株式会社CULTAが、プレシリーズAで7億円調達 AIによる高速品種開発で気候変動に負けない農業を目指す
農業分野の次世代品種開発に取り組むスタートアップの株式会社CULTAは、プレシリーズAラウンドにおいて7億円の第三者割当増資を実施したと発表した。リード投資家はArchetype VenturesおよびUntroD Capital Japanで、ニッセイ・キャピタル、HAKOBUNE、DG Daiwa Ventures、電通ベンチャーズが引受先として参加。今回の調達により、同社の累計資金調達額は約10億円となった。
同社は独自の「AI品種開発プロセス」を用いて、気候変動に適応する新品種を高速で開発するアグリテック企業。従来10年を要するとされるイチゴの品種開発を約2年で実現し、これまでに3年半で4品種を市場投入している。
AI品種開発で「10年→2年」へ 農業のボトルネックを解決
CULTAの最大の特徴は、ゲノム編集や遺伝子組換えを用いない独自のAI育種プロセスにある。農業分野では新品種の開発に長い年月を要することが課題とされてきたが、同社はデータ解析と育種プロセスの最適化により、その期間を大幅に短縮することに成功した。
すでに展開しているイチゴブランド「SAKURA DROPS」では、高温環境でも安定した収量・品質を実現する気候変動耐性と、完熟状態で収穫・輸送しても10日以上品質を維持できる完熟持続性を備えている。
さらに同社は、品種開発だけにとどまらず、生産・販売までを一体化する「垂直統合モデル」を採用。農家に生産を委託しつつ、収穫物を原則全量買い取り、自社でブランド展開・販売まで行う仕組みを構築している。これにより、生産者とともに価値を生み出す新しい農業ビジネスモデルを形成している。
日本・東南アジアで生産拡大 グローバル展開を加速
CULTAのイチゴはすでに日本およびマレーシアで生産されており、シンガポール、香港、タイなど東南アジアの都市部の小売店で販売されている。
今回の資金調達により、日本およびマレーシアでの生産量を拡大し、東南アジア市場への供給体制を強化するほか、日本国内での販売も順次開始する予定だ。
また、今後は東南アジア各国やオーストラリアへの産地展開を進め、需要地に近い場所で高品質な農作物を安定供給できる体制を構築する計画である。
イチゴに続き、ブドウ・リンゴなど果樹領域へ
同社は現在、イチゴに加えてブドウやリンゴなど果樹分野での品種開発にも着手している。これらは気候変動の影響を受けやすい作物として知られており、耐暑性や安定収量を備えた新品種への需要が高まっている。
さらに将来的には柑橘類やコーヒー、バナナなど、世界的に需要の高い嗜好作物への展開も視野に入れている。
CULTAの野秋収平CEOは、「気候変動はグローバル農業における明確なパラダイムシフトだ。農家が品種の切り替えを迫られる次の10年に、農家と消費者の双方が求める次世代品種を届ける企業こそが、この産業のリーディングカンパニーになる」と語る。
気候変動の影響が深刻化する中、農業は今まさに大きな転換点にある。AIを活用した品種開発とグローバル展開を武器に、日本発のアグリテック企業が世界の農業構造に変革をもたらす可能性が注目されている。
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(TOMORUBA編集部)