店舗経営DXを進めるカンリー、シリーズCで20億円を調達し累計35億円へ AI推進・海外展開を掲げ“第2創業期”に突入
店舗経営DXを進める株式会社カンリーは、シリーズCラウンドの1stクローズにて約20億円を調達したと発表した。累計調達額は約35億円となり、同社はAIを軸とした事業再構築および海外展開を加速させるフェーズへと入る。本ラウンドにはジャフコ グループ、Carbide Ventures、JICベンチャーなどが参加し、大型出資となった。
導入店舗数11万超 業界横断でサービス拡大
カンリーは「カンリー店舗集客」を中心に、飲食・小売・美容・教育など幅広い業種の店舗DXを支援してきた。同プロダクトはGoogle/Appleマップなどへの情報一元管理、口コミ対応、分析機能を搭載し、現在全国約11万店舗で利用されている。
今回の資金は、以下5領域に重点投資される。
プロダクト強化:Google・Apple連携を基盤に店舗集客自動最適化を深化
AI体制の本格化:CAIO設置、AI基盤・生成型機能を加速
人材採用:AI・PdM・開発人材の拡充
M&A推進:店舗DX領域での事業獲得とシナジー創出
海外展開:国内プロダクトモデルをアジア主要国へ展開
特に海外戦略において、カンリーはすでに複数国で実証段階に入り、中長期では「アジアNo.1集客支援企業」を掲げる。
ビジョンを刷新、店舗DXの基盤づくりから“集客コミット企業”へ
同社は今回の調達と合わせて、企業ビジョンを従来の「顧客接点を最適化する」から、新たに「ヒトとAIの力で、店舗の集客力を上げる」へと変更した。
この刷新には、次の意図があるという。
AI任せではなく、人間の判断と掛け合わせた価値創造
売上・集客といった店舗の“本丸”に踏み込む意思表示
検索行動はテキスト検索中心から、生成AI・音声検索・チャット型UIへとシフトしつつある。こうした市場環境の変化に対し、カンリーは「店舗情報の整備」「データ活用」「運営効率化」をAIで支えることで、新しい店舗運営モデルの確立を目指す。
「世界の店舗インフラへ」—第2創業期の宣言
代表取締役の辰巳氏・秋山氏は「AIが進化する時代だからこそ、ヒトの判断・想い・工夫を支えるテクノロジーが必要だと考えています。 今回の資金調達を通じて、ヒトとAIの力で店舗を支える仕組みを進化させ、店舗経営をより持続可能で創造的なものにしていきます。」と述べている。カンリーは、MEO・口コミ管理といった単機能支援から、“店舗の集客力・運営力を同時に底上げする統合プラットフォーム”への拡張を掲げる。店舗産業は地域経済・雇用・文化を支える社会基盤であり、そのDXは長期的な社会テーマである。
今回の調達と体制刷新は、単なる成長フェーズではなく、同社が掲げる「世界の店舗経営を支えるインフラ」への本格的な船出となるだろう。
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(TOMORUBA編集部)