北海道テレビ放送がローカルコンテンツ流通を担う新会社「LCB」を毎日放送・テレビ西日本・テレビ宮崎と共に設立 地域映像の眠る価値を社会へ
北海道テレビ放送株式会社は、株式会社毎日放送、株式会社テレビ西日本、株式会社テレビ宮崎とともに、地域情報コンテンツの流通促進を目的とした新会社「合同会社LCB」を共同設立した。所在地は大阪市北区、代表社員は毎日放送が務める。LCB(Local Contents Bank)は、一般社団法人 放送サービス高度化推進協会(A-PAB)が2024年度より進めてきた実証プロジェクトであり、今回の新会社設立はその社会実装フェーズへの移行を意味する。
地域映像を“資産”に転換──背景にある課題と技術進展
LCBは、全国のローカル局が制作した番組の一部コーナーから切り出した映像を集積した映像バンクである。グルメ、観光、祭り、地域産業や暮らしを記録したドキュメンタリーなど、多数の地域情報コンテンツが蓄積されている。
2024年度には全国55局、2025年には63局が実証実験に参加。テーマ別プレイリストを配信し、視聴傾向や価値を検証してきた。
大きな鍵となったのが、メタデータ付与の自動化である。株式会社IPGの番組SI情報、株式会社エム・データのTVメタデータ技術、さらに生成AIを組み合わせることで、映像への情報タグ付けを効率化。ローカル局のDX推進にも寄与するとして評価を高めている。
新会社が担う役割と今後の展望
合同会社LCBの目的は次の3点に整理されている。
地域情報コンテンツの流通を通じた地域活性化
制作現場のDX推進による生産性向上
ローカル放送の発展支援
新会社は運営統括・放送局や外部パートナーとの契約窓口・システム運用の三機能を担い、実証から事業フェーズへの移行を本格化させる。
ロゴの色には「地域の宝に光を当てる」という意味が込められており、全国のコンテンツがバンクに集積し、社会に向けて再び流通する姿を象徴する。
自治体・教育・観光・EC…活用シーンは多層的に拡張
想定される活用領域は幅広い。国内では、配信プラットフォームでのテーマ別配信、自治体プロモーション、ふるさと納税動画、学校教育、防災啓発や車内映像など、多様なニーズが見込まれる。海外ではインバウンド向けプロモーション、越境EC連携、国際展開への出展支援、海外日系コミュニティ向け配信など、地方映像を観光・経済・文化文脈で活用する可能性が広がる。
ローカル放送が蓄積してきた地域の記録は、点在し埋もれてきた。しかしその裏側には、人の営み、文化、土地の物語が眠る。LCBの誕生は、これらを再編集し、社会へ還元する仕組みづくりの始まりである。地域映像が「資源」として循環し、地域を再び動かす日が近づいている。
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(TOMORUBA編集部)