拠点を活用している。首都圏の本社に対するサテライトオフィスとして地域に根差した活動を推進する企業もあれば、本社そのものを移転して本格的な事業展開に乗り出す企業も出てきた。入居企業同士や周辺地域との交流も活発化しており、新たなつながりからビジネスの可能性も生まれつつある。
TOMORUBAでは、『CINOVA』に入居するスタートアップにインタビューを実施。前後編にわたって、その模様をお届けする。本記事はその<前編>として、INNFRA株式会社、エアロダインジャパン株式会社、株式会社ジザイエの3社にフォーカス。それぞれの事業概要や山梨県との関わり、『CINOVA』の活用方法について話を伺った。スタートアップにとって、山梨に拠点を構える価値とは何か。3社の取り組みから探る。
【INNFRA】 資材の保管場所、視察対応の拠点、EVカーシェア――常駐しなくても価値を実感できる『CINOVA』
▲INNFRA株式会社 ビジネスデベロップメント 岩崎友哉 氏
――まず、御社の事業概要と特徴をお聞きしたいです。
INNFRA・岩崎氏 : 当社は、「地球のすべての夜に灯りと潤いを」をビジョンに、どんな状況であってもエネルギー(灯り)や水(潤い)を提供する事業を展開しています。その手法として着目したのが、「オフグリッド」という概念です。「グリッド」とは、水道管や送電線などの物理的なパイプラインやネットワークのこと。当社は、こうした既存インフラに接続することなく――つまり「オフ」にして、エネルギーや水を供給できる仕組みの開発に取り組んでいます。
――具体的には、どのようなプロダクトを開発されているのですか。
INNFRA・岩崎氏 : 中心的なプロダクトは水循環システム「INNFRA Water」です。通常は下水道や浄化槽へ流される生活雑排水をその場で回収し、生物処理、ろ過処理、殺菌処理の3段階で浄化。水道水と同等レベルまできれいにしたうえで、再利用できるようにする仕組みになっています。
このシステムを活用し、MUJI HOUSE様とトレーラー型の「インフラゼロハウス」を共同開発しました。また、開発規制が厳しい世界遺産エリア(沖縄県の中城城跡)では、このシステムを使ったラグジュアリーな宿泊体験を提供しました。さらに山梨県では、平常時はコインランドリーとして使いながら、災害時にはシャワーや洗濯に必要な水を確保できる設備として導入されています。
▲道の駅富士川に設置されたINNFRA Base(右)とランドリートレーラー(左)。山梨県の社会実装サポート事業の一環として、防災をテーマに取り組んでいる。1日最大5,000L(シャワー100回分に相当)を、毎日水道水レベルで供給できる設備を開発。遠隔監視・自動制御機能を備えた可搬型で、平常時は24時間営業のコインランドリー、災害時には防災拠点として機能する「稼ぐ防災」モデルを目指している。(画像出典:プレスリリース)
――御社が、山梨県の運営する『CINOVA』を知ったきっかけは?
INNFRA・岩崎氏 : 当社は、山梨県に育てていただいた会社です。これまで県の実証実験サポート事業に採択いただくなど、事業の成長を支えてもらいました。そうしたご縁もあり、お世話になっていた山梨県のスタートアップ・経営支援課の担当者の方からご紹介いただいたんです。山梨県青少年センターの本館を『CINOVA』に改修している工事の段階から見学させていただきました。完成後に改めて訪れた際には、「こんなにきれいになったんだ」と驚いたのを覚えています。
――『CINOVA』のどういった点に興味を持ち、入居を決められたのですか。
INNFRA・岩崎氏 : 当社のメンバーは普段、東京に住んでいますが、山梨県富士川町にも実証拠点があるため、山梨を訪れる機会が多くあります。今後は実証拠点への視察対応も増える見込みだったことから、県内に事業拠点が必要だと考えていました。また、当社はハードウェアを扱う企業なので、設備や資材の保管・作業スペースも欠かせません。『CINOVA』は、視察対応の拠点としてだけでなく、資材の保管場所としても活用できると考え、入居を決めました。
▲ポンプ類など、実証に必要な機材・資材などを『CINOVA』のINNFRAオフィス内に保管している。
――現在は、保管場所や視察対応の拠点という活用方法のほか、『CINOVA』のどのような機能を使われていますか。とくに御社のプラスになっている点をお伺いしたいです。
INNFRA・岩崎氏 : 特に便利だと感じているのが、日産のEV「サクラ」のカーシェアです。以前は甲府駅まで行ってレンタカーを借り、富士川町へ向かっていましたが、入居後は『CINOVA』の最寄駅(石和温泉駅)で電車を降りて、『CINOVA』でサクラを借り、富士川町へと車で移動できるようになりました。移動の負担が大きく減り、とても助かっています。鍵の受け渡しの際にスタッフの方とお話ができる点も良いですね。
――運営スタッフとの関わりで、印象に残っていることはありますか。
INNFRA・岩崎氏 : 『CINOVA』を運営するフォネットの赤池さんや志村さん(※)など、一人ひとりの顔が見える関係性が築けており、「これは、あの人に相談すればいい」と顔が浮かぶようになってきました。実際、休館日に大型の荷物を搬入しなければならなくなった際も、相談すると柔軟に対応していただけました。こうした密なコミュニケーションが取れるのは、開設されたばかりの拠点であること、そして山梨県という場所で誕生した『CINOVA』ならではだと思います。
そうした魅力を感じているからこそ、私たち自身も『CINOVA』をもっと多くの人に知ってもらいたいと思っています。実際、沖縄・中城城跡でのプロジェクトでご一緒したソーシャル・エックスさんから、「官民共創のワークショップを開ける場所はないか」と相談を受けた際、「それなら『CINOVA』しかないでしょう」とご紹介したんです。その結果、『CINOVA』で官民共創をテーマにしたイベントが開催され、山梨県や甲府市の職員の方々にも多数ご参加いただきました。利用者としてだけでなく、こうした場づくりを仕掛ける立場にもなれてうれしいです。
※関連記事:山梨県発のスタートアップ支援拠点『CINOVA YAMANASHI』――開所から半年で見えた共創の成果と可能性を4人のキーパーソンに聞く
――今後、『CINOVA』や山梨県をハブにして、どのように事業を成長させていきたいとお考えですか。
INNFRA・岩崎氏 : 住宅や観光などさまざまな分野で取り組んできましたが、特に防災分野への反響は大きく、「稼ぐ防災」というコンセプトにも多くの共感をいただいています。今年度は防災庁の設置に向けた政府の動きもあり、追い風を感じています。そのため、山梨県富士川町で実装したモデルを各地へ展開していくことが目標です。多くの方に視察に来ていただき、『CINOVA』でサクラを借りてご案内できればと思っています。
――『CINOVA』に興味を持つ人たちに向けて、一言メッセージをお願いします。
INNFRA・岩崎氏 : こうしたシェアオフィスは、常駐する場所というイメージがありましたが、私たちのように週1〜2回ほど山梨を訪れるタイミングで、仕事をしたり荷物を置いたりする使い方でも十分に価値があると感じています。「常駐しなければならない」と気負わず、まずは一度使ってみてはどうかと思います。
【エアロダインジャパン】 ドローン整備からテスト飛行まで――開発・実証を支える拠点としての『CINOVA』
▲エアロダインジャパン株式会社 代表取締役社長 鹿谷幸史 氏
――御社は、マレーシアを拠点とするエアロダイングループの日本法人として、2018年に東京で設立されました。現在、どのような強みを活かして事業展開されているのでしょうか。
エアロダイン・鹿谷氏 : 当社の強みは3つあります。1つ目は、ドローンメーカーではなく、ドローンのソリューションプロバイダーであること。ドローンメーカーは自社製品を前提に提案するケースがほとんどです。一方、私たちは特定の機体にこだわらず、お客様のニーズや用途に応じて最適なドローンを選定し、提案することができます。2つ目が、世界45カ国に広がるグループネットワーク。最新の機体やセンサー、カメラに関する情報が世界中から集まり、その中から有望な技術を日本市場へ展開できます。
3つ目は、レベル3.5(※)という飛行形態に対応できること。農薬散布のようにリモコンを使って近距離で飛ばすのではなく、あらかじめ飛行ルートをプログラムして長距離で飛ばすことが可能です。飛行可能距離も長く、一般的なドローンだと2〜3km程度の近距離飛行が主流ですが、当社では20〜30km、最大72kmに及ぶ長距離飛行の実績を持っています。
※レベル3.5飛行とは、無人地帯においてドローンの目視外飛行を行う運航形態。機上カメラなどで飛行経路下の安全を確認できれば、立入管理措置(補助者や看板の配置など)を省略できる。
――日本市場では、どのような用途で御社のドローンソリューションが活用されているのでしょうか。
エアロダイン・鹿谷氏 : 私たちは、物流とインフラ点検の2分野に注力しています。物流では医薬品やAED、災害支援物資のドローン輸送に取り組んでいます。一方、インフラ点検では山梨県内の橋梁を対象に実証実験を実施。GPSが届きにくい橋の下でも飛行できる特殊な機体を活用し、これまで人の目で行ってきた橋梁点検の安全性向上と効率化を図っています。
――そうした中、『CINOVA』への入居を決めた理由は?
エアロダイン・鹿谷氏 : 大きく2つの理由があります。ひとつは、私が甲府市に住んでおり、市内で使いやすい拠点を探していたこと。なかなか条件に合う物件が見つからなかったのですが、『CINOVA』を見学した際に、非常に良いと感じました。もうひとつは山梨県との関係性がすでにあったこと。アクセラレーションプログラムや補助事業を通じて多くの支援を受けてきました。こうした点から、利用したいと考えたのです。
――エアロダインジャパンの本社を、東京・渋谷から山梨の『CINOVA』に移転されたそうですね。
エアロダイン・鹿谷氏 : はい。私は入社当初から甲府に住み、リモートワークで仕事をしていたのですが、私が代表を引き継いだ後、『CINOVA』が完成したタイミングで本社をここに移転しました。移転した理由は、渋谷のような都心部では簡単にドローンを飛ばせないからです。整備をしても、その場でテスト飛行ができません。それに、東京はオフィス賃料も高いため、「東京に本社を置くメリットはほとんどない」と感じていました。そうした考えから、『CINOVA』への移転を決めました。
――鹿谷さんから見た山梨県の魅力は、どういった点にありますか。
エアロダイン・鹿谷氏 : 私自身はIターンで山梨に移り住みましたが、「ええかげんに都会で、ええかげんに田舎」な山梨をとても気に入っています。東京へのアクセスがよいので、都内の顧客を訪問しやすいですし、山梨県は産学官の距離も近いため連携もしやすい。行政の支援も手厚く、スタートアップにとって実証やプロトタイプ開発を進めやすい環境だと思います。
――『CINOVA』では広い敷地を活用して、ドローンのテスト飛行なども行われていると聞きました。入居してみて感じた、『CINOVA』の魅力について教えてください。
エアロダイン・鹿谷氏 : 現在、約30平米のオフィスを借りていますが、まず家賃の安さは大きな魅力です。私たちの事業では、ドローンの機体や関連機材を置く場所が必要になります。都内で同じような広さの場所を借りようとすると、コスト面でもスペース面でもなかなか難しい。以前は自宅の物置にドローンを置いていましたが、機材でいっぱいになり、家族から「どうにかしてほしい」と言われていました(笑)。そのため、広いスペースを低コストで確保できる点は、『CINOVA』の良さです。
また、専有オフィスだけではなく、共用スペースも積極的に活用しています。例えば、2階や3階は会議やミーティングに使っていますし、1階の工作室ではドローンの整備を行ったり、3Dプリンターで治具を製造したこともあります。また、整備したドローンをすぐに屋外へ持ち出して飛行テストができる環境は、東京ではなかなか得られません。ドローン整備やテストを迅速に進めるうえで、とても大きなメリットだと感じています。
▲『CINOVA』に隣接するグラウンド(山梨県立青少年センター運動場)を借りることで、ドローンの飛行テストを実施することが可能。
――確かに、都会ではドローンを簡単に飛ばせませんから、非常に恵まれた環境ですね。そうした点も踏まえて、今後、山梨県を拠点にどのように事業を成長させていくのか。展望をお聞かせください。
エアロダイン・鹿谷氏 : インフラ点検では、橋梁点検を山梨県内はもちろん、全国の自治体へと広げていきたいと考えています。物流では、長距離飛行を強みにフロントランナーとして業界を牽引していきたいです。さらに、「日本の正確で安全なサービス」という強みを生かし、アジアやアフリカなど海外への展開も目指しています。当社はマレーシア発のグローバル企業ですが、日本で培ったサービスを世界へ「逆輸出」する流れをつくることが、次の挑戦だと考えています。
――最後に、『CINOVA』に興味を持つ人たちに向けて、一言メッセージをお願いします。
エアロダイン・鹿谷氏 : 山梨県は、テストフィールドとして使いやすい場所です。江戸時代には、歌舞伎を江戸で披露する前に山梨で試演する仕組みもあったそうですが、「まず試してみる場所」という役割は今にも通じるのではないでしょうか。行政や企業との距離が近く、スタートアップにとって、挑戦しやすい環境です。『CINOVA』についても、多様なスペースがありますし、イベントなどを通じて人とつながる場として活用できます。本社機能の移転先としても、サテライトオフィスとしても使える場所だと思うので、ぜひ活用してほしいですね。
【ジザイエ】 遠隔就労に向けた開発から地域との共創まで――人とのつながりで可能性を広げられる『CINOVA』
▲株式会社ジザイエ CPO (Chief Product Officer) 中野人夢 氏
――独自の映像圧縮伝送技術を持つ御社ですが、まずは目指している世界観や事業概要についてお伺いしたいです。
ジザイエ・中野氏 : 当社は、「すべての人が 時空を超えて働ける世界へ」をビジョンに掲げ、国籍や性別、障がいの有無に関わらず、誰もが遠隔で働ける社会の実現を目指しています。また、東京大学の稲見昌彦教授が提唱する「自在化身体技術」の社会実装もテーマのひとつ。こうした技術を活用しながら、まるでその場にいるかのような「遠隔就労」の形をつくりたいと考えています。その第一歩として取り組んでいるのが、安定した映像伝送技術の開発です。
――今年7月には総額4億円の資金調達を実施するなど、事業を着実に成長させておられます。現在の事業フェーズを教えていただけますか。
ジザイエ・中野氏 : 現在、映像伝送を通じて働き方を変えるアプローチを進めています。そのひとつが、遠隔監視システム「JizaiEyes」。従来の監視カメラでは、設置場所の電波環境によって映像が届かず、結局、現場確認が必要になるケースが多くありました。特に建築業界ではこうした課題が多くあります。
そこで、当社の技術を活用することで、これまで見ることができなかった場所の映像を遠隔から確認できる仕組みを実現。こうした遠隔監視において、実績が生まれ始めている段階です。
また、遠隔操縦の開発・実装も進めています。具体的には、タワークレーンの遠隔操縦で、竹中工務店様の建設現場に導入いただき、実証を完了しました。従来の監視カメラを使った遠隔操縦では、映像の遅延が課題でした。例えば、0.5秒程度の遅れでも、クレーンの遠隔操縦は難しくなるそうです。これに対して当社の技術を活用することで、遅延を半分以下に低減。離れた場所でもクレーン操作を行いやすくするなど、実用化に向けた成果が生まれています。
▲"今まで見えなかったものを見えるようにする"「JizaiEyes」。独自の圧縮伝送技術により、不安定な通信環境でも高画質・低遅延を実現するクラウドカメラを搭載している。
――そうした中、なぜ『CINOVA』に入居を決めたのか。背景や狙いをお聞きしたいです。
ジザイエ・中野氏 : きっかけは、創業当初から支援いただいていた山梨中央銀行の折居さんとのご縁です。イベントでのピッチ機会の提供や資金面でのサポートなど、さまざまな形でご支援いただく中で、『CINOVA』をご紹介いただきました。
ちょうどその頃、遠隔操縦の開発も本格化していましたが、都内では試作機を動かす場所の確保が難しい状況でした。そのため、開発や実証を進める拠点として、『CINOVA』に魅力を感じました。また、遠隔就労の実現に向けては、地域を含めた現場の声を知ることも重要です。東京だけでは得にくい現場の課題やニーズを把握する場としても『CINOVA』を活用したいという考えがあり、入居を決めました。
――実際、『CINOVA』をどのように活用されていますか。具体的な利用シーンや、感じているメリットについて教えてください。
ジザイエ・中野氏 : 例えば、「JizaiEyes」を安定的に生産していくための製造委託先とのコミュニケーションをサポートいただいたり、「こういう作業なら、こういう企業に依頼できるのではないか」とご提案いただいたりと、運営スタッフの皆さんにはさまざまな面で支えていただいています。
また、『CINOVA』でお会いした方との会話の中から、遠隔診療での活用や建築現場の遠隔監視、犬型ロボットを遠隔操縦した点検への活用など、新たなアイデアも生まれています。プロダクトを実際に見ていただきながら、活用の可能性を探る場にもなっていますね。
さらに、今年の春には『CINOVA』2階のフロアをお借りして社内イベントを開催しました。普段は東京の異なるオフィスで働くメンバー全員が同じ場所に集まり、非日常感のある交流を楽しむことができました。社内メンバーからも好評で、チームの生産性向上にもつながっていると感じています。
――社内外の人たちとの交流の場になっているのですね。
ジザイエ・中野氏 : そうですね。それ以外では、開発・検証の場としても活用しています。実際に5階の専有オフィスにロボットを置き、別のフロアから遠隔操作で動かす検証を行ったり、「こういうことはできないか」と遠隔操縦の相談を受けた際に、実物のプロダクトを見てもらう場としても活用しています。
――まさに、ラボのような使い方ですね。東京と山梨、それぞれに拠点を持つ中で、中野さんが感じる山梨の魅力を教えてください。
ジザイエ・中野氏 : 私自身は、普段は首都圏に住みながら、週1〜2回ほど『CINOVA』に来ています。山梨の魅力は、東京とは違う時間の流れの中で、余裕を持って考えられること。隣接するグラウンドでゲートボールをされている方々の様子が見られるなど、仕事の合間にリフレッシュできる環境が魅力だと感じています。
――今後の事業の展望については、どのようにお考えですか。
ジザイエ・中野氏 : 今、目指すビジョンに対する最初のステップが整ってきた段階だと考えています。次は、私たちが想定していない領域も含め、さまざまな現場に当社製品を広げていきたいです。多くの方に使ってもらいながら、得られたフィードバックをもとに改善を重ねるサイクルを迅速に回していきます。その中で、必要に応じて資金調達も行いながら、サービスを仕上げていくことが現在の目標です。また、山梨での常駐メンバーの採用や、東京のメンバーと連携しやすい体制づくりにも取り組んでいきたいですね。
――最後に、『CINOVA』に興味を持つ人たちに向けて、一言メッセージをお願いします。
ジザイエ・中野氏 : 都市部で事業をつくり、世の中に出していく中では得にくい要素が、ここでは補完されていると感じます。特に地域の方と直接つながれることは大きな価値です。次の一手を模索している方は、ぜひ一度訪れてみてください。思いがけないアイデアや刺激、インプットを得られるはずです。
取材後記
今回の取材では、3社3様の『CINOVA』活用法が見えてきた。資材の保管や視察対応の拠点として活用する企業、本社を移転して開発・実証の場として活用する企業、プロダクトを起点に新たな出会いや事業アイデアを生み出す企業など、その使い方は多様である。『CINOVA』は、場所や設備を提供するだけでなく、地域の企業や入居者同士のつながりから新たな挑戦のきっかけが生まれる場だ。成長を目指すスタートアップにとって、可能性を広げる場所となるだろう。
(編集:眞田幸剛、文:林綾、撮影:齊木恵太)